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DIY床下地WS_前半

プロの大工に教わる「DIYリノベワークショップ」レポート〜床下地編〜 前編

DIYリノベとは

MAD Cityでは、新たなリノベーションサービスとして、「DIYリノベ」を提供しています。
「学ぶ」+「描く」+「一緒につくる」をコンセプトに、依頼者も設計や施工に参加できるプログラムを用意することで、居住者自身が更新しつづけられる部屋づくりを提供しています。

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具体的には、「居住者自身が更新しつづけられる部屋」として、DIY可能な賃貸物件をご提供するとともに、「学ぶ」機会として参加型のワークショップを不定期開催しています。

DIYリノベ体験ワークショップ 床下地編

今回は、「床下地づくり」という上級者向けのワークショップを開催しました。
古くなった建物は、床の下地がダメになったり、間取りが使いにくかったりと、様々な理由で空き家化してしまうことがあります。そうなってしまった空き家を活用するために、例えば和室を洋室に変更する際はまず畳を剥がしますが、畳を剥がすと床のレベルが変わってしまうため、ただ解体するだけではそのまま床を張ることができません。
今回のワークショップは、空き家を活用できる人を少しでも増やしたいという狙いで、床のレベルを合わせるスキルとして、床下地づくりを学ぶ機会をご用意しました。少しマニアックすぎるか…と思ったものの、定員オーバーのお問い合わせが。皆さん、モチベーションが高いです。

大工さんのご紹介

今回の先生は、木村建造の大工、木村さんと北島さん。「大工」と言うと、頑固一徹で黙々と作業をしていそうなイメージがあるかもしれませんが、MAD Cityの職人さんは一味違います。
大工仕事が好きで、皆さんに教えることも好きで、懇切丁寧に技術を教えて下さり、そして仕事が早い!!
同じ作業をしていると、その手際には皆見とれてしまいます。男から見ても本当にカッコ良いです。

DIY 賃貸

右手が木村建造代表で、三代目大工の木村さん。DIYが好きで、1つ1つの作業をとても丁寧に教えて下さいます。

DIY 賃貸

左手が大工歴6年の北島さん。ワークショップ講師は初めてだったそうですが、困っているとすぐに助けてくれる、みんなの兄貴的存在でした。

前半戦:根太掛けと根太の設置

今回は、畳を剥がしてレベルが下がった和室の床を、既存床のレベルに合わせるために床下地を施工します。
前半戦は、解体時に収納部分の床板を剥がしてむき出しになったコンクリート床(-150mm)に根太掛けと根太の設置を行い、床のレベルを既存床(±0mm)に合わせます。
施工範囲は決して広くはありませんが、様々な技術が習得できそうです。

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赤色部分が前半の施工箇所です。収納の床板を剥がしてコンクリート床が露出しているため、既存床よりも150mm下がっています。

床下の構造について

作業を始める前に、まずは床下の構造レクチャー。根太(ねだ)、根太掛け(ねだがけ)、大引(おおびき)など、聞きなれない言葉がたくさん出てきます。これらは全て床下の部材名ですが、これらを水平にしないと、床全体が傾いてしまうという非常に大切な部材です。

・根太:床板のすぐ下で床板を支える部材。
・根太掛け:根太の端部を支えるための部材。
・大引:基礎の真上に乗る部材で、根太を支える土台となる部材。根太と垂直に張られ、最も下に位置する。

一戸建ての新築時は大引→根太掛け→根太の順番で設置していきますが、今回は既存の床板とレベルを合わせるので、根太→根太掛けの順番で、新築時とは逆の順番でレベルを設定していきます。また、床下にはコンクリート床があるため、今回は土台となる大引は設置しなくても大丈夫です。

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大工さんが床下の構造をiPadでご説明。不思議な光景です。

