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MAD City独自のクラウドファンディングサイト「MAD City FUNDING」

地方発信のクラウドファンド「MAD City FUNDING」を立ち上げたわけ(前編)

MAD City独自のクラウドファンディングサイトを開設

今年6月、千葉県・松戸駅前でMAD Cityプロジェクトを運営する株式会社まちづクリエイティブは株式会社WESYMと提携し独自のクラウドファンディングサイトを設立しました。
【プレスリリース】MAD City独自のクラウドファンディングサイト

現在立ち上がっているプロジェクトは4つあります。

  1. みんなのDIY工房をつくろう!~MAD Cityレンタル工具&暮らしの実験室~
  2. この町のお土産を持って、あの人に会いに行こう。~MAD City土産物MAP~
  3. みんなで江戸川河川敷BBQをしましょう!
  4. 【無謀】MAD City市民を松戸市民より多くしたいステッカー48万人大作戦【挑戦】

MAD City独自のクラウドファンディングサイト「MAD City FUNDING」

「MAD City FUNDING」トップページはこんな感じです

DIY工房にMAD City土産物MAP、江戸川河川敷BBQにMAD Cityステッカー48万人大作戦と、どれもMAD Cityならではと言えるプロジェクトが並んでいます。MAD Cityでは地域の歴史や伝統を大切にしながら、松戸駅前の半径500mというスモールエリアを核に、空き家や空き室を改装可能・原状回復不要な賃貸物件として貸し出しています。住民を集め、入居者同士のコミュニティの醸成や自発的なアイデアやアクションを引き出し、物件価値とエリア価値の向上につなげようと取り組んでいます。

なぜMAD City自らクラウドファンデイングのプラットフォームを立ち上げたのか?

上記4つのプロジェクトを達成することだけが目的ならば、なにもMAD City独自のクラウドファンディングサイトを設立しなくても、READYFORMakuakeCAMPFIREといった大手クラウドファンディングのプラットフォームを利用すれば事足りるはず、むしろその方が効率的なはずです。なぜMAD City自らクラウドファンディングのプラットフォームを立ち上げたのか?その狙いと現在の進捗状況、今後の展望などについて、まちづクリエイティブ/MAD Cityの寺井にインタビューしました。

代表の寺井へインタビュー

まちづクリエイティブの事務所(MAD City Gallery)でのインタビューの様子。壁にはMAD Cityのヴィジョンが飾ってあります。

MAD Cityの特徴の一つは、建物を建てるのではなく人に着目していること

―早速ですが、MAD Cityが自らクラウドファンディングサイトのプラットフォームを立ち上げた狙いを聞かせていただけますか?

寺井:僕たちは人に着目したまちづくり事業を行っているんです。そして、まちは人々の暮らしを支えていて、人々の人生を豊かにしたりチャレンジングにする機能を持っていると思っています。そのまちに来て暮らすことで、その人の人生が何らか変わったり、夢が叶っていくみたいなことが起きるのだと思う。まちの存在意義って、本質的にはそういう「そこに暮らす人を応援すること」だと思うんです。それで、その仕組みをもっと創っていきたいなと思って考えたら、クラウドファンディングをやるべきだな、という結論になったんです。

―人に着目したまちづくり事業、というお話があったんですが、MAD Cityではこれまでどれだけの人が引っ越してきたのでしょうか?

寺井:2010年のプロジェクト開始以来、いわゆる空き家を転貸する事業を中心に活動してきました。賃貸でも原状回復義務を無くすなどの工夫により、空き家の利活用とともに、これまで170人以上が住居や事務所移転などで集積するといった成果があがっています。集まった住民がクラフトマーケットビアガーデンなど、まちに飛び出しながら独自の活動を多数行っているなどは特徴的なことだと思います。

MAD Cityのコアエリア。

MAD Cityのコアエリア。詳細はこちらでどうぞ。

―新しい住民が、それぞれやりたいことを実現させている例が多いのは、MAD Cityの魅力だと思います。改装可能な賃貸物件は住民が日常生活のうちから空間づくりや新しいライフスタイルに挑戦することにつながりますし、実際にイベントを自発的に立ち上げてる方もいらっしゃる。そういう状況で、新しいクラウドファンディングを創ろうという理由はなんだったんでしょう?

寺井:住民主体の活動は盛んなんですが、そこに外部からも支援があれば、もっとクオリティや面白さが高まっていくんじゃないかなと思ったんです。MAD Cityというプロジェクトは、まちづクリエイティブという会社が立ち上げて、もちろん核に居て、いわゆる地元コミュニティにも応援をいただいて、住民が増えて、いろいろ活動している。それで、今関わっている人たち以外にも、MAD Cityの新住民層や、MAD Cityの外部の人からも応援してもらえるようになったら良いなあと思ったんです。

―すでにクラウドファンディングはたくさん取組があって、いわゆる有名サービス、大手クラウドファンディングもあります。そこでプロジェクトを立ち上げずに、わざわざプラットフォームから創ったことにも理由がありますか?

