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「縞」部分。パーツはすべて紙で、小さな紙片を組み合わせてつくられている

Ayako Ogawa 1st Exhibition「まちなか花鳥絵図」特別イベント 「きりえTalk&CraftNight」ギャラリートーク

イベント内容

Ayako Ogawa 1st Exhibition「まちなか花鳥絵図」特別イベント 「きりえTalk&CraftNight」ギャラリートーク
会場:

今年4月にスローコーヒー八柱店で開催された”Ayako Ogawa 1st Exhibition「まちなか花鳥絵図」特別イベント「きりえTalk&CraftNight」ギャラリートーク」”のレポートが届きました。当日お出かけになった方も、行けなかったよー!という方もぜひお読みください。

Ayako Ogawa 1st Exhibition「まちなか花鳥絵図」特別イベント「きりえTalk&CraftNight」ギャラリートーク(2013年4月19日(金)19:30-20:20)

「まちなか花鳥絵図」会場での展示風景 

本日は、きりえTalk&CraftNightにお越しいただきましてありがとうございます。
「まちなか花鳥絵図」というはじめての個展を、4月17日から開催しています。そのレセプションということで、普段どういう風に考えながら制作をしているか、自分がどういうふうに切り絵という制作活動に取り組んでいるか。そういったことについて、お話しできればいいかなあと思っています。

私は1985年、茨城の生まれです。切り絵を作り始めたのは98年ですから、もう15年くらい、切り絵という創作活動をしていることになります。
地元が茨城で、短大が茨城キリスト教短大です。在学中の2004年くらいから、こういった植物や生き物をテーマにした作品制作を始めました。

私は小さいころから絵を描くのが好きでした。油絵を母が描いていて、それを傍で見て育ってきて。雨の日は小麦粘土を作ってくれたりとか。あとなんだろう、絵の他には、お菓子の空き箱とかをいっぱい溜めといてくれて、工作をよく家の中でやってる子供でした。初めてはさみを持ったのが2歳の時です。「この子は今持たせても大丈夫だろう」と思ったそうです。
当時住んでたのは取手とか、水戸とか。父の会社の社宅だったんですね。小さい公園くらいの大きさの庭で、いろいろな草花や生き物と親しんでいました。庭にミニトマトがいっぱい植わってたことや、花とか木とか、糸杉とかが、林のようにわさっと生えてたことなんかを覚えてます。
それから、エリックカールさんの「はらぺこあおむし」とか、なかがわりえこさん、やまわきゆりこさんの「ぐりとぐら」のような、動物とか植物がいっぱい出てくる本が好きでした。図鑑も家にいろいろあったなかで、植物図鑑が大のお気に入りでした。そのなかでも果物がいっぱい載ってるページ。日がな一日それを見て、二時間くらいそこから動かなかったとか。
小学校3年に上がる時に東海村に引っ越しをして、さらに自然に囲まれた環境に住むことになりました。今も時々あるんですが、タヌキとかリス、蛇とかイタチとか、一度など大きい渡り鳥とかドードーみたいな鳥が来たり。隣りの家の屋根にサルが乗っかっていたり。今もキジとかウズラはよく畑に走りまわっているのを見かけます。
そのころから生き物を飼い始めて、小さい虫とか蛙とかカタツムリ。亀も、その頃もまあ、飼ってたんですけど、今も飼ってます。もう8年になります。

切り絵を始めたのは中学校に通っていたころですね。それまでもずっと好きでイラストなんかを描いていたんですが、描いた絵に背景をつけるときに、マットな感じで、筆のタッチが残らないような絵が描きたかったんです。それで、当時フォークデュオとして流行っていた19のCDジャケットを手掛けたナカムラミツルであるとか、あとスピッツの草野正宗が、楽曲を提供したことで知られるチャッピーなどに影響を受けて。
ちょうどその頃、CGが目立ち始めた時期でもあります。でも、CGよりもっと手軽にやりたいということで、紙を切って貼るという手段に辿り着きました。