インパクトドライバーの使い方

まずは道具の使い方を練習します。今回最も使用するのはインパクトドライバー。まずは試しに、元あった床下にビス打ちをやってみます。
先生の見本を見ると簡単そうなのですが、実際にやってみると難しい!コツは床に向かって垂直に、しっかりと体重を乗せること。うまく体重が乗っていないと、インパクトドライバーがネジ穴の上で空回りしてしまいます。ちなみにこれを、大工用語では「ドゥルる」と言うそうです。

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ビスが長くなると、一気に難しくなります。

水平の取り方

今回のワークショップは、これらの床組部材の水平をとれるかどうかが全て、といっても過言ではありません。まずは木村さんから水平器の使い方と、根太の固定方法がレクチャーされます。
まずは根太掛けを設置するための準備です。今回のように、周りの床レベルに合わせて設置する場合は、基準となるレベルから根太→根太掛けの順番で高さを逆算していきます。
まずは、基準レベルと同じ高さで根太を水平にします。根太が水平になったところで壁に印をつけます。印をつけたら、同じ作業を床下地を設置する場所の逆側の端で行います。

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真ん中の青い道具が水平器です。水平になったら、この根太の下のレベルに合わせて壁に印を付けます。

床下地を作る部分の両端に印をつけたら、それらの印と印を結ぶように糸を張って、糸に沿っていくつか印をつけます。もしこの作業をせずに端と端の印だけを頼りに木材を固定してしまうと、根太掛けが水平にならず、木材の反りに合わせて曲がってしまいます。そのため、根太掛けは端の印から順番に、印に合わせて固定していきます。

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右手奥が糸を張る道具です。糸に合わせて根太を固定することで、端から端まで水平にとることができます。

根太掛けと根太の設置方法

レクチャーを受けたら早速実践。水平が崩れないよう、慎重にビスを打って根太掛けを設置します。ここで気をつけなければならないのは、立ち上がりの配管。下に配管が走って壁の裏に隠れている場合、壁の裏では配管が立ち上がっている可能性があるため、配管を傷つけないように、ビス打ちを行うようにしましょう。

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低い位置の水平のビス打ちは少し大変です…。

根太掛けを設置したら、次はその上に根太を固定します。
ここから少し難しくなりますが、まず、根太は最後に床板として張るベニヤ板(3尺×6尺=910mm×1820mm)の配置に合わせて設置します。位置は内壁から913mm。この913mmというのは、ベニヤ板の横幅+3mmで、内壁も必ずしも真っ直ぐではないため、少し余裕をもたせてるためのものです。一本目の根太の位置が決まったら、そこからやはりベニヤ板の幅に合わせて3尺ずつの間隔で根太を設置していきます。その後は床下の強度を高めるため、設置した根太の間に1尺ずつの間隔で根太を設置します。

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根太のビス打ちは、根太掛けと垂直に1本と斜めに1本。この斜め打ちが難しい!

皆さん、要領をつかむと一気にスピードアップしていきます。
そうして根太掛けと根太の設置が完成!最後に根太掛けに対して端材を数カ所で固定しておくと、根太掛けのレベルが徐々に落ちてしまうのを防止することができます。
きれいにレベルが合っていますね!!

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根太と根太掛けはしっかり固定するため、垂直+斜めでビス打ちを行います。手前の方で根太掛けに端材を止めているのが水平打ちです。

前半戦はここまで。
後半戦は畳をはがした下の床板に根太を設置し、上にベニヤ板を張ります。お楽しみに!

supported by

今回のワークショップは、エコランドからの協賛を受けています。

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・エコランドの不用品回収サービス【エコ回収】
http://www.eco-kaishu.jp/ecokaishu/
・エコランド 過去の支援実績
https://www.eco-land.jp/ecoauc-fund-report/

DIY可能な賃貸物件

MAD Cityでは、DIYが可能な賃貸物件をご紹介しています。
自分のお部屋をDIYで改装してみたいあなた、詳しくはこちらをご覧ください!
https://madcity.jp/madcityestate/

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