寺井:もちろん既存のクラウドファンドのサービスはたくさん有るんです。でも、いわゆる大手のクラウドファンディングに掲載されているプロジェクトって、ものすごく大規模化している気がするんですね。すごくマッチョというか、全力で告知して、全力で依頼して、プロジェクト成立したらしたで、全力で責任が重そうだったりして。もちろんお金を扱う以上、誠実さや管理体制は重要なんですけど、気軽に使えないものになっている気がした。それって、都会的なクラウドファンディングというものがあるとしたら、まさにそれだと思って、逆に言えばよりローカルなクラウドファンディングのあり方ってあるんじゃないかなと思い始めたんですね。

クラウドファンディングをもっとバカっぽく普段使いしたい

―ローカルなクラウドファンディングと言えば、FAAVOが有名ですよね。

寺井:そうですね。もちろんFAAVOさんのことは知っていて、素晴らしいと思います。一方で、僕らがやりたくなったことって、それぞれの地域に絞る、場所やエリア縛りという以上に、クラウドファンディングをめぐるスタイル、価値観に関わるところがあって。自分のやりたいことを表明して、まわりに応援を募るということをもっと日常にしたいということが核にあるんです。クラウドファンディングのカジュアル化とか、もっとバカっぽく普段使いしたいなとか。

FAAVOは「出身地と出身者をつなぐ」ことをコンセプトとした「地域×クラウドファンディング」

FAAVOは「出身地と出身者をつなぐ」ことをコンセプトとした「地域×クラウドファンディング」

―バカっぽいというと、どういうプロジェクトが想像されているんでしょうか?例えばCAMPFIREは比較的、尖ったクラウドファンドを展開してきた印象がありますが。

寺井:CAMPFIREさんはクラウドファンディングで言えば老舗的な印象があって、実際に尖ったプロジェクトが多い印象ですよね。僕の言うバカっぽいというのは、尖ってもいなくてですね……日常に即して、ものすごく素直だったり直球と言うんでしょうか……結果、バカっぽく見えてしまう、みたいなことなんです。例えば、すごい美味しいお酒のことを知って、あ、飲みたいなとか思うのってごく素直な気持ちじゃないですか。で、飲みたいけど高いし一人で飲んでも面白く無いという気持ちもあったりして。じゃあ、みんなでお金出し合って買って、飲もうよっていう、その程度の企画と言いますか。

―飲みたいからクラウドファンディングしても良いじゃないか、ということですか?

寺井:そうです。飲み会やりたいからクラウドファンディングとか、ちょっと大手サービスだと気が引けるじゃないですか。他にも、家にDIYで大きな本棚を作ってみたくて、でも一人じゃ大変だし木材買うのもお金かかるし、クラウドファンディングする、とかでも良いと思うんです。原材料費が集まって、手伝ってくれる人も現れるかもしれなくて、その人たちにDIYリノベの過程自体を良い経験だなって喜んでもらえるかもしれなくて。それで、でかい棚ができるとして、ファンディングしてくれた人に、捨てたくないけど普段読まない、実家に置きっぱなしみたいな本を保管するスペースとして一角を提供するよ、というリターンとかでもいいんじゃないか、とか。そういう、今の大手クラウドファンディングで実践するほどのことでもない、日常の思いつきとかトライアルみたいなことを、試せる場所があったら良いのじゃないかと。

飲み会やりたいからクラウドファンディングなど、日常的にクラウドファンディングを使ってもらうためにMAD City FUNDINGを立ち上げました。

MAD City FUNDINGが、日常の思いつきとかトライアルみたいなことを試せる場所になれば、とのこと。

成立しないプロジェクトがあっても良い

―クラウドファンディングって、試す、という感じはあまり無いかもしれないですね。

寺井:もともとはクラウドファンディングって、達成できなければ責任も負わないわけで、どんどんチャレンジングなプロジェクトを立ち上げようというものでもあったと思うんですけど、いわゆる大手サイトにプロジェクトを立ち上げるなら、試す……というぐらいの生半可な覚悟ではダメそうな感じがしますよね。ある種、単なる緩さが許されないというか、緩いなら芸人さんみたいに本気でエンタメしてないといけなそうとか。そもそも達成できなかったら恥ずかしい、辛い思いをする羽目になりそうな気もする……。

―恥ずかしいというのはまあ、わかりませんが、クラウドファンディングのプロジェクトは皆さん全力を吐き出して運営されている感じはします。

寺井:MAD City Fundingについて言えば、そういうある種のプロフェッショナルが求められたり燃え尽きそうな感じ、規模が大きくないと労力に見合わない感じにはしたくなくて、もっと言うと、成立しないものがあっても良いと思っているんです。出したプロジェクトを全て成立させるなんて大変だし、やりたいことを玩具箱みたいにどんどん吐き出して、失敗プロジェクトもそれはそれ、という感じになったらいいなと思っています。失敗できるクラウドファンディング、気軽に日常使いできるクラウドファンディング、みたいな感じですね。

(後編に続きます)

現在はMADCity主体の4プロジェクトが立ち上がっています。

現在はMADCity主体の4プロジェクトが立ち上がっています。

MAD City Fundingのプロジェクトたち。現在はMAD City主体の4プロジェクトが立ち上がっています。

後編はこちら

著者プロフィール

funahashi taku

funahashi taku

空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/

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