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空き家対策特別措置法の施行で何が変わる?

空き家対策特別措置法の施行で何が変わる?

空き家対策特別措置法が完全施行されました

2015年は「空き家対策元年」です。昨年7月に、5年に1度の総務省の調査である住宅・土地統計調査により最新の空き家数や空き家率が公開(全国の空き家数は約820万戸、空き家率は13.5%と両方とも過去最高)され、11月には空き家対策特別措置法が成立、今年2月には同法が一部施行、そして5月に完全施行されました。法律が出来る前の空き家対策は各自治体で任意に定めた空き家対策「条例」が根拠になっていましたが、これからは空き家対策特別措置「法」が根拠となって全国津々浦々の自治体で空き家対策が実行されていきます。具体的には次の4点が重要になると思われます。

参考:空家等対策の推進に関する特別措置法の概要

1.  市町村による空き家への立入調査が可能に

これまでの空き家対策はあくまでも「お願い」ベースでしたが、法律の後ろ盾を得ることで「指導」することが可能になりました。具体的には空き家の所在や所有者を把握するための調査や空き家への立入調査が出来るようになります。

<空き家対策特別措置法第9条>
(第1項)市町村長は、当該市町村の区域内にある空家等の所在及び当該空家等の所有者等を把握するための調査その他空家等に関しこの法律の施行のために必要な調査を行うことができる。
(第2項)市町村長は、第十四条第一項から第三項までの規定の施行に必要な限度において、当該職員又はその委任した者に、空家等と認められる場所に立ち入って調査をさせることができる。
引用:「空き家等対策の推進に関する特別措置法」逐条まとめpart3

7軒に1軒が「空き家」・・・”特措法”施行で問題解決へ(15/02/26)-You Tubeの画像

7軒に1軒が「空き家」・・・”特措法”施行で問題解決へ(15/02/26)-You Tubeの画像(画像引用元)

2. 空き家所有者の把握のために固定資産税情報の利用が可能に

空き家所有者を把握するためには不動産登記簿を確認するという方法が一つ大きいです。しかし不動産登記には「表示に関する登記」と「権利に関する登記」という2種類があって、「表示に関する登記」は義務ですが「権利に関する登記」は任意なので、空き家所有者が亡くなって相続しているにもかかわらず名目上の権利者は亡くなった親になっていて、実際の空き家所有者はその子供になっているケースというのがありがちです。

そこで固定資産税課税などの目的で保有した情報を、空き家所有者の把握などのために利用することが可能になりました。

<空き家対策特別措置法第10条>
(第1項)市町村長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空家等の所有者等に関するものについては、この法律の施行のために必要な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
引用:「空き家等対策の推進に関する特別措置法」逐条まとめpart3

3. 特定空き家に対する助言・指導・勧告・命令・代執行が可能に

空き家対策特別措置法では空き家の定義付けもちゃんとなされています。

空家等

「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)」

特定空家等

「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等」
(参照:空き家対策特別措置法第2条

つまり空き家の中で、そのまま放置していると倒壊する危険性があったり、衛生上有害となる恐れがあったり、著しく景観を損なっている状態などの場合は特定空き家に指定されることになります。そして特定空き家に対しては除却や修繕、立竹木の伐採などを市町村が助言・指導を出来るようになります。改善されない場合は勧告し、正当な理由なく勧告に係る措置を取らない場合は命令し、さらにそれでも措置を取らない場合は代執行することが出来るようになりました。

<空き家対策特別措置法第14条>
(第1項)市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。
引用:「空き家等対策の推進に関する特別措置法」逐条まとめpart4

倒壊の危険があるとして、神戸市が行政代執行による撤去を決めた老朽空き家=2014年5月、神戸市中央区

倒壊の危険があるとして、神戸市が行政代執行による撤去を決めた老朽空き家=2014年5月、神戸市中央区(画像引用元)

4. 「特定空き家+勧告」で空き家にも適用されていた税制優遇措置が除外に

住宅用地の特例」という税制優遇措置があり、これまでは住宅用地に対する固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3まで減額されていました。本来この税制優遇措置は住宅用地に適用されるものなので、空き家の場合は適用されるべきではないのですが、これまでは一時的な空室と、恒常的な空き家の区別をつけることが難しく、空き家でも税制優遇が効いていたのです。新築住宅建設を促進してきた高度成長期の住宅政策の名残と言えます。

そんな「住宅用地の特例」ですが、空き家対策特別措置法の制定・施行に合わせて税制改正がなされました。つまり、市町村が特定空き家に対し周辺の生活環境を保全するために必要な措置をとるよう勧告した場合、税制優遇措置が除外されることになります。

平成27年度税制改正(概要)

平成27年度税制改正(概要) (画像引用元)

空き家または空き家予備軍をお持ちの方またはご家族はぜひ活用をご検討ください

2020年から本格的に人口減少社会に突入(2019年をピークに世帯数が減少する)し、不動産市場は縮小に向かう傾向にあります。一方で中古住宅流通市場の活性化に向けた動きも盛り上がってきており、今後は空き家などの既存ストックを修繕したり改修したりして長持ちさせようという住宅文化を育てていくことが重要だと言われています。

この記事では主な変更である4つのポイントを説明しましたが、これから空き家対策が本格化していきます。これまでとは異なり、空き家を放置していると行政から厳しい指導がくだったり、税金が上がったり、それも放置していれば行政により建物を取り壊され、その代金を請求されるといったリスクも出てしまうのです。倒壊するような傷んだ空き家だけでなく、いわゆる「ゴミ屋敷」も対象になります。今まで「面倒臭い」と空き家を放置していたオーナー様も、この機会にどうしたら良いか考えるタイミングに来ているのではないでしょうか?

MAD Cityにできること -サブリースと情報提供(講演)-

MAD Cityでは空き家などお困りのオーナー様にむけ、空室の家賃保証を実現するサブリース(借り上げ・転貸)を提供しています。入居者による改装を支援することで、築40年以上の物件でもお部屋の価値があがり、実際に契約更新時に、オーナー様にお支払いする賃料が上昇している実績があります。対象エリアは松戸駅から徒歩20分圏内と限られますが、ご興味ある方はぜひご相談ください。また空き家活用に関して講演依頼もお応えしていますので、エリア外の行政およびまちづくり関係者の方はそちらをご検討ください。

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著者プロフィール

funahashi taku

funahashi taku

空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/

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