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国が”賃貸でDIY”を後押し!国土交通省がDIY型賃貸借の普及に向けて「契約書式例」と「ガイドブック」を作成
せっかくのDIYも引っ越しのタイミングでゼロに
賃貸物件といえば所詮、他人の所有物。入居中に、壁を綺麗に塗ったり飾り棚を付けたり様々なDIYを行っても、退去の際には元通り現状回復しないといけない、というのが現状では当たり前でしょう。例えばこちらのブログを見てみると、2年間かけて賃貸でDIYに取り組んできたけれど、引っ越しのタイミングでせっかくのDIYの成果を全てゼロに戻すという、なんとももったいないことになっています。
全てがゼロに。
一つも僕のモノがない、まっさらな空き家に戻りました。
こうやって見てみるとなんか寂しいですね…。
数日前まで僕の部屋だったのにもう完全に他人の部屋のようです。
魅力的な賃貸DIYの実例がたくさん
一方で、引っ越しの際に原状回復することを前提に賃貸DIYに取り組んでいる方は多数いらっしゃいます。例えば、「現状回復できるDIY」のハウツーをていねいにブログで発信されているカリスマDIY主婦・Kume Mariさんは、築47年の賃貸物件をDIYリノベーションによりオリジナルな生活空間をつくり上げていらっしゃいます。他にも「賃貸 DIY」で検索すると、100均で売っている物を使ったキッチンのDIYやマスキングテープを活用した壁紙リメイク、などなど賃貸DIYの実例がたくさんでてきます。
国も”賃貸でDIY”を後押し
こんなに素敵な賃貸DIYですから、引っ越した後も次の入居者にも使って欲しい、そもそも現状回復するのが手間だしもったいない、そんな風に考える方も多いのではないでしょうか。ましてや全国的に空き家が増えていて、中古住宅の流通や空き家の活用が今後、社会全体の課題になっていくわけですから、賃貸だから原状回復が当たり前という価値観は、そろそろアップデートしていかないといけないでしょう。と、筆者が言うまでもなく、国は中古住宅の流通や空き家の活用の促進に向けた取り組みを進めています。その一つに「DIY型賃貸借」という新しい契約形態の提案と理解促進があります。
国土交通省が、個人の所有する住宅が賃貸住宅として流通するように、新たに提示した「DIY型賃貸借※」について、「契約書式例」とガイドブック「DIY型賃貸借のすすめ」を作成した。<中略>
※DIY型賃貸借とは、借主(入居者)の意向を反映した改修を行うことができる賃貸借契約や賃貸住宅のこと(改修工事の費用負担者が誰かは問わない)
貸主と借主の双方のニーズを合わせたのがDIY型賃貸借
これまでの賃貸借契約は、貸主が必要な改修や管理・修繕等を行うことが前提でしたが、それでは貸主にとってもなかなか負担になってしまう、だったらある程度、改修等が必要な状態でも現状のまま貸し出してしまおうという貸主側のニーズがまずあります。次に、借主側から見ても既述のとおり、借主側が自分好みにお部屋をつくり上げたい・改修したい・手掛けたいというニーズもあります。これら貸主と借主の両者のニーズを一石二鳥で合わせたのが、DIY型賃貸借というわけです。
DIY型賃貸借に対応した具体的な契約書式例を国が提示
ではどうやって新しい賃貸借契約であるDIY型賃貸借を、進めていけばいいのでしょうか。そこで主に貸主や不動産事業者に参考にしてもらうために作られたのが、「DIY型賃貸借に関する契約書式例」です。これまでの賃貸借契約は、「賃貸借契約書」を交わすのみでしたが、DIY型賃貸借契約の場合は「賃貸借契約書」に加え、DIY工事に関する「増改築等の承諾についてのお願い」(申請書兼承諾書)とDIY工事の詳細な取り決めに関する「合意書」の合計3種の書類を作成する必要があります。
DIY住宅、カスタマイズ・オーダーメイド賃貸、DIY型賃貸借…
借主の意向を反映させて住宅の改修を行うという賃貸は、実は確実に増えています。URの「DIY住宅」は入居者が行う模様替えなどのDIYの現状回復義務が原則として免除だし、カスタマイズ・オーダーメイド賃貸というサービスをつくり出した株式会社メゾン青樹の取り組みなど、着実に成果を挙げています。今回の動きのように、国がDIY型賃貸借を後押しすることで、さらに賃貸DIYが広がっていくはずです。
改装可能・現状回復不要な賃貸物件を扱っているMAD City
MAD Cityでは「改装可能」「現状回復不要」な賃貸物件を主に扱い、入居者が楽しく安全にDIYができるようなサービスを提供しています。例えば、DIYリノベ体験ワークショップは専門の大工さんが講師となり、なかなか体験できない実際のDIY現場を体感することが可能です。他にもDIYツールレンタルや共有ルーム、改装キックバックといったサービスもあります。ぜひ物件検索してみてください!
また、MAD Cityでは地域ディベロッパーとして不動産の再生とまち全体の価値向上に取り組んでいます。こうしたMAD Cityのまちづくりの取組について、取材や視察でご説明させていただいています。ご希望される方または団体はこちらまで是非ご連絡ください。
(2016/05/27)
著者プロフィール
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funahashi taku
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空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/
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