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不動産業界に切り込むWEBメディア「ふどうさんサムライ」が不動産の裏側に切り込んでいておもしろい!その3
「不動産の裏側」の記事を紹介しつつも、たまにつっこんでみる
インターネット専業不動産サービスを展開しているイタンジ株式会社が運営している「ふどうさんサムライ」というブログがおもしろいです。というのも、こちらに掲載されている「不動産の裏側」というカテゴリーの記事の多くは、”物件情報の囲い込み”や”釣り物件”などといった、不動産業界内ではよく知られた問題点を指摘しているからです。MAD Cityのような超ローカル不動産サービスだからこそ思うこともあり、今回も前回、前々回に続きいくつかの記事を紹介しながら、つっこんでみたいと思います。
不動産業界に切り込むWEBメディア「ふどうさんサムライ」が不動産の裏側に切り込んでいておもしろい!その1
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不動産業界に切り込むWEBメディア「ふどうさんサムライ」が不動産の裏側に切り込んでいておもしろい!その2
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連帯保証や家賃保証は必ず必要?
今回はこちらの記事「初期費用にも影響する?賃貸の連帯保証人と保証会社について」から。記事中では、賃貸物件に住むときに必要な保証について解説しています。そもそもなぜ保証が必要なのかや、連帯保証人と保証会社利用の違いについて簡潔にまとまっています。
まずなぜ保証が必要なのかというと、物件の貸主にとって「借主が家賃を払ってくれない際の解決策」も必要だからです。連帯保証人とは、借主が家賃を払えないときに代わりに家賃を払う責務を負う人です。連帯保証人の責任は大きく、借主が滞納している家賃の支払いを求められた場合、「借主に請求して」「借主の財産を差し押さえて」などと言って免れることはできません。
なぜ保証が必要なのでしょうか。一言で言うと大家さんが破産しないようにです。(画像引用元)
次に保証会社ですが、「連帯保証人が立てられないときに保証人の代わりをしてくれる会社」のことです。家賃保証会社のニーズは高まっています。なぜこのような業態が現れたかというと、核家族化が進み親族に連帯保証人を頼みづらい風潮、身寄りのない高齢者世帯あるいは単身世帯が増加して連帯保証人を探すことが困難になっているといった社会状況、などが背景にあります。保証料は物件によって、あるいは家賃保証会社によって異なり、家賃の半月分、1か月分、家賃の30〜70%程度、1〜3万円程度の固定額などさまざまだそうです。(出典:「家賃保証会社を利用するメリットは? その仕組みと現状の課題」)
家賃滞納や居座りは不動産オーナーが最も嫌がる事態です。わざわざ保証を求めなくても良い場合もあるはずですが、多くの場合、貸主側が保証不要とすることは無いでしょう。一方で、MAD Cityで取り扱っている物件は現在、連帯保証人も保証会社も入れていません。物件をオーナー様から一括借り上げてから転貸するため保証のリスクを取ることができることが一因にあります。
MAD Cityが借主様から賃借した物件を、実際の入居者に転貸。(画像引用元)
サブリースすることで裁量を増すことで、単純に家賃を支払えるかどうかという与信ではなく、まちでどのような活動をする/できる方かということをMAD Cityでは測っています。単なる物件紹介ではなく、まちに必要な新たな住民層を誘致することが可能になります。(参考:「スクワットとサブリース」) 例えば以下のような取組はMAD Cityのような、まちづくり志向の強い不動産サービスならではと言えるのではないでしょうか。
【記録に関わる専門家 限定募集】MADマンション 503号室
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個性派物件は発掘すれば出てくる?
