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いろいろな街で寂れたシャッター通りは見かけられます。

商店街の空き店舗が埋まらないのは何故?起業の拠点になりそうでならない、商店街のまちづくりを考える

シャッター商店街は何が問題?

多種多様な業種業態が出店している活気のある商店街って、歩いていて楽しいですし、それだけで魅力だと思います。しかしそういった商店街は数少ない。駅前の好立地に位置している商店街でも、シャッターが閉まった空き店舗がちらほら…というのはよくある話です。いわゆる「シャッター商店街」という言葉は、中心市街地の空洞化現象を表すキーワードのひとつということで、解決すべき社会問題として一般的に捉えられています。では商店街に空き店舗が増えることは、そもそも何が問題なのでしょうか?

いろいろな街で寂れたシャッター通りは見かけられます。

いろいろな街で寂れたシャッター商店街は見かけられます。(画像引用元)

そもそも現代に商店街は必要なのか?

そもそも商店街とは、商店や事業所が集積しているエリアを言います(経済産業省の商業統計表によれば、「小売店、飲食店及びサービス業を営む事業所が近接して30店舗以上あるもの」を一つの商店街と定義)。そして、個々の商店や事業所は、商品やサービスの提供をするために出店しています。移動手段が徒歩やせいぜい自転車、Amazonや楽天などのECサイトもない時代は、八百屋、魚屋、肉屋などが集積している商店街は、便利で必要な存在でした。しかし現在は、車や電車で広範囲に移動可能、自宅のパソコンやスマホから商品やサービスを注文・決済することが出来てしまいます。こうなると、商店や事業所が集積しているということの価値は失われてしまっています。

「そもそも商店街って必要なんですか?」
「商店街支援って必要なんですか?」
「商店街支援って誰のための支援なんですか?」
・・・ それを整理したら、何をすべきか見えるんじゃないですか?

そもそも商店街は必要なのか?商店街支援って、誰のための支援なのか?

商店街のコミュニテイ、まちづくり機能も副次的な効果に過ぎない

ありがちな反論として、商店街は地域コミュニティの中核、安全・安心な子育ての場所、防犯・防災上重要な役割、などがあると思います。しかし、これらの機能は副次的な効果に過ぎないでしょう。あくまでも本業で稼いで、その儲けをコミュニティやまちづくり活動に投入するのが筋なわけで、コミュニティの中核やまちづくりの担い手としての機能を商店街に期待するのは本末転倒です。

かつては儲かっていたので、その儲けを地域活動に資するという、ある意味で富める者として地域を支えるという役割だったのが、いつのまにか儲かりもしないのに地域活動を税金もらってやる、という意味不明な方向に転換していってしまったのです。

[商店街の不都合な真実]なぜ繁栄している商店街は1%しかないのか (No.1001)

空き店舗が埋まらない理由の1位は「所有者に貸す意思がない」

中小企業庁の平成27年度商店街実態調査によると、商店街の空き店舗は平成21年度以降10%を超えています(平成27年度は13.17%)。最近3年間の空き店舗数の変化については、「増えた」の31.9%が、「減った」の13.1%よりもだいぶ上回っています。時系列で比較すると「増えた」の割合が緩やかに減り、「減った」の割合が増えてはいるものの、そもそも商店街の空き店舗が問題視されてからかなり年数が経っています。今もなお慢性的に空き店舗が増え続けており、この問題に歯止めがかかっていないことが見て取れます。

空き店舗数は「変わらない」との回答も49.1%。もはや商店街関係者にとって、商店街=空き店舗があるのが当たり前になっています。

空き店舗数は「変わらない」との回答も49.1%。もはや商店街関係者にとって、商店街=空き店舗があるのが当たり前になっています。(画像引用元)

そして空き店舗が埋まらない理由ですが、地主や家主等貸し手側(供給側)の都合によるものの場合、「所有者に貸す意思がない」が39.0%で1位となっています(2位は「店舗の老朽化(34.6%)」、3位は「家賃の折り合いがつかない(29.2%)」)。

そもそも貸しに出していないというのが空き店舗の第一の理由。殿様商売とはこのことです。

そもそも貸しに出していないというのが空き店舗の第一の理由。殿様商売とはこのことです。(画像引用元)

移動範囲の広域化やECサイトの隆盛などを背景に、伝統的な商店街は役割を終えようとしている中、魅力的な商品やサービスを生み出そうと試行錯誤している商店街の商店主や不動産オーナーがいるのも確かです。しかし、多くの商店街不動産オーナーは、そもそも空き店舗を貸す気がないのです。そりゃ、空き店舗は埋まるわけもないし、商店街活性化もうまくいくわけがありません。

生活に困っていない不動産オーナーの存在が、商店街の魅力を削いでいると言えます。

生活に困っていない不動産オーナーの存在が、商店街の魅力を削いでいると言えます。(画像引用元)

シャッター商店街とは豊かさの象徴?

商店街の空き店舗の不動産オーナーはなぜ貸す気がないのか。それは自身が商売して稼がなくても、テナントを入れて賃貸収入を得なくても、特段生活に困らないという”豊かさ”が背景にあります。つまり、複数のマンションを保有していたり、駐車場経営をしていたり、郊外にも店舗を出店していたり、または高度成長期などに既に大いに稼いでいて持ち家もあったりして、特段商売を真剣にやらなくても食べていける、という方も中にはいらっしゃるわけです。

つまり、そもそも貸す必要がない方がいるのです。
過去に生み出した富+別の場所での資産からの富+子どもたちは自立+高齢世代への社会保障、といったあたりから特段何もしないほうがいい、という方がいるのです。

シャッター商店街の敵は”豊かさ”!? (No.966)

商店街のメインストリートの不動産オーナーがこんな調子では、空き店舗はいつまで経っても放置されてしまいます。次回では、こうした空き店舗を放置しておくことが合理的になっている環境を変えるには、どのような対策が必要かを考えたいと思います。

(2016/06/20)

著者プロフィール

funahashi taku

funahashi taku

空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/

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