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松戸市のシティプロモーション

松戸市の魅力を発信!松戸市のシティプロモーション担当にどんなことをやっているのか聞いてみました。

松戸のまちづくりを考えようトークVOL.2を開催しました

「松戸の街を楽しくするためのアイデアを誰かと語りたい」
「松戸には住んでいないがまちづくりに関心がある」
「MAD Cityの活動に興味がある」…etc。

今回イベントのテーマは「シティプロモーションとシビックプライド」。人口減少や少子高齢化を背景に、全国の自治体で取り組まれている、まちの認知度やイメージ向上、子育て世代転入促進、などを目的としたシティプロモーションとはどのようなものなのか?また、シビックプライド(Civic Pride)という、郷土愛に似ているけれど、単に地域に対する愛着を示すだけでなく、自分自身が関わって地域を良くしていこうとする当事者意識にまつわる議論はどのようなものか?

そんな方々に参加してもらい、まちづくりについての考えを深めるためのイベント「松戸のまちづくりを考えようトークVOL.2」を9月11日(日)に開催。今回はゲストとして、松戸市のシティプロモーション担当の方にも来ていただき、松戸のシティプロモーションとシビックプライドについて考えました。

松戸市内外合わせて約20名の方々にご参加いただきました。前半は松戸市の担当から市のシティプロモーションについて紹介いただきました。

松戸市内外合わせて約20名の方々にご参加いただきました。前半は松戸市の担当から市のシティプロモーションについて紹介いただきました。

なぜ松戸市はシティプロモーションに取り組むの?

「松戸市では2014年2月から広報広聴課でシティプロモーションの取り組みをスタートさせ、2015年4月に同課にシティプロモーション担当室を設置して取り組みを本格化させています。」と語ってくださったのは松戸市シティプロモーション担当室の尾形さん。今回は尾形さんの講義を踏まえ、松戸市のシティプロモーションの目的や手法、現在の取り組みなどをまとめます。まずそもそもなんで松戸市がシティプロモーションに取り組むのかですが、それは他の自治体と同じく、人口減少や少子高齢化を背景に市税収入の低下や社会保障関係費の増加が見込まれるからです。松戸の魅力や暮らしやすさを市内外へPRすることで、生産年齢人口の増加や市民の満足・幸福感を向上させようと、まつどシティプロモーション推進方針(2013年10月策定)に基づいて、松戸市の魅力を発信しています。

シティプロモーションは市外の人向けと思いきや、市内の住民に対しても松戸に住み続けたいと思えるようなPRを行っています。

シティプロモーションは市外の人向けと思いきや、市内の住民に対しても松戸に住み続けたいと思えるようなPRを行っています。

松戸市の人口って増えてるの?

松戸市の人口ですが実は増えています。東日本大震災を機に人口は減っていきましたが、2013年12月時点で485,962人だった人口は2016年7月末日現在491,564人と増加中です(住民基本台帳人口)。しかし、生産年齢人口(15歳〜64歳)も年少人口(14歳以下)も減っていますし、2014年から転入数の多い月が増えていますが、柏市や流山市、東京23区などへの転出数は依然として多いままです。社人研の将来人口の推計でも松戸市は、2060年に322,325人にまで人口減少が進むと予測されています。そのような状況ですが松戸市では、立地的優位性からファミリー層や若年層の転入増の可能性があるとしています。各種施策により2060年まで、現在の人口の水準である50万人程度を維持することを目標に掲げています。

ファミリー層や若年層に選ばれる自治体になれるかどうかが鍵です。

ファミリー層や若年層に選ばれる自治体になれるかどうかが鍵です。

「やさシティ、まつど。」って?

そこでまずは市制施行70周年を記念して全国から公募し、ロゴマークとスローガン「やさシティ、まつど。」を決定して、やさしい街=松戸市というブランディングを始めました。そして松戸市のシティプロモーションのターゲットは主に3つあります。

  1. 松戸市の認知度やイメージ向上(例.東京駅から松戸駅まで最短24分
  2. 子育て世代の転入促進(例.子育てを応援するサービスが充実)
  3. 他市への転出抑制(例.知られていない魅力やサービスがある)

エコや環境、ユニバーサルデザインに配慮された街、高齢者や障害者、シングルマザーが暮らしやすい街。子供達が健やかに育つ街。などなど、街がやさしいってどういうことでしょうか?

「エコや環境、ユニバーサルデザインに配慮された街」「高齢者や障害者、シングルマザーが暮らしやすい街」「子供達が健やかに育つ街」などなど、”街がやさしい”ってどういうことでしょうか?

メディア活用で松戸市をPR!

