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AAPA連載 VOL.3「ほぐして、つなぐ。からだを動かすコラム」

※サムネイル写真出典:C.I.N.N.主催「東京コンタクト・インプロ・フェスティバル 2014 撮影者 山本眞紀

AAPAの永井美里(みのり)です。梅雨が明けて、すっかり夏らしくなってきましたね…!

6月からMAD CityのFANCLUBで定期的に行っているクラスも、8月からは「夏バテ対策!」として、朝のクラスを中心に行っていきます。暑くてからだがだるいなーというとき、ぜひ朝からからだをほぐして、リフレッシュした気持ちで1日をスタートしてみてください。

そして今回のコラムは、クラスの後半に行っている「コンタクト・インプロ」について。コンタクト・インプロは様々な形で発展しているので、このコラムではあくまで私たちの視点から、コンタクト・インプロについて紹介してみたいと思います。

「コンタクト・インプロ」ってなに?

コンタクト・インプロ(正式にはコンタクト・インプロヴィゼーション)は1972年アメリカにてスティーヴ・パクストンが考案した、ダンス経験の有無に関わらず、誰もが参加できるダンスの即興形式です。
海外では、様々な場所でフェスティバルも開催され、ダンサーやパフォーマーだけでなく、趣味として楽しむ一般のひとも多く、老若男女を問わず、皆で一緒に楽しんでいる点が特徴的です。東京でも、年に1度海外から講師を招聘して行われている「東京・コンタクト・インプロ・フェスティバル」(C.I.N.N.主催)などが開催されています。

言葉ではなく「からだ」と「感覚」を通して人と何かをすることは、楽しさ・心地よさと同時に、様々な発見を得ることにつながります。そのためコンタクト・インプロは、「誰もが参加できる運動/スポーツであり、同時にさまざまな動きを鑑賞できるダンス」として、「アート・スポーツ」と表現する人もいます。
そしてコンタクト・インプロは、実は合気道や武術の要素が取り入れられて発展したものなので、日本文化にも、とてもつながりのあるダンスです。

■具体的にはどんなことをするの?
コンタクト・インプロは、決まったステップや動きがあるというより、自分と相手の「接点(コンタクト・ポイント)」を通じて、重さを感じ・分かちあうことから生まれる流れに、身をまかせることで動いていきます。

ここでの「接点」とは、自分のからだと外が、接している場所のことを指します。自分と相手のからだが直接触れ合っている場所も接点ですし、自分ひとりで立っているときも足の裏が床に触れているので、自分のからだと床の間に接点が生まれている、と考えます。

そして、「接点を通じて、相手のからだ(他者)を感じる」ことが、コンタクト・インプロのスタートです。おたがいに体重をかけあい、支えあい、からだを転がしたり、一緒に崩れ落ちたりなど、接点から生まれる流れを段階的に知っていくことで、とても繊細な動きから、ダイナミックでアクロバティックに見える動きまで、様々なバリエーションを生み出すことができます。

クラスでは何をするの?

■からだの重心をみつける
最初、からだをリラックスして、目を閉じて立ちます。おなかのあたりに手を置き、何度か大きく呼吸をして、おなかが風船のように膨らんだり、縮んだりするのを感じます。そして自分のからだのなかの重心を、ボールのようにイメージします。

次に、床と接している、足の裏に意識をむけます。足の裏と床がどんなふうに接しているか、感じてみます。次第に、ただ立っているだけでも、からだが小さくゆれていることに気づくと思います。

この小さなゆれは、どこからくるのでしょう?
からだは常に、重力との関係によって、動きが生まれています。人間は、地球の中心に向かって引っ張る重力に対し、反対の方向に押すことで、立っています。その関係性のなかで、「フォール(落ちる)」と「リカバリー(元に戻る)」という動きが生まれていて、それが小さなゆれとなって、現われています。
この、からだがただ立つことのなかで生まれている、小さなゆれによる動きを、コンタクト・インプロでは「スモールダンス」と呼んだりします。

