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不動産業界に切り込むWEBメディア「ふどうさんサムライ」が不動産の裏側に切り込んでいておもしろい!その1

インターネット不動産サービス「ノマド」と「ヘヤジンプライム」が統合

『インターネットとテクノロジーの力で不動産業をアップデートする!「不動産テック」サービスまとめ4選』でご紹介した、賃貸住宅の借り手向けに特化した物件検索・仲介サービス「お部屋探しサービスNomad.(ノマド)」はもともと株式会社アセンシャスが運営していました。しかし、2015年8月1日よりイタンジ株式会社がノマド事業を譲り受けることになりました。イタンジ株式会社といえば、ノマドと同じような仲介手数料無料のお部屋探しサービス「ヘヤジンプライム」の運営などで知られてきました。今回、代表的なインターネット専業不動産サービスであるノマドとヘヤジンプライムが統合したことは日本経済新聞などの大手メディアでも報道されました。

インターネット不動産仲介サービスのイタンジ(東京・港、伊藤嘉盛社長)は、同業のアセンシャス(東京・千代田、鈴木直樹社長)の仲介サービス「ノマド」事業を譲り受ける。10月にも運営子会社を立ち上げ、両者のサービスを統合し一体運営する。統合後の会員数は8万5000人に達し、同様のサービスでは国内最大級になる。

 イタンジの仲介サービス「ヘヤジンプライム」の会員数は2万5000人。ノマドの会員数は6万人で、成約数は月間150件に上る。

 両社はネット上で仲介手数料無料をうたった不動産仲介サービスをそれぞれ展開してきた。しかし同様の不動産ベンチャーの相次ぐ登場を受け、事業を統合して競争力を高めることにした。

不動産仲介サイトのイタンジ、同業「ノマド」を譲り受け 

不動産業界に切り込むWEBメディア「ふどうさんサムライ」

イタンジ株式会社が運営している不動産ポータルサイト「HEYAZINE」はお部屋探しに役立つ情報やビジネス、世界の街にスポットを当てたコンテンツ記事の配信や全国の物件情報が掲載されています。

HEYAZINEはバイラル性の高いキャッチーな記事が多く掲載されていることも特徴の一つです。

HEYAZINEは、バイラル性の高いキャッチーな記事が多く掲載されていることが特徴の一つです。(画像引用元)

そんなHEYAZINEには「不動産ブログ」というカテゴリーがあります。この不動産ブログを見てみると、「ふどうさんサムライ」という別仕様のブログが出てきます。巷の不動産ブログと違って、”不動産業界に切り込むWEBメディア”という触れ込みで配信されているのが興味を引きます。

不動産業界に切り込むWEBメディア「ふどうさんサムライ」。「不動産の裏側」というカテゴリーの記事は、まさに不動産業界の問題点に切り込んでいます。

不動産業界に切り込むWEBメディア「ふどうさんサムライ」。「不動産の裏側」というカテゴリーの記事は、まさに不動産業界の問題点に切り込んでいます。(画像引用元)

「不動産の裏側」の記事を紹介しつつも、たまにつっこんでみる

そしてこの「ふどうさんサムライ」「不動産の裏側」という刺激的なタイトルのカテゴリーがさらにあります。内容はといえば、不動産業界でずっと問題視されていてなかなか解決されない”物件情報の囲い込み””釣り物件”といったテーマを扱って、その問題点の指摘と解決するための自社サービスの提案をされています。不動産業界の問題点を的確に指摘しているのですが、MAD Cityのような超ローカル不動産サービスだからこそ思うこともあるので、今回はこの「不動産の裏側」カテゴリーに含まれる各記事に対して、紹介しつつも、たまにつっこんでみたいと思います。

1 不動産屋はどこも同じ?

まずはこちらの記事(不動産屋なんてどこも同じだ!!物件供給の仕組みからそう叫びたい理由」)から。タイトルはちょっと釣り気味ですが、物件がユーザーに届くまでの物件供給の仕組みの問題点について指摘しています。

正確に言うと、『仲介不動産屋で見れる物件はどこでも同じだ!!』と叫びたい、です。

正確に言うと、『客付け業者で見れる物件はどこでも同じだ!!』と叫びたい、です。(画像引用元)

物件情報の流れを簡単に説明します。物件情報がユーザーに届くまではまず、オーナーが管理会社(元付業者)に管理を委託して、元付業者が業者間流通システム(レインズ)に物件情報を掲載し、仲介会社(客付業者)がその物件情報を取得、さらに客付業者が不動産ポータルサイトに掲載するなどしてお客さんを探す、という流れになっています。

物件情報が入居希望者に届くまでの流れ。

物件情報が入居希望者に届くまでの流れ。(画像引用元)

つまりこの記事は、客付業者が見ている業者間流通システム(レインズ)はどこも同じものであるため、「客付業者で見れる物件はどこでも同じ」と指摘しているわけです。確かに客付け専門の不動産屋さんならば、一般的な流れから見るとその通りかもしれません。しかし、賃貸物件にも色々あって、この記事でも例外として紹介されているような専任媒介物件など、元付業者でしか紹介してもらえない物件なども数多くあります。

そして、MAD Cityのようにそもそもどこにも物件として市場に出ていないような空き家や空き室を、オーナー様から一括借上して転貸(サブリース)することで入居者を誘致するような取り組みを行っている不動産屋もあります(MAD Cityで現在取り扱っている物件はほとんどサブリースです)。さらに、サブリースの物件は不動産屋自らが貸主になるため、仲介手数料がかかりません。このような業者が増えれば、不動産屋は「どこでも同じではなくなる」はずです。

古民家スタジオ 旧・原田米店は築100年を超える古民家に10組以上のクリエイターの方にご入居いただいています。

MAD Cityの代表的な転貸物件である古民家スタジオ 旧・原田米店。築100年を超える古民家に10組以上のクリエイターの方にご入居いただいています。

2 釣り物件は防止できる?

