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休学中に不動産会社(omusubi不動産)の仕事に携わったり、松戸の街や人たちとのつながりを深めてきた吉田さん。そういった経験も今回の作品には表れているそう。

小屋とアトリエと住居の事例のその後…吉田あさぎ個展「子供は早く寝なさい」

「小屋とアトリエと住居の事例」のその後

住むにしろ、創作活動するにしろ、アーティストが賃貸物件に求めるポイントって何でしょうか?2015年7月に公開したこちらの記事では、線路沿い、真下はビニール加工工場、変わった間取りという賃貸物件に、2015年4月から住居兼アトリエとして入居されている吉田あさぎさんへの取材から、「広さと価格」「余白」「シェア」という3つのポイントに絞って結論づけました。

東京芸術大学大学院先端芸術表現科に在籍されている吉田さんは、アトリエの中にセルフビルドの小屋をつくってそこで生活されているお隣さんをヒントに、ご自身でもアトリエの中にセルフビルドの小屋(住居)をDIYで作って暮らしています。今年5月5日〜10日まで、その住居兼アトリエで吉田さんの個展「子供は早く寝なさい」が開催されました。「小屋とアトリエと住居の事例」がその後がどのようになったのかを含め、個展を見てきました。

個展のテーマは”場所と記憶”

かねてから場所と記憶をテーマに、様々なメディアを組み合わせたインスタレーションでの展示を行ってきた吉田さん。今作は、過去作と新作とをコンセプトに沿って再構成した展示です。前回取材のときは大学院を休学されていた吉田さん。1年間の休学を経て、場所と記憶というキーに対する気持ちが少し変化してきたそう。

不動産との関わり、可変可能なこのアトリエとの関わり、
松戸という地域との関わり、世代を超えた人々との関わりなどから
俯瞰的客観性と直接的主観性の2つがどちらが強なりすぎることなく
目の前の景色を、体感と引きの視点との交わった像として、
その2つが混ざり合うことが最もリアルだという認識と共に
捉えることができるようになったというのが一番大きな変化だと思っています。

<吉田あさぎさんの「子供は早く寝なさい」挨拶文から抜粋>

休学中に不動産会社の仕事に携わったり、松戸の街や人たちとのつながりを深めてきた吉田さん。そういった経験も今回の作品には表れているそう。

休学中に不動産会社の仕事に携わったり、松戸の街や人たちとのつながりを深めてきた吉田さん。そういった経験も今回の作品には表れているそう。

同じ大学出身のお母さんの作品にインスピレーション

昨年10月、卒業した大学の同窓会展に、同じ大学出身のお母さんと共に作品を展示した吉田さん。その作品を見てインスピレーションを感じて、個展のタイトル「子供は早く寝なさい」というフレーズが生まれたそうです。

去年の10月、卒業した大学の同窓会展に、同じ大学出身であった母と共に作品を展示した。
きゅるりんとした可愛らしさと50とは思えない子供っぽさのある母の作品に
驚きも勿論あったが、今まで見過ごしてきた違和感の正体を見た気がした。
いつも見ている姿が本当の母なのか、それともこの作品が本当の母なのか
見てきた量でいえば生活していて見ている姿が母なのだけれども
どうしても、生活の節々で見てきた違和感の正体が作品に出ている気がしてならなかった。

<吉田あさぎさんの「子供は早く寝なさい」挨拶文から抜粋>

お母さんが読む本は、押し花がしおり代わりとして使われていたそう。そういった何気ない日常のインスタレーション。

お母さんが読む本は、押し花がしおり代わりとして使われていたそう。そういった何気ない日常のインスタレーション。

写真やスキャニングを使用

吉田さんの作品は写真やスキャニングを使用して、土地や場所に関わる記憶や感覚を掘り起こします。例えば次の写真左側は、草花と吉田さんの手をスキャニングして出来た作品です。写真右側は、病院の屋上などで物干し竿にたくさんのシーツが干してあるイメージだそうで、中央には小説の一文がメッセージとして載せられています。

過去の作品と現在の作品が、「子供は早く寝なさい」という個展のテーマに合わせて再構成されています。

過去の作品と現在の作品が、「子供は早く寝なさい」という個展のテーマに合わせて再構成されています。

地域の方々が来場

筆者は土曜日の午後に会場に行ったのですが、その後、何組かお客さんが来場されていました。松戸の街や地域の人たちとのつながりを大切にされている吉田さん。作品や近況の話などをされていました。

小さいお子さんを連れたご夫婦がいらっしゃっていました。

小さいお子さんを連れたご夫婦がいらっしゃっていました。

食べ物や飲み物も用意されていて、話が弾みます。

食べ物や飲み物も用意されていて、話が弾みます。

母レシピも

お母さんがよく作ってくれていたという、サンドイッチやおちゃづけも販売されていました。筆者はお腹が空いていたので両方ともいただきました。サンドイッチはカレー風味、おちゃづけは鶏ガラスープの中に入っていて、とてもおいしかったです。

左側はサンドイッチ(コールスロー&チキン)。右側はおちゃづけ(五目おにぎり&とりがらスープ。両方とも300円カンパ制。他にもチーズケーキなんかもありましたよ。

左側はサンドイッチ(コールスロー&チキン)。右側はおちゃづけ(五目おにぎり&とりがらスープ。両方とも300円のカンパ制。他にもチーズケーキなんかもありましたよ。

線路沿いの”爆音アトリエ”を拠点に、松戸の街を楽しむ

それにしてもこちらのアトリエ、隣を常磐線が通っているので、電車が通るたびに轟音がして話が中断します。平日の昼間だったら真下のビニール加工工場の作業音も凄いそう。吉田さんは、このアトリエとセルフビルドの小屋を拠点に、今後も作品制作や不動産会社での仕事を通して、松戸の街の知られざる楽しみ方を提案し、広めていく活動をされていくそうです。

今後も吉田さんの活躍に期待です!

今後も吉田さんの活躍に期待です!

吉田あさぎさん(ウェブサイト)
吉田あさぎさん(Twitter)

改装可能・現状回復不要な賃貸物件を扱っているMAD City

今回ご紹介した吉田さんのアトリエ「線路沿いのシェアアトリエ(東棟)」のような改装可能・現状回復不要な賃貸物件を、MAD Cityでは主に扱っています。ぜひ物件検索してみてください!

物件検索はこちら

著者プロフィール

funahashi taku

funahashi taku

空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/

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