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MAD City People #01|株式会社クラボ 橋本翼(前編)

千葉県松戸市の松戸駅前で行われている、まちづくりプロジェクト「MAD City」。2010年のプロジェクト開始以来、半径500メートルのエリアの中で、150人以上のクリエイティブ層がショップやアトリエなど独自の活動を展開している。

そんなエリアで活動する人々を紹介する本企画。第1回目に登場するのは、異なるジャンルの作家が集うシェアアトリエを法人化した株式会社クラボ。元ラブホテルという特異な物件「PARADISE AIR(パラダイス・エア)」内にそのスタジオがある。手作りのルアーブランドで起業し、株式会社クラボを立ち上げた、“眠らない人”、橋本翼さんに話を聞いた。

text:AKIRA KUROKI
photo:SHIN HAMADA

Profile

名前:橋本 翼 (はしもと つばさ)
職業:株式会社クラボ 代表取締役
年齢:31

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ーご出身は?
群馬県です。いまは廃業しましたが、実家は養蚕・養蜂をやってました。自分が小学生の頃には船橋に。そこからずっと千葉です。

ーご兄弟はいらっしゃいますか?
下に弟2人です。3人兄弟の長男で。

ー今のお住まいはどちらに?
今も船橋なんですが、ここの近くに簡単に寝泊まりできるよう1部屋アパートを借りてます。いつも夜中の2~3時くらいまで活動しているので。あんまり寝なくても大丈夫な体質というか。朝8時くらいにはここに来て。また作業して。

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ーハードですね、やはり忙しい時期に?
いや、だいたいいつもですね。昼間はお客さんとの打ち合わせで外に出てしまうことが多いので。自分の作りたいものを作るときは、夜中とかに。

「地震のせいで損したと思っている時点で、日本人としておかしいよなと思って」

ーでは、クラボを始めた経緯について伺えますか?
もともと釣りのルアー作りで生計を立てていましたが、その時にちょうど東日本大震災があったんです。当時、取引先の大半が福島だったので、ほとんどの仕事をなくしてしまって。でもこの国では地震はいつあってもおかしくない。地震のせいで損したと思っている時点で、日本人としておかしいよなと思って。そこで自営業という自由な立場を活かして、手始めにシェアアトリエを作りました。そこが、まちづクリエイティブが新松戸で運営していた物件なんです。当時は手仕事ができる人を集め、5人で活動していました。

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ーそのときからもうクラボという名称でやっていたんですか?
はい、昔はアルファベットだったんでしたが、