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MAD City People #02|現代美術家 西岳拡貴(後編)

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 前衛美術とグラフィティ文化のハイブリッド

ー写真ではなく、映像で記録するのはこだわりがあるんですか?
単純に伝わりやすいってことだと思いますね。一番良いのは、実際にその様子を見てもらえること。だから藝大の修了制作のときは学校の構内で、期間中ずっとやってたんですよ。子どもとか、大人のひともいっしょに参加してくれたりして。そのときはパフォーマンス的な要素が強くなりましたが。

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ー前衛的な美術の歴史と、グラフィティの歴史の両方と結びつきそうな感じが面白いです。
今までやってきたことと、これからやりたいことをミックスすることが、ステンシルの作品シリーズでやりたいことですね。ちなみに、ステンシルで残した道路や壁の跡は、1年くらいでまた排気ガスで汚れて消えてしまうんです。

ーそんなすぐになくなっちゃうんですね。
なので行為としては、収穫することに近い気もして良いんですよね。農業みたいな感覚?

ーラテックスの質感のせいか、人体を思わせてちょっと痛々しさもありますよね。
そうですね。だから最近やっとなにか繋がった感じはあって。中央構造線って、長野県の大鹿村から熊本くらいまでデカイ断層があるんです。昔そこに行って、現地の人に聞いた話なんですけど、地面って、0.00何ミリくらいだけど、毎日確実に動いてるんですよ。それなら、実際いっしょの風景なんだけど、なにかしら毎日違うんだろうなぁって思って。同じ人だけど、毎日違っているっていうこととかが、地球が日々動いてるということで繋がったというか。

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「はじまり」を生み出すきっかけとしての彫刻

話が飛んじゃうんですけど、ここに住んでから、いろいろ自分で作れるものってあるんだなぁって思うようになって。最近服も作ってたりしてます。まちづクリエイティブといっしょにやったプロジェクトで、ウィンローダーという廃品回収業者といっしょにアート作品をつくりました。古着を大量にもらってきて、それで服を作ったんですけど。

ーここに掛けてあるのがそうですか?
はい、一部ですけどね。PARADISE AIRに短期滞在したダンサーの人たちに衣装を作ったりとかして。
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ー服はどうして作り始めたんですか?
クラボで手伝いをしているときに、これ自分でやれるんじゃないかなって。それがきっかけですね。ミシンとかも全然触ったこともなかったですけど。

ーウィンローダーとの作品はどういったものだったんですか?
ちょっと複雑なプロセスなんですけど、まず回収された150着の古着を廃品回収工場の人たちにランダムに選んでもらうんです。それをその工場のひとたちの「好き」と「嫌い」に分けてもらう。さらにその2つに枝分かれしたものを、別の人に感覚で2つに分けてもらう。ぼくの知り合いとか、いろんな人のところに服を持っていって。「寒そう」「暑そう」とか、それぞれの価値観で、枝分かれさせる。要は全員が「嫌い」とかネガティブな印象をもった服と、全員が「まぁいいかな」くらいの印象をもった服が出てきて。その間も出てくるんですけど。その表がこれです。

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ー細かいですね(笑)。
そうするといろんなイメージで分類された服になるんですよね。「多くの人が嫌いで、無人島に持っていかない、40代以上が着るような~」服とか。それで、嫌いという意見が多い服の値段を千円、好きが多いものは5万円にして。

ー評価が高いと値段があがるんですね
そうなんです。それも服を作ってて、価値ってなんだろうって思ったことがきっかけですね。例えばハイブランドの服の縫製の手伝いをしていて、いま自分が作ってるやつが30万~40万で売られていて、何を根拠にそうなるの?という。

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もちろん理由はわかるんだけど、市場で出回っているものの価値って、すごく怪しいなって思って。だからこの服の仕分けの感覚も怪しいものな気がしていて。怪しいというか、定まらない。次の日に同じ人に聞いたらきっと全く同じ仕分けはしないと思うし。そういう疑わしい基準で、服を作って、疑わしい値段をつけるということを作品にしました。それで実際に僕がつくった服をHARDOFFに売りに行ったんです。そしたら1着5円でしたね、まぁ当然とは思いますけど。

ー調べてもどこのブランドとも出てこないですもんね。
素材代みたいな感じですかね。それで、仕分けしている映像と服を着ている映像を展示しましたね。この服のプロジェクトも、最初に話したステンシル作品と似てると思ってるんです。1日1日って絶対違うよなっていうとこなんですよね、人の価値観もそうだし、固まったものってないんだなっていう。

ーあぁ、なるほど。
日々成長したり、変化していくものが好きで。ラテックスを転がす作品も、ゴール地点に行けば行く程どんどんデカくなっていって、自分の手に負えなくなるんですね。そうなったときに手伝ってくれる人が出てきて、前に進める。そういうことがはじまるきっかけとなる彫刻を作れたらすごくいいなと思っていて。なので途中から、僕の作品じゃなくなってくるんですよね。とくにテクニックもいらないから。一番ガテン系のやつがつよいし(笑)。

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ー伺っていると、ご近所まわりの人との交流も多いようですが、MAD Cityというエリアはどんな印象ですか?
こっちから本当に関わろうとすると「起こる」という場所かな。そんな感じだから、いい環境なんじゃないかなとは思います。この物件もありがたいですよね。実際別のところも探してみたんですけど、なかなかこういう風に好き勝手に部屋をいじったり、ものを作れる場所はないですよね。

ーないと思いますよ(笑)。
Chim↑Pom(東京で結成されたアーティスト集団)の人たちとちょっと関わりがあって、作品の造形をよく手伝ったりしてるんですけど、この前もメキシコで作った大きな足跡の作品の型取りを頼まれて。結構巨大な作品だったから、運び上げるのが大変でした。ここが1階だったら理想的なんですけど。間口もそこまで大きくないので、デカいものを作るときは、つい分解できるシステムを考えてしまいますね。

ーそれはこの物件の功罪かも?
そうかもしれないです(笑)。

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※本記事はmadcity.jp および M.E.A.R.L の共通記事となります

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