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まちに関わる人たちのシビックプライドを高める!都市のコミュニケーション・ポイント事例まとめ9選(PART4)
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まちに関わる人たちのシビックプライドを高める!都市のコミュニケーション・ポイント事例まとめ9選(PART1)
- 人口減少、厳しい財政事情、地方創生の動き… 今年2月に公表した2015年国勢調査の速報値によると、日本の総人口は1億2711万47人で、前回2010年調査より約94万7000人(0.7%)減り、1920年の調査開始以来、...more
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まちに関わる人たちのシビックプライドを高める!都市のコミュニケーション・ポイント事例まとめ9選(PART2)
- PART1はこちら シビックプライドを高めるために 都市(まち)に住む人、働く人、遊ぶ人など、都市に関わる人がその都市に対するシビックプライド(シビックプライドの定義などはこちらの記事をご覧ください)を持ち、高めていくた...more
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まちに関わる人たちのシビックプライドを高める!都市のコミュニケーション・ポイント事例まとめ9選(PART3)
- PART1はこちら PART2はこちら (3)ロゴ・ヴィジュアルアイデンティティ ロゴやビジュアルアイデンティティは、まちと人々との一体感をもたらすためのシンボルやモットーとして機能します。代表例は、”都市の資産は人であ...more
(6)フード・グッズ
地域の風土・文化・生活習慣に根ざしたフードやグッズは、消費と結びつきやすいため伝播力が強いことが特徴です。しかし、あいにく書籍「シビックプライド」の中でフード・グッズは、ほとんど紹介されておりませんでした。こちらの記事では筆者なりにフードとシビックプライドの関係について述べてみます。
夕張メロンや名古屋コーチン、松坂牛…などなど土地と結びついた食べ物は、全国各地に存在します。これらはもはや地域ブランドとしての価値を確立しており、シビックプライドにつながっていると考えることができます。一方でB級グルメでまちおこし、という発想もよくあります。しかし、B級グルメの場合、とかくB級グルメグランプリに勝つことが目的化し、まちや地域の認知度向上や交流人口の増加といった本来の目的から逸脱しがちなのが問題です。大事なのは「地域内でいったいどれだけお金がまわるか」「地域住民のアイデンティティ形成につながっているか」を考えること。
B級グルメとは、安くて庶民的でありながらおいしい料理のこと。「身近にある大衆的な普通の食べ物を楽しもう」という考え方が原点にあります。写真は愛媛県のB級グルメ「焼豚玉子飯」。(画像引用元)
フードに関してはどれだけ地域にお金が落ちるのか、お金が落ちるといっても自分のまちや地域以外の人にちゃんと買ってもらっているかを意識することが重要です。まちや地域を一つの会社と見立てて、地域外通貨を獲得し地域内取引を拡大し、経費削減するという経済循環の原則を実践するわけです。さらに地元住民からソウルフードと呼ばれるような、親近感を持たれる存在になっていること、そうでないならそうなるための取組も欠かせません。
アムステルダムビジターセンターなどで「I amsterdamグッズ」は販売しています。アムステルダムの都市プロモーションキャンペーンである「I amsterdam」について、詳しくはpart3をご覧ください。(画像引用元)
(7)フェスティバル・イベント
実際に参加して都市空間を体感することができるフェスティバルやイベントは、参加者が楽しみながら都市の認知を深められることがポイントです。代表例は、ロンドンの「オープンハウス・ロンドン・ウィークエンド」。ロンドンでは毎年9月の土日に、750以上もの普段は未公開となっている建築物や公共施設、オフィス、大使館、工場、個人住宅が誰でも無料で見学することができるのです(人気の建物は抽選や事前予約が必要)。
一番の狭き門は首相官邸。(画像引用元)
主催するオープンハウスは、建築教育に携わる独立した民間組織です。「Opening Eyes, Minds and Doors(目を開き、心を開き、扉を開く)」をモットーに、ロンドンの建築や都市の水準を高めることを目的としています。オープンハウスの建築教育は主に、一般市民、子供、政策立案者の3つを対象にしているそう。それぞれを対象にしたプログラムは、定期的なイベントや年間を通した活動、特別プロジェクトなど、様々な形で展開されています。中でも最大のものが「オープンハウス・ロンドン・ウィークエンド」というわけです。
イギリスのハイテク建築の代表格「ロイズ・オブ・ロンドン」には長蛇の列。(画像引用元)
1992年にスタートしたこのイベントは、今では毎年約15万人が訪れるように。公開する建物の選定に際しては、歴史的だからとか有名だからとかスポンサーの建物だからといったことは理由ではなく、唯一の選定基準は”空間の質”だそうです。そして、あくまでもロンドン市民のためのイベントであって観光客のためのイベントづくりはしない、というのもポリシーを感じます。あくまでもロンドンの人々が自分たちの建築をより良く知るためのイベントだから参加費用はとらない。こうしたぶれない姿勢があるからこそ、自治体や民間企業からの資金援助や無償協力など様々なサポートが集まるのかもしれません。
ロンドン金融街に立つ超高層ビル”ガーキン”。ピクルスなどに使われるキュウリの一種ガーキンに概観が似ていることから、その愛称で親しまれています。(画像引用元)
都市のコミュニケーション・ポイント事例9つのうち、(6)フード・グッズ、(7)フェスティバル・イベントについてご紹介しました。いよいよ最終回のPART5では、(8)公共空間、(9)都市景観・建築について取り上げます。
PART5(最終回)はこちら
まちに関わる人たちのシビックプライドを高める!都市のコミュニケーション・ポイント事例まとめ9選(PART5・最終回)
- PART1はこちら PART2はこちら PART3はこちら PART4はこちら (8)公共空間 良くデザインされ、多くの人々に使いこなされている公共空間は、「この都市はあなたを受け入れている」というメッセージを自然と発し...more
※サムネイル画像はこちらのサイトから引用させていただきました。
(2016/09/30)
著者プロフィール
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funahashi taku
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空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/
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