社会人になってからは仕事がちょっと忙しくなったりして、しばらく制作活動を休止していた時期もありました。だけど動植物に通勤の途中なんか、どうしても目が行くという日々が続いて。
そんな折にアパートの1階に住んでる大家さんが庭で育てていたヘチマのツルが、2階のベランダまで網を伝って上がってきて、上で花を咲かせて、実をつけたんですね。それをきっかけにまた絵が描きたい、切り絵がやりたいと思ってデッサンをとったのが2008年くらいです。そのヘチマが、今展示されている「縞」という作品ですね。

「縞」部分。パーツはすべて紙で、小さな紙片を組み合わせてつくられている 

そのあとは仕事をしながらでも切り絵の制作が続けられるようにということで、以前は大きい作品をつくっていたんですけれども、次第に小さな作品を作るようになって、そうなるとやっぱり、小さい画面の中に重みが必要になってくるので、だんだん細かい切り絵になってきました。その頃から、継続的に年4~5枚つくるようになりました。

昨年までの3年間は、大学に編入して建築の勉強をする一方、資格取得の勉強もしていたんですが、二級建築士を取得して一段落ついたので、今年は展示をしたいと思っていました。ちょうど松戸駅前のFANCLUBというイベントスペースで「自分の作品を皆に見てもらう発表の場」「松戸から新しいシーンを作っていこう」というコンセプトで「HOMETOWN」というイベントが開催されて、その考えに共感して出品を決めました。その時に、今回展示している「FOR MY DEAR」という作品を制作しました。ここにあるのは芥子と、あとアネモネなんですけれど、これの他にラナンキュラスが10本くらいあって、全部で20本の作品になっています。それをイベントの時に壁に展示させていただいて、その評判が良かったので個展をやろうと決意しました。

イベント「HOMETOWN」開催時の展示の様子。ライティングによって、作品の世界観を空間全体へと拡張している。 

制作でこだわっているのは、ハサミで作るということ。今ここにある作品も、ほぼハサミ1本で作りました。ここにぶら下がっている蝶のモビールだけが、少しカッターを使っていて、あとは全てハサミです。ほかには紙の表情を出すこと。質感に凄くこだわりがあって、ツヤツヤの紙、ざらざらの紙、それらを組み合わせて生き物がそこにいる存在感を出したい。それと季節感ですね。四季のある日本に住んでいることを大事にしたい。今回の展示のタイトルはそういうこだわりを表しています。
それを表すには、時系列を感じさせる構成、花から実に移り変わる様子だとか。それは「くちずさんで」という作品にも表れています。花が咲いて葉が生えてきて、やがて実が出来る。その流れを1枚の絵に表現することで、季節や時間の流れを感じられると思います。
それから、光に対する意識です。こういった空間構成をやる時などは特に、照明や風などの外的要因によって自分の作品が変わります。紙を重ねたり透かしたりすることで、その一瞬にしか現れない作品の表情を大事にしています。

最後に、普段私がどういう風に作っているか、というのを少し説明したいと思います。
まず、下絵ということで植物のデッサンをします。そのあと、そのデッサンをコピー機で拡大して、自分の作りたいサイズまで引きのばします。それを見ながらどういう紙をここに当てていこうかということを考えます。
そのあと、下絵の下に紙をあてて、紙を切りだしていきます。その時にこの紙はこの紙の上に乗っけたほうがいいか、とか、ここに少し透ける紙を入れて色を柔らかくさせようとか、そういうことを検討します。なにぶん1ミリとか、下手すると0.5ミリとかの小さいパーツなんで、爪楊枝とか面棒で接着をします。

会期中に行なわれた公開制作の様子。 

作品が出来上がってきたら、背景に色んな紙をあてて、どの紙が一番その作品に映えるかというのを見ていきます。この時に細かい細工が偏り過ぎていたり、あるいは無さ過ぎたり、そういうことがないように全体のバランスを見ながら制作をしています。

プロフィール

小川 綾子(おがわあやこ)平面&立体デザイン室「Nikarasunday」代表。紙を用いた雑貨制作から建築内装の現場まで、松戸のクリエイティブシーンに幅広く顔を出しています。プライベートワークとして始めた切り絵は、はまりにはまって15年目。庭先のちいさきものや、こんもりとしたみどりたちをハサミで描いています。

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