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MAD City People #05|「Old Figaro Peoples + Bebop Bagel」店主 吉井昭雄(後編)

“無理やり”アナログカルチャーとの出会いを生む

ー店名の「Old Figaro Peoples + Bebop Bagel」に込めた思いはありますか?
「Old Figaro Peoples」は、建物自体の総称みたいな感じです。「Figaro」には、仕立て屋さんという意味があるんですけど、昔は妻の祖父が、今は父が1階で床屋さんをやっているので、こう名付けました。

「Bebop Bagel」は、ジャズの演奏形式からつけました。それまでジャズはビッグバンド中心のスウィング・ジャズだったんですけど、1940年代になると少人数でアドリブ主体の演奏形式が生まれた。このいわば“自分たちのための演奏形式”を「ビバップ」と呼ぶんですけど、ここから頂戴しました。

ージャズから名付けられているんですか。確かに、今も店内ではジャズが流れています。
ジャズ以外にも、最近のシティポップからブラジル音楽まで幅広くかけています。DJみたいな感覚といったら大げさですが、ここに来た子どもたちが、昭和歌謡で突然踊りだしたりするのを見ているのが楽しいんです。だから、決して押し付けたいわけではなくて、レコードなどアナログな楽しみをオルタナティブとして提案できればなという気持ちです。

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ーベーグル目的で来た方が、レコードや書籍の意外な魅力に気付くということも多そうです。
まさに、そうなんです。だからこそ、Instagramに写真を上げるときも、無理やりベーグルとレコードや書籍を両方とも載せている(笑)。ベーグルからでも、レコードからでも、どちらが入り口でも良いので少しでも引っかかりを見つけてもらえればな、と。

ーベーグルもたくさん種類がありますよね。
お客様の要望に応えているうちに、今は40種類にまで増えました。ただ、やっぱりオススメはプレーンです。クリームチーズをつけるだけでも美味しいですし、サンドウィッチにもできるから汎用性が高い。僕の毎日のお昼ごはんは、もっぱらプレーンベーグルにハムや卵は挟んだものです(笑)。

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“退屈”に対するカウンター精神が原動力

ー本棚を見ていると、西海岸カルチャーにも影響を受けていそうです。
もろに、そうです。特にサンフランシスコのカルチャーが大好きで、ファッションブランドもノースフェイスなど西海岸のものが好き。この場所の内装を自分でやってみようと思えたのも、ポートランドなどのDIYカルチャーに影響を受けているからかもしれません。

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ーただ、ベーグルというと西海岸よりもニューヨークの印象が強い気がします。
ビバップはニューヨーク発祥ですしね。でも、実は50年代半ば頃の西海岸では、ベーグルショップが1つのコミュニティとして機能していたんですよ。ジャズマンやビートニクの詩人たちが夜な夜な集まっては、演奏に合わせて詩の朗読などをしていたみたいで、ビート詩人のボブ・コーフマンには「Bagel Shop Jazz」という作品があるぐらいなんです。

ーなんと! ベーグルを選んだことにも、しっかりと背景があったんですね。
僕もベーグルを作り始めてから知ったんですけど、そこでなんとなく繋がった感覚はあったかもしれません。それこそ、今度はここにピアノが来る予定で、ドラムセットも置こうかなと考えている(笑)。僕は情報だけは持っているので、それを様々な形で子どもたちに知ってもらえたらなと思います。

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ーお話を伺っていると、この場所から新たなカルチャーが生まれるような気がしてきました。
いやいや、そんな大それたことは考えていません。ただ、自分の中にある“退屈”に対するカウンター精神みたいなものが、全ての原動力になっているかもしれません。今後は、町の人の声の展示や楽器の設置のほか、古物商の資格を取り、古本の販売をすることも考えています。すぐに芽は出ないでしょうけど、これから5年後10年後に松戸の片隅からカルチャーを語る子どもたちが出てきたら、それは僕の仕業かもしれません(笑)。

MAD City People #05
吉井昭雄(よしい あきお)かつてはサラリーマン、今はベーグルをつくる人。一児の父。1974年生まれの失われた世代(ロストジェネレーション)。ベーグル、レコード、本を扱って子供と大人と文化共有の場づくりをしています。
「Old Figaro Peoples + Bebop Bagel」:http://www.oldfigaropeoples.com

※本記事はmadcity.jp および M.E.A.R.L の共通記事となります

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