それでは具体的にシティプロモーションの活動ですが、2つあってまず1つ目は多様なメディアを活用して松戸市の施策などをPRすることです。主なものをご紹介すると、

2015年10月の1ヶ月間、JR東日本「上野東京ライン」が通る都内の品川駅・東京駅・上野駅の3駅にデジタルサイネージで松戸市のPR。どの駅も6分に1回掲出されました。

このPRにより実際に、戸定邸の入館者数が増えたそうです。

このPRにより実際に、戸定邸の入館者数が増えたそうです。(画像引用元)

2015年12月はイルミネーションの人気スポットである東京メトロ六本木駅の、六本木交差点方面改札口にある全21画面のデジタルサイネージを使いました。

子育て世代が暮らしやすいというイメージを、子育て世代や若年層がたくさん訪れる場所・タイミングにPR。

子育て世代が暮らしやすいというイメージを、子育て世代や若年層がたくさん訪れる場所・タイミングにPR。

他にも、「子供たちが元気に育つ街・松戸市」をテーマに、FMラジオ局「bayfm78」で松戸の魅力を発信するラジオ番組「MATSUDO HAPPY☆topics」を放送したり、インターネットプレスリリースで松戸市の情報をニュースとして全国へ発信するなどしています。

子供たちが元気に育つ秘訣、子育て世代のママ&パパが楽しく参加できるイベント、街の歴史や食など、松戸市の情報番組をbayfm78で発信!

子供たちが元気に育つ秘訣、子育て世代のママ&パパが楽しく参加できるイベント、街の歴史や食など、松戸市の情報番組をbayfm78で発信!(画像引用元)

まつどやさしい暮らしラボで情報を共に創る

そして2つ目は、市民と一緒に松戸市の魅力を発信しようという情報共創型シティプロモーション「まつどやさしい暮らしラボ」です。松戸市民や松戸市に愛着がある人たちが、リアルな声として松戸の魅力や暮らしやすさを情報発信していこうという趣旨で2014年2月に発足しました。例えば、これまで2回実施した「やさしい暮らしインタビュー」では、まつどやさしい暮らしラボのメンバーたちが街頭インタビューを行い、計997人の方に答えてもらいました。

「松戸のやさしいと思うものにソールを貼ろう」の結果、997人中387人が「利便性・交通」、230人が「自然や風景」と回答。詳しい結果はこちら。

「松戸のやさしいと思うものにシールを貼ろう」の結果、997人中387人が「利便性・交通」、230人が「自然や風景」と回答。詳しい結果はこちら(画像引用元)

松戸やさしい暮らしガイドを作成・発行

そして出来た1冊が「松戸やさしい暮らしガイド」です。松戸の交通アクセスの良さ、子育てサポート情報、自然や歴史、食、市内のエリア別ガイドなど、充実した内容になっています。無料。PDFでもダウンロードできます

実際に松戸市に暮らし、サービスを利用している人だからこそ感じている松戸市の魅力を1冊にまとめました。

「松戸やさしい暮らしガイド」の一コマ。実際に松戸市に暮らし、サービスを利用している人だからこそ感じている松戸市の魅力を1冊にまとめました。(画像引用元:PDF)

シティプロモーションで大変なことって?

以上が松戸市のシティプロモーションの概要でした。最後は質疑応答コーナー。尾形さんに色々質問しました。

Q1.シティプロモーションで大変なことは何?
A1.シティプロモーションというと派手だと思われがちだけど、だからこそ「どんなことをやっているか、なかなか見えない」、とよく言われます。だからPRが見えるようにさらにPRすることが必要なので大変です。あと、税金を使って事業を行っているので費用対効果をすぐ出すべきですが、シティプロモーションの成果を測るのはとても難しく悩ましいです。

Q2.シティプロモーションについて一通り取り組んでいるが、今後はどんな取り組みを考えているのか?
A2.松戸市民と一緒に働きかけていく部分をもっと広げていきたい。例えば、市外に出て、松戸やさしい暮らしラボのメンバーが松戸をPRするような。他には、お金を払わなくてもTVや雑誌の特集に載せてもらえるようにしていきたいですね。

Q3.松戸は住む場所として以外にも、働く場所としてはプロモーションしていかないのか?
A3.現状の松戸市は昼間人口が少なく、都内に働きに出ている人が多いため住む場所としてのプロモーションがメインになります。しかし今後、ワーキングマザーが増えていけば、職住近接を目指して企業誘致する、ということも具体的に検討していく必要があると思います。

シティプロモーションの取り組みは即効性があるものは少ない。だからこそ継続的に試行錯誤しながら、取り組んでいく必要があります。

シティプロモーションの取り組みは即効性があるものは少ない。だからこそ継続的に試行錯誤しながら、取り組んでいく必要があります。

次回記事では、イベント後半に行われたシビックプライドのアイデア出しと、当事者意識を持って育てていけるシビックプライドは何か、参加者全員で議論した様子をまとめます。引き続きご覧ください。

(2016/10/14)

著者プロフィール

funahashi taku

funahashi taku

空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/

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