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教科書を読みすぎちゃう人のための起業入門2

—架空の自治エリア「MAD City」を現実にすべく活動している、まちづクリエイティブ代表の寺井が、過去の自分のような無謀な20代に向けて送る起業入門のコラム。寺井本人が起業後に「教科書に書いてないこと」の存在を多々感じたところもあり、そういう視点からアドバイスを送ります。—

今回は、何で起業したらいいか、っていう話です。まず、以前書いたように、起業っていろいろとあります。フリーランスとベンチャーっていう区別ですね。フリーランスなら、話はそれなりにシンプルです。もともとご自分がやってきた仕事が個人ベースで成り立ちやすくて、定期的に仕事をくれそうな相手がいて(もと居た会社がその最たる候補です)、本人が営業能力が高くて自己管理できる性格なら、やればいい。上記のポイントに問題があれば、難しい。ただそれだけです。自信がどうにもない、とかであれば、まずは休日を使って副業的に何かを始めるのも良いかもしれません(会社の規定には気をつけて!)。

一方で、僕もそうなんですが、ベンチャー経営の側で起業したい場合。これは一筋縄ではいきません。まず、「起業したいから起業する」という人がいます。今や有名な社長さん方も、自伝なんて読むとそんな逸話がよく書いてあります。この場合、相談する人は、その時点でダメです(苦笑)。だって相談されたら、そんなバカな起業は止めておけ、としか言えない。つまり相談もクソもなく起業しちゃうみたいな人じゃないと、そういう起業はできないし、そもそも相談もしないはずってことです。有名社長さんなんかの話を聞くと、とにかく金が儲けたくてしょうがなかったとか、そんな理由があったりします。実際は、そういうバイタリティがベンチャーの起業には重要だったりもするんですよね……。

で、残るはそこまでバカじゃない起業(笑)といいますか、何に着目して起業したらいいかという問題ですね。これはもちろん、最後は本人で考えて決めなさいってだけなんですが、僕なりにはいくつかポイントがあるかなと思っています。

  • 困っている人が、たくさんいる領域
  • 無価値や、マイナス価値が生まれている領域
  • 政府などの支援が手厚く組まれている領域
  • 一般に感情的に訴えることのできる(美談のある)領域
  • 新しいテクノロジーで様相が一変する領域

例えばこういうポイントで絞ったとき、たくさん該当するならそのビジネスは可能性が高いと思います。ざっくり言って、後半のポイントを重視するのがITなどのベンチャーで、前半を重視するのがソーシャルベンチャーだと思います。ソーシャルベンチャーの場合、特に「困っている人」の存在が重要です。なぜなら、困ってないとお金を誰も払ってくれないからです。ややこしいことに、困っている人が直接のお客にならないこともあったりするんです(例えば貧困問題に取り組むソーシャルベンチャーは間違いなくその隘路に入ります)。誰が困っていて、そのアクターと、ビジネスモデル上でどう繋がるか、長期間悩みながら事業をやることになるでしょう。

そういった悩ましいソーシャルベンチャーは、いくつも工夫をしていかないとビジネス的に成り立ちません。無価値やマイナス価値があると良いというのは、つまり原価がそこで安くなり、またビジネスとしての革新性が生まれるからです。10を11にするより、0を1にするほうが革新的ですよね。 マイファーム さんが扱っている耕作放棄地などを具体例に考えると、ちょっとわかりやすいかもしれません。

政府の支援……はここではあまり書きません。ただ、ITベンチャーが投資家にシードマネーを投資してもらうのと同じように、ソーシャルベンチャーが政府の支援を活用することは「有り」だと思います。良くも悪くも、起業して多少の成果を上げると、業界つながりみたいなものがあってそこで情報が口コミで回っていることに気づくように思います。つまり最初の時点では「どうも税金が投入されているようだ」という感覚だけで大丈夫です。あくまでシードマネーとして考えておかないと税金を食い物にしてるって言われるでしょうし、そもそもここばっかり狙って起業すると、すごく厭らしくなっちゃうのでご注意を。

あとは美談のある領域というのは、特にソーシャルベンチャーで起業したての場合って、基本的に広告宣伝費をほとんどかけられません。ビジネスモデルがあまりなくて、売上も見えないのに、広告宣伝費だけ使うなんてやってられないからです。だから新聞や雑誌などに取材してもらって、いわゆる広報的に(結果として)宣伝してもらう必要があります。こればっかりは今は僕も悩んでますが……、メディアが取り上げたくなるストーリー性が重要ですね。ちょっと虚しい現実ですが、社長が若い美女だったりするとそれだけで広報はすごく強くなったりすると思います。これはこれで、あなたがそうであるなら、美男美女の特権で活用すべきですね。

で、まとめると、

  • 困っている人が、たくさんいる領域
  • 無価値や、マイナス価値が生まれている領域
  • 政府などの支援が手厚く組まれている領域
  • 一般に感情的に訴えることのできる(美談のある)領域
  • 新しいテクノロジーで様相が一変する領域

繰り返しになっちゃうけれど、こういう領域を意識的に探してみよう、あるいは今やっている事業の領域をこういったポイントに合わせて再設定しよう、ということです。

寺井元一
寺井元一|motokazu TERAI
株式会社まちづクリエイティブ代表取締役。
NPO法人KOMPOSITION代表理事。
1977年、兵庫県生まれ。2001年、早稲田大学政経学部卒業。
2002年にNPO法人KOMPOSITIONを設立。
渋谷を拠点に若いアーティストやアスリートのため、活動の場や機会を提供する活動を始める。
2010年、株式会社まちづクリエイティブを設立。クリエイター層の誘致などソフト面からのまちづくり事業を行っている。

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