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■重さを流す
続いて、足の裏のいろんな場所に重心を移動してみます。かかとのほう、 つま先のほう、右に、左に、自由に動かしながら、からだの重心が変わることで生まれる流れにそって、動いていきます。
少しずつひざを曲げたり、伸ばしたりする動きを大きくしていくことで、さっき見つけた「立つ」ということのなかにある「フォール」と「リカバリー」を、自分で発展させていきます。
ひざを曲げることで、より深く床に落ちていく、ひざを伸ばすことで、床を押してもどってくる。そうすることで、より大きな動きの流れが、全身に生まれてきます。

■ふたりで動いてみる

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C.I.N.N.主催「東京コンタクト・インプロ・フェスティバル 2014 撮影者 上本竜平

今度は、2人のからだでひとつの重心を見つけてみます。

それぞれ接点の外側にある、相手の足と自分の足で立っている感覚を確認して、また自分の両足にもどって立つ。

再びゆっくりとお互いのからだに寄りかかり、触れ合っている接点から、他者のからだの重さや質感を感じる。接点を通して、相手の足、そして相手の足が触れている床を、感じてみる。

「2人でひとつのからだ」としてある感覚に慣れてきたら、接点でお互いを支えあいながら、2人で一緒に空間を移動してみます。
移動するなかで、2人のあいだの重心のレベルを変えて、相手に寄りかかったり、反対に支えたり、またバランスをとったり。2人でひとつの重心を分け合いながら、生まれる流れに身をまかせて、接点の場所も移動させたりしながら、からだの形を変えて、動き続けていきます。

コンタクト・インプロの魅力

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クレジット記載:C.I.N.N.主催「東京コンタクト・インプロ・フェスティバル 2012 撮影者 山本眞紀

私がコンタクト・インプロにはじめて触れたのは、大学に入学したてのころに受けた授業でした。私は入学したダンス学部のなかで唯一の留学生で、言葉で対話を深めることに、壁を感じていました。そんな時にはじめて「コンタクト・インプロ」を体験して、クラスメイトとつながりを感じることができ、すごくリラックスすることができたことを、よく覚えています。言葉の壁はあっても、「からだ」という同じ言語があり、通じ合うことができるという経験は、私にとって、とても大きな出来事でした。

そして日本に帰ってきてあらためて思うのは、「からだで感じる・対話する」ということは、おたがい同じ日本語を話す日本人同士でも、とても大切なことだということです。

言葉は通じているのだから、わかっているはず、伝わるはず、と思ってしまいがちですが、実際は全然伝わっていない、理解しあえていない、ということもあります。また、偏見やイメージで、この人はこういう人、と勝手に思いこんでしまう、ということもあると思います。

そういった頭で考えてしまうことだけではなく、「からだ」や「感覚」でつながることで、越えられなかった壁を越えられることが、あると思います。

今は普通に生活していると、からだに比べて頭を使う割合が、とても大きくなってしまいます。
からだを動かす、からだで感じる、からだで知る。そんな時間をもっと大切に、意識的にもつことが、これからさらに大事になっていく気がしています。

自然と生まれてくる流れに身をゆだねて動いていくことは、とても単純に気持ちが良いですし、相手がいることで、頭で考えてしまうのではなく、からだに集中できるということを実感できると思います。
コンタクト・インプロを通じて、からだに意識を向けて、気持ちよく、人と一緒にからだを動かすことを、ぜひ体験して楽しんでもらえたら嬉しいです。クラスはいつでも参加OKなので、ぜひ気軽に参加してくださいー。お待ちしています!

永井美里|Nagai Minori

1983年生まれ。6歳よりバレエを始め、英国ミドルセックス大学ダンス学部でコンテンポラリーダンスを学び、2006年に卒業。帰国後、2007年よりAAPAの創作活動に参加。現在は北千住の「日の出町団地スタジオ」を拠点に、ダンスの面白さを地域に向けて広く伝えていくために活動中。また港区の保育園へのアーティスト派遣事業のコーディネーターも行っている。http://minori.aapa.jp/

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