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原状回復ってなあに?DIYするときの注意点をまとめました

不動産屋さんで「原状回復」、というときは、借りた物件を退去するとき借りたときの状態にして大家さんに返す、ということを指します。でも賃貸物件って一度借りると数年は住みますから、当然借りたときと同じ状況でお返しするのが難しくなってきます。西日が強くて壁紙が灼けた…家具を置いていたらクッションフロアがへこんだ…台風の時に網戸が破れてしまった…ゴミ出しルールを確認するために画鋲で壁に張り紙をした…等々、住んでいるからには避けられない損傷ってありますよね。じゃあどこまでの原状回復が借りた人の責任なの?ということで、国が出している「原状回復を巡るトラブルとガイドライン」を見ながら確認してみたいと思います!

今回参照したのは、国土交通省が出している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」。原状回復や敷金の返還について何かトラブルが起こったときの考え方の基準を示しています。ちょっと物々しいですが裁判の判例なども載っていて大変参考になります。

このガイドラインによると原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を越える媼使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること」だそうです。わりと見慣れない漢字がいっぱいですね…

意訳すると、「要するに普通に生活していてついた傷や汚れはしょうがないけど、わざとつけた傷や汚れは借りた人がなおさなくちゃいけないよ」ということになるのですが、普通に生活するってどういうことなんでしょうか。これだけではわかりにくいので、MAD City 不動産で物件を借りてくださるみなさまが実際になさることの多い例で考えてみたいと思います!

画鋲はOK、ネジはNG?壁に穴を開けるのはどこまで大丈夫?

ガイドラインの考え方によると「壁等の画鋲、ピン等の穴(下地ボードの張替えは不要な程度のもの)」は「ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる範疇のものであり、そのために使用した画鋲、ピン等の穴は、通常の損耗と考えられる(p.19)」そうです。

一方でネジやクギのような大きい穴が空いてしまうものに関しては

「重量物の掲示等のためのくぎ、ネジ穴は、画鋲等のものに比べて深く、範囲も広いため、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いと考えられる。なお、地震等に対する家具転倒防止の措置については、予め、賃貸人の承諾、または、くぎやネジを使用しない方法等の検討が考えられる(p.18)」

と書かれているため、壁に何かをつけるときには大きい穴を開けないですることができる工夫を考えたいですね。


(ちなみにこちらのコラム「DIYで壁紙をリフォームするアイデア7つ」ではタッカーなどの道具を利用した、原状回復をクリアする壁の模様替えの方法について解説しています!タッカーは針の穴の大きさや深さが画鋲くらいなので安心なDIY工具です。)

日焼けはOK、汚れはNG。カビや雨の吹き込みには注意しましょう

畳やビニールの床に家具を置くとできてしまう凹み跡。あれが嫌でカーペットを敷いているお宅も多いんじゃないかなと思います。でもでも、ガイドラインに沿うとこれは借りた人の責任ではないようです!

「家具保有数が多いという我が国の実状に鑑みその設置は必然的なものであり、設置したことだけによるへこみ、跡は通常の使用による損耗ととらえるのが妥当と考えられる。(p.17)」

そして日光による日焼け、退色、元々の不具合による雨漏り。こちらも借りた人の責任にはなりません。

「日照は通常の生活で避けられないものであり、また、構造上の欠陥は、賃借人には責任はないと考えられる(賃借人が通知義務を怠っ た場合を除く)。(p.17)」

一方でDIYをするときには注意しなくてはならないことも。和室を洋室のように模様替えするにはクッションフロアが簡単ですが、北向きのお部屋など日当たりの悪い和室にクッションフロアを敷くと黴びてしまうことがよくあります。このカビの跡が残ってしまった場合は借りた人の責任になることが多いそう。原状回復が必要です。ガイドラインには飲み物をこぼしてしまったときのカビの例が載っています。

「飲み物等をこぼすこと自体は通常の生活の範囲と考えられるが、その後の手入れ不足等で生じたシミ・カビの除去は賃借人の負担により実施するのが妥当と考えられる。(p.17)」

あとこれはDIYとは直接関係ありませんが、雨がお部屋に吹き込んでしまった時など、ついうっかりお部屋に損傷を与えてしまったときはだいたい借りた人の責任になりますので注意しましょう。

ガイドラインはあくまでガイドライン。実際のDIYは大家さんにちゃんと許可を取りましょう

ちなみにこのガイドライン、あくまでも国としての考え方の基準を示したもの。ひとつひとつの原状回復のケースはその契約の内容や原状回復しなくてはならない部分の状態によって変わってきますので、DIYをするときは大家さんや不動産屋さんとコミュニケーションを取ることも重要です。DIYへのハードルも物件によっていろいろなので、こちらのコラムもぜひ参考にしてみてくださいね。

賃貸で借りたお部屋を改装?まずはどんな賃貸物件があるのか知っておきましょう

ちなみにMAD City 不動産ではDIYをより楽しんでいただけるよう、原状回復義務のない物件なども取り扱っています。賃貸でDIYしたいけど原状回復が不安…という方はぜひ一度ご相談くださいね! MAD City 不動産はこちら


原状回復義務なしの物件が多いMAD City 不動産入居者のみなさんによる大胆な!DIYは上記からご覧いただけます。

著者プロフィール

赤星友香/まちづクリエイティブ

赤星友香/まちづクリエイティブ

赤星友香
フリーランスのクロシェター・ライター。編み物のパターンを作りながら、文章を書く仕事をしています。心から納得できる仕事をしようとしている人たち、自分や周りの人にとってより暮らしやすい環境を作ろうとしている人たち、小さくてもおもしろいことを自分で作って発信している人たちを言葉にして伝えることで応援したいと思っています。

まちづクリエイティブ
「つづく世界をつくる。」を掲げて活動するまちづくり会社。MAD Cityプロジェクトを運営しています。

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