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ヒメゾウパンフ_サムネイル

自在什器「ヒメゾウ」

概要

MAD Cityにショールームを構える工務店「木村建造株式会社」と愛媛県今治市の「長井建築設計室」とともに、DIYで組立撤去できる多目的什器を開発しました。本プロジェクトは長井建築設計室の主導で愛媛県の「県産材スギ・ヒノキの利用促進プロジェクト」に参画して、未利用木材の需要増や廃材の活用に配慮して企画したものです。最終的には什器をアートイベント・展示・販売と3形態に変形して使用するイベント兼実証実験を松戸駅直結の商業ビル「アトレ松戸」にて実施し、製品化に至りました。

  • プロジェクト名
    • ヒメゾウ
  • 実施期間
    • 2021年5月~2022年3月

ストーリー

建築技術の変遷により日本古来の在来工法は採用されづらくなり、機械化や道具の進化が優先され、大工職人は総じて高い能力を必要とされなくなりました。高齢化が進み若い職人が極端に少なく、大工職人の市場環境は悪化しています。しかし築古の空き家や商店のリノベーションには在来工法に熟達した大工が欠かせません。これからさらに空家問題が深刻となるなか、大工人材が不足することは社会問題でもあります。

このプロジェクトでは、大工を文字どおり「大いに工夫を行う」建築領域の発明家的な存在と扱って価値を引き上げることや、同じく厳しい市場環境にある林業の廃材問題にも寄与することを目指して始まりました。過去にを木村建造が試作したまちづクリエイティブ旧事務所の受付台を再発見し、当時は重量や可動の問題で製品化できていなかった点を今治市の地方資源を活かすことで乗り越えて実現しました。

成果

アトレ松戸3階にある、松戸駅改札に直結したイベント広場「いろどりステージ」にて2021年10月1日(金)から10月17日(日)まで、ペインター「Holhy」のライブペイント、「松戸ビール」のポップアップストア、地域情報の展示といった3つのイベントを行いました。その際、ヒメゾウを変形させることで3イベントの空間を造作し、イベント使用に耐えることと、その前後の搬入出時も積み木のように分解して持ち運べることで効率化が図られることを実証しました。

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またこのヒメゾウは、2022年3月より商品化して購入いただくことができるようになりました。以下でパンフレットをご覧いただけます。

ヒメゾウパンフ_サムネイル

画像をクリックいただくことでPDFカタログをご覧いただけます

手法

対象分野に関わる現状や問題を把握する

大工職人の市場環境悪化は、ツーバイフォーなど規格化された建築手法の発展に加え、労働集約的な肉体労働であること、言語の壁が大きく外国人労働者の参入も難しいなどの複合要因によるものです。また愛媛県は日本でも有数の木材生産地ですが、ヒノキ材で日本第3位の生産量がある一方でブランド化がなされておらず、付加価値が低いといった問題を抱えていました。今回はまず、こういった課題の構造を把握して企画に臨みました。

過去の試行錯誤を活かす

この企画の源流は2015年に木村建造が試作した変形型の受付台にあります。当時は丸穴を開けて金属の棒で接続する構造であったため、重量や変形に難があり、可動のメリットが大きくは活かされませんでした。しかし試作によってポップアップのアパレルショップの什器としての使用や、単純なパテーションとしての活用など、いくつかの変形使用の経験が生まれ、今回の企画につながりました。

地域の見えない資源を活かす

重量や変形の難しさを改善したのは、今治の木材加工工場で量産されていた切断前の丸棒でした。本来、短く裁断して木ダボとして販売されているこの丸棒を、長いままで提供してもらうことでコスト減や重量減を実現しました。また角材をつなぐ穴も四角に加工することで摩擦を抑え、より変形が容易な設計につながりました。

実際の本番環境で実証実験する

単純な強度や使い心地でいえば、個別に組み上げられた椅子や机や棚のほうが高品質なものが作れるのは当然ですが、バラバラに分解できる、容易に変形させることができるといった特殊な個性は一時的なイベントで大いに活かされる要素です。改札直結で松戸でも有数の通行者がいる駅ビル空間で2週間強で3種類ものレイアウトに変形させて実用したことにより、具体的な課題や利点が明らかになって製品化に至りました。

メンバー

木村建造株式会社
長井建築設計室
株式会社まちづクリエイティブ

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