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クラウドファンドはお金を集めるだけでなく、参加のプラットフォームにもなる|地方発信のクラウドファンド「MAD City FUNDING」を立ち上げたわけ(後編)
<こちらの記事は前編・後編に分かれています。前編はこちらをご覧ください。>
千葉県松戸駅前でMAD Cityプロジェクトを運営する株式会社まちづクリエイティブは今年6月に、MAD City独自のクラウドファンデイングサイト「MAD City FUNDING」を立ち上げました。なぜMAD City自らクラウドファンディングのプラットフォームを立ち上げたのか?その狙いと現在の進捗状況、今後の展望などについて、まちづクリエイティブ/MAD Cityの寺井にインタビューしました。(前編はこちら)
MAD City住民の概念が拡張するかもしれない
―もし今回のクラウドファンディングが回るようになれば、地方や郊外都市の活性化のヒントになるかもしれないですね。MAD Cityプロジェクトは松戸駅前に絞ったまちづくりですが、このファンディングについては対象エリアを拡大していくことは考えていないのでしょうか?
寺井:MAD Cityのエリアはあくまで松戸駅前ですが、MAD Cityプロジェクトという理念や事業、活動に共感や具体的な支援をしてくださる方はどこに住んでいてもよいわけで、MAD Cityと関わっていただけるようになったら良いなとは少し考えています。MAD City住民の概念が拡張しちゃったら面白いだろうなと思ったりとか。
―MAD City住民の概念を拡張させる、というのは面白い発想ですね。その着想のヒントはどこから得たのですか?
寺井:僕が以前にNPOを起業して活動していた、渋谷区は人口約20万人ですが、昼間人口は約54万人にも上ります。週末に限定すればもっと多いでしょう。大きな渋谷と小さな渋谷がある、なんて話をしていて、つまり渋谷区に住民票が無い、区外の人たちが遊んだり働きに来ている。彼らの道路や公園、電気、ガス、水道、ゴミの運搬処分など生活インフラを支えるお金は、少数の渋谷区民が支払っています。それで当然軋轢もあるわけですが、せっかく来ている来街者を迷惑扱いするだけでなく、渋谷区の準区民としてある程度の発言権を持たせて、代わりにお金も出させる、という制度があってもいいのにな、などと思っていました。住民票があるかないかだけで、まちへの関わり方が制限されてしまうのはもったいないから。
―そこのまちに住まなくても、なんらかのつながりがあれば、まちの一員として関われるようになるのは面白そうです。
寺井:住んでいなくても働きに出ていたり、遊びに来ていたり、そのまちの文化や歴史、ライフスタイルのファンだったりするだけで、拡張したまちのメンバーとしての権利というか、ゆるい枠組みのようなものがあってもいいと思います。MAD Cityという松戸駅前の半径500mの実体を残しつつも、MAD City住民の概念を拡張して、MAD Cityプロジェクトに共感してくれるファンを全国に増やしていくことをちょっと考えていきたいです。ネット上のMAD City FUNDINGが、そういうインターネット住民(?)とつながるプラットフォームになったりしたら面白いでしょうね。
日常生活をクリエイティブにする
―今回、MAD City Fundingで募集してるプロジェクトについてどうぞ。
寺井:「失敗できるクラウドファンディング」なんて言いましたが、「失敗しかしないプラットフォーム」じゃまるで意味が変わってしまって、ダメですよね。だから、まず一つはプロジェクトを成立させたいなと思っています。近い未来で言えばMAD Cityの住民や、将来的にはMAD City的なインターネット住民(?)がプロジェクトを立ち上げる場になれば良いなと思っていますが、いま応援してもらえたらと思っているのは、MAD Cityにある江戸川河川敷のプロジェクトです。この河川敷は松戸駅から10分かからず歩いていける、ある種打ち捨てられた場所なんですが、この場所に最適化したBBQ用具をシェアして、河川敷の活用のキッカケをつくりたいんです。
―「江戸川河川敷に最適化したBBQ用具」というと…?
寺井:プロジェクトの記事で紹介しているのは、一定規模だったら消火器の用意が望ましいけれど、かと言って消火器をそれぞれが買うのはあまり意味が無いから、シェアしようよということです。まあ、それが出発点なんですけど、なにせ現地に居るのでリサーチすると、他にもいろいろとあるんですね。駅から徒歩で行けるのはすごく良いけど、土手に上るときに最後の上りで階段しか無くて、そこは専用の台車があったら良いんじゃないかとか。そういう、なぜかやたら江戸川河川敷に特化した機材を買ってシェアして、さらに応援してくださった方とは一度大々的にBBQ会を開けたら良いなと思っています。もちろん国交省や松戸市の了解も取り付けて。
―では、最後に何かあれば。
寺井:いまMAD Cityに来てくれているインターンが盛り上げ役を買って出てくれて、madcity.jpのなかで みんなで江戸川河川敷BBQをできるのか雑記 という連続更新コラムを書いてくれています。そちらからMAD City Fundingの活動報告へのリンクを貼っているので、ぜひご覧いただけたら。
みんなで江戸川河川敷BBQをできるのか雑記
- このコラムでは、MAD Cityが開設したクラウドファンディングの初プロジェクト「みんなで江戸川河川敷BBQをしましょう!」 を、インターン・湯浅が、松戸で暮らす若者の目線で、語っていきます。なぜこのプロジェクトが始動し...more
そしてなにより、MAD City Fundingを通じて各プロジェクトを応援いただけたら嬉しいです。まずは みんなで江戸川河川敷BBQをしましょう! を実現させて、遠くからの人も居るかもしれませんが……ぜひ一緒にBBQしましょう!
―日常生活をクリエイティブにするためのクラウドファンディングサイトが走りだしたらいいですね。クリエイティビティは日常生活にこそ宿るということでしょうか。寺井さん、長時間ありがとうございました。
みんなで江戸川河川敷BBQをしましょう!
4つのプロジェクトのうち、「みんなで江戸川河川敷BBQをしましょう!」の応援期限は8月末。このプロジェクトは一言でいうと「BBQ用具をシェアする/河川敷の活用を考えるキッカケをつくる/みんなで大BBQイベントをやる」ためのクラウドファンディングです。ぜひ応援いただき、みんなで江戸川河川敷BBQをしましょう!
著者プロフィール
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funahashi taku
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空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/
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