次はこちらの記事「用語解説でわかる!掘り出しモノ物件がみつかるかもしれない方法」から。
こちらの記事は「客付け」「自社付け」「広告掲載不可物件」などの不動産取引に特有の用語の解説がなされています。
客付け:仲介会社が管理会社に入居者を紹介すること
自社付け:管理会社が自分たちで入居者を決めること
広告掲載不可物件:大手不動産ポータルサイトへの広告掲載が不可の物件
自社付けオンリー物件:そもそも仲介会社の客付けを受け付けていない物件
こうした用語解説は簡潔にまとまっていてわかりやすいです。ですが、最後のほうの「掘り出しモノ物件を見つけるためには広告掲載不可物件と自社付けオンリー物件を狙うと良い」という言及ですが、これは確かにそういう一面はあるのですが、これだけで本当に掘り出しモノ物件が見つかるのか少し疑問に感じました。
広告掲載不可物件については「仲介会社にネットでは見れない物件を紹介してください」と言うと紹介してくれます。これは店舗に行かなくてもメールなどでも紹介してくれます。
自社付けオンリー物件については、地名+不動産+管理などで検索すると管理会社の自社サイトがヒットすることがあり入居者の募集をしていることがあります。
というのも、真に掘り出しモノと言える個性派物件は、そもそも不動産市場に流通していない場合も多いということです。つまり不動産市場に流通していない空き家がたくさんあることと、そういった空き家が今後も増加傾向にある、ということです。平成25年度住宅・土地統計調査によると日本全国の空き家総数は約820万戸(空き家率13.5%)、そのうち賃貸用や売却用の住宅を除いた空き家(不動産市場に出ていない空き家)は約320万戸もあります。そして、不動産市場に出ていない空き家(その他の住宅)は2003年から2013年にかけて1.5倍に増加しており、賃貸用の空き家が1.18倍の増加なのに比較してより増加幅が広がっています。
不動産市場に出ていない空き家(その他の住宅)の増加率が上がっています。(画像引用元)
さらにこの約320万戸ある不動産市場に出ていない空き家のうち、腐朽破損なしが103万戸もあります(駅から1km以内で簡易な手入れにより活用可能なその他空き家は約48万戸)。《出典:国土交通省社会資本整備審議会住宅宅地分科会(第42回)【資料3】空き家の現状と論点》こうした空き家の中にこそ真の掘り出しモノ物件が眠っているのではないでしょうか。
国土交通省では、不動産市場に出ていないその他空き家約320万戸のうち、耐震性、腐朽・破損、立地の状況ごとに利活用が有望なストック数を推計しています。(画像引用元)
では具体的に、どのようにして個性派物件を発掘するのかというと、根本的には個人が物件オーナーを見つけ出し、交渉して借りるということになります。もちろんこれはすごく難しいことで、こういう直接交渉がなかなか成立しないから不動産のプロたる宅建業者による賃貸仲介が一般的だったわけです。これだけだと話が元に戻るだけです。
そこで今後期待されるのが、この記事の前半でも触れたサブリース手法やリノベーションの知見を活用して、今まで流通しづらかった物件をリスクを取って借りれるように変えるサービスの出現です。手前味噌ながらMAD Cityはその一つに当たるわけですが、こうした切り口の不動産サービスに出会う、ということが掘り出しモノ物件を見つけるための近道だと思います。
転貸(サブリース)を軸とした不動産サービス
今回も「不動産の裏側」の記事を2つ見てきました。1つ目は保証について、2つ目は掘り出しモノ物件の見つけ方と、今回もなかなかかニッチなテーマでした。どちらにも共通しているのが転貸(サブリース)という手法です。転貸はこれまであまり印象が良くなかったり一般的ではなかったりしました。「又貸し」と書くと、無責任な印象もあります。
しかし元々の物件オーナー様から一括借上することでMAD Cityの裁量(責任)で保証を不要としたり、改装可能・現状回復不要といった条件を加えたりと、個性派物件をつくり上げていくことが可能になると思います。こうしたMAD Cityの取組について、取材や視察でご説明させていただいています。ご希望される方または団体はこちらまで是非ご連絡ください。
著者プロフィール
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funahashi taku
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空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/
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