次はこちらの記事(実在しない物件!?不動産業界にはびこる釣り物件とそれを見抜くたった1つの魔法の言葉」)から。
不動産業界の大きな問題である「釣り物件」についての指摘と、その対処法を提案しています。

釣り物件に引っかからないようにするためには「見学のときは、物件の前で待ち合わせしたいのですが可能ですか?」と不動産会社に問い合わせの際に言いましょう。

釣り物件に引っかからないようにするためには「見学のときは、物件の前で待ち合わせしたいのですが可能ですか?」と不動産会社に問い合わせの際に言いましょう。(画像引用元)

SUUMOやHOME’Sといった不動産ポータルサイトを見て、気になる物件を見つけたら出来ればすぐ見学(内見)したいと思いますよね。しかし、実はその物件、「釣り物件」である場合があるのです。成約済み物件の場合は、掲載の消し忘れなどで悪意なく釣り物件化してしまうものがあります。もっと問題なのは、悪意をもって釣り物件化させている架空物件です。

釣り物件とは?

一言でいうなら、『お客様を店頭に呼びこむための実際には存在しない物件』です。
この「実際には存在しない」には大きく分けて次の2つのパターンがあります。

  1. 募集が出ていたが既に入居者が決定した物件(成約済み物件)
  2. そもそも存在しない異様に好条件の物件(架空物件)

前者の場合は掲載の削除し忘れなどで意図せず釣り物件化してしまっていることもありますが、後者の場合はかなり悪質と言えます。

実在しない物件!?不動産業界にはびこる釣り物件とそれを見抜くたった1つの魔法の言葉

そして、なぜ釣り物件が生じてしまうかの原因も指摘しています。つまり、客付業者が紹介できる物件はどこも似たり寄ったりなので、差別化が難しい、ゆえに店舗への来店を得るために、釣り物件を使う業者が現れてしまう、とのことです。また、同じ物件を複数業者で扱っているため、悪意がなくとも他の客付業者で成約したことをタイムリーに把握できず、成約済み物件を掲載したままになってしまうこともあるそうです。そんな物件に釣られないために、ふどうさんサムライでは、不動産会社に問い合わせた際に「見学のときは、物件の前で待ち合わせしたいのですが可能ですか?」と聞くといいと提案しています。これはつまり、不動産会社の店舗ではなく、物件に直接行きたいと伝えればいいということです。

確かに、これで釣り物件に引っかかることはないはずです。ただし、現地集合したところで、直前に別の方が契約してしまった、という可能性はどこまでも無くせません(これは不動産屋が真摯に対応してもそうなる可能性があります)。また、一般的な不動産屋はお客さまの来店時に希望物件をヒアリングすることで、希望に合った物件探しをお手伝いしようと考えており、不動産業者に集合するのは一定の合理性があります。あまり強硬に現地集合を主張するのは不動産屋側から見て異様で、双方の良好な関係を築くためには難があるかもしれません。本来、皆さんの味方にすべき不動産屋との関係を悪化させる可能性があり、かつ「別の方が借りてしまって見れないことがある」問題を完全に解決できない以上、現地集合もベストの解決策とは言えないと思います。信頼できる不動産屋を見つけることが一番ですが、これが難しいと思われている昨今、これは業界的な大問題に違いありません。

インターネット不動産サービス、そして…

今回は「不動産の裏側」の記事を2つ見てきました。これらの記事の大きな論調としては、インターネットが普及する以前の不動産業者の取引の問題点を指摘し、無店舗・仲介手数料無料といったインターネット不動産サービスにより、効率的かつ透明性を持って不動産取引を実現しようというビジョンが根底にあると思います。スマホ、SNSの普及やAR(拡張現実)IoT(モノのインターネット)の広がりなど、インターネットやテクノロジーの力を使いこなしてサービスやプロダクトを生み出していくことは不動産業界はもとより、どの業界でも今後ますます求められることでしょう。

なお、こういったIT活用などによる超効率化と並行して、地元に密着して濃密な地域情報や付加価値を提供する不動産業者も今後求められていくに違いありません。その際にも、使い方は違えどインターネットやテクノロジーの力が欠かせないはずです。MAD Cityはそういった、インターネットを通じた地元密着不動産サービスの追求に興味関心を向けています。こうしたMAD Cityの取組について、取材や視察でご説明させていただいています。ご希望される方または団体はこちらまで是非ご連絡ください。

取材・講演依頼などのご相談はこちら

著者プロフィール

funahashi taku

funahashi taku

空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/

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