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まちの良さと悪さを直視して情報発信することがツンデレタウン松戸に求められること
この記事は2016年9月11日に行われた「松戸のシティプロモーションとシビックプライドについて考えよう!トーク」のレポート記事です。
過去記事はこちら
松戸市の魅力を発信!松戸市のシティプロモーション担当にどんなことをやっているのか聞いてみました。
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松戸のシビックプライドの種をブレストでアイデア出ししてみた(後編)
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松戸のイメージを変えうるシビックプライドとは?
松戸市シティプロモーションの取り組みの講義の後は、イベント参加者が5、6名くらいずつのグループに分かれて松戸のシビックプライドの種をアイデア出ししました。さて次は、出てきたアイデアを踏まえ、松戸のまちのイメージを変えうるシビックプライドとはなにか、具体的に絞り込む作業です。その方法としてはまず、松戸のまちに対する愛着の度合いで2グループに分けてみます。そして松戸に愛着を感じる人たちのグループと、そうでもない人たちのグループが、それぞれ交互に議論することで、松戸のイメージアップにつながるシビックプライドを導こうとしました。
ツンデレタウン松戸は帰って来たくなるまち
松戸のまちが大好きな人たちグループ(以下Aグループ)の議論からは、松戸の魅力、翻って松戸のシビックプライドになりうるモノやヒト、コトなどがたくさん出ました。
- 歴史のある店や人を大切にする価値観の重要性
- 祭りを地元住民はとても本気で取り組んでいることに気づいたこと
- 地元住民は表立って歓迎はしないけれど実は新住民を受け入れる気持ちがあるということ
- 一度違うまちに出て行っても帰って来たくなるまちということ
歴史や伝統、地域コミュニティはまちの魅力でもありますが、とかく排他的で閉鎖的という側面もあります。でも松戸の地域コミュニティは一応小さい門戸を開いて待っている、そのことに気づいていない人が多い、という話が印象的でした。最初は素っ気ないけれど、仲良くなれば一気に仲間になれるというツンデレなまち松戸(宿場町の名残を感じる本町エリア限定かもしれませんが)。そして、他のまちに出て行っても、松戸に帰って来る人が多いという話からは、松戸の隠れた魅力がそうさせているように感じました。
東京駅からの直線距離がほぼ同じな三鷹駅と松戸駅
松戸のまちが大好きと聞かれたら、そうでもないと答える人たちグループ(以下Bグループ)の議論からは、Aグループに対するカウンターコメントが多数出ました。
- どんなに歴史や祭りが盛んでも若い世代(新住民)にとって住みやすいまちにならないと消滅可能性都市になってしまう
- 流山市のシティプロモーション「母になるなら、流山」のように今後はプロモーションを頑張らないと生き残れない
- 魅力的な祭りがあるからといって子育て世代が引っ越してくるとは思えない
- 若い世代が活躍できる場をつくったり発信することが重要
- 最終的には人とのつながりの中でまちが魅力的になってくる
- 自分の子供も松戸に住み続けるという世代を越えた好循環が起こっていることは自治体職員目線から魅力に感じる(幼少期に楽しい思い出があるとかも要因の一つか)
- 地域コミュニティの門戸が狭いことを認めて逆にそこを積極的に推していく
- 引っ越すときには住宅価格や路線・駅が多いかどうか(つまり利便性の良さ)といった数字を発信していくことは重要
特に面白かったのは東京駅からの直線距離がほぼ同じな三鷹駅と松戸駅(こちらのサイトによると松戸駅〜東京駅は16.75km、三鷹駅〜東京駅は18.726kmです。)とを対比させて、松戸の住みやすさを発信したほうがよいのではないか、という話です。つまりあくまでも松戸は東京のベッドタウンだ、ということを前提にすると東京駅からほぼ同じ直線距離である三鷹駅と松戸駅とを比べてみると圧倒的に住宅価格が安いのは松戸です(こちらのサイトによると新築マンションの平均価格は三鷹市が4,869万円、松戸市は3,531万円です。2016年11月16日閲覧。)の。こういった東京で働いている子育て世代にとって実際問題としてチェックせざるを得ないことを明確に数字として発信していくことは重要です。
かっこわるいと思う所も含めた松戸カルチャーを内外に発信
再度Aグループの議論に戻ります。自分の子供たちがまた松戸に帰ってくるためにできること、住宅価格の安さの発信だけでは物足りないこと、あえて門戸を狭めることで興味を惹くという手法、など前段の議論を踏まえた一段踏み込んだ内容になりました。
- こういったまちづくりワークショップに地元の高校生など若い世代にも参加してもらえたら良い
- 松戸に引っ越してきた新住民同士が話したり集まれる場所があると良い
- 自分から行動することの大切さ
- 松戸の住宅価格は安いけれどそれで転入者が増えるわけではない
- つまり単純に安いからといってすぐ売れるわけではない
- あえて門戸を狭めたほうが来たくなるのかもしれない
- 松戸のかっこわるいと思う所、ネガティブな所(チェーン店だらけ、花街として栄えた、など)を認めてPRする
こういったまちづくりワークショップに高校生や若い世代が参加することで、松戸のまちに対する愛着や理解が深まり、将来また松戸で暮らしたいと思うようになる好循環が生まれたら素敵です。そういう教育的な視点は、持続可能なまちづくりを実現する上で重要なポイントですね。住宅価格の安さや東京への利便性も確かに価値なのですが、それだけではなんとも物足りなくて、松戸固有の歴史や現代カルチャーを良いものも悪いものもちゃんと見据えて、松戸内外の人に情報発信していくことはシビックプライドを高めつつ、シティプロモーションにもつながるのかなと思います。
やさシティの具体化とコミュニティをつくること
最後はBグループの議論で〆です。
- 船橋市や墨田区では100組くらいのアーティストやグループやが出る音楽フェスがあるが、高校生などボランティアも参加して、みんなでイベントを運営している、こういった大きなイベントの開催は、運営に関わるというプロセスもシビックプライドにつながるのではないか
- 松戸の優位性は東京で働く上で通勤に便利ということくらいで、美味しいラーメンやコスプレは住みたいと思うまで訴求する価値にはならない、その結果「やさシティ」などといったぼやっとしたプロモーションにならざるを得ない、何が”やさしい”のかをもっと理論的に発信できると良い(子育て、通勤、住宅価格が安い、など)
- ネガティブなことを隠さず発信するにしても、実際は魅力的だったり良いものと思ってもらわないと元も子もない、プロモーションやブランディングもしつつ中身も充実させていくことが重要
- 利便性は他のまちとの比較から生まれる相対的なもの、それよりもまちの中に少ないコミュニティをもっと増やしていくことが大事
ここまで議論してきましたが、シティプロモーションの文脈で言うと、松戸市シティプロモーションのスローガンである「やさシティ」とはどういうことなのかをもっと明確化かつわかりやすくする必要性を感じました。子育てにやさしい、通勤にやさしい、住むにやさしい、さらには財布にやさしい、などなどたくさんあるはずなので、そこをもっと整理してわかりやすく発信していくこと。次にシビックプライドの文脈で言うと、地元住民を中心として地域コミュニティだけではなく、新住民を中心とした松戸在住歴が少ない人たちが話したり集まれる場がいくつもあると、松戸のまちの理解や愛着につながるのかなと思います。
(2016/11/21)
著者プロフィール
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funahashi taku
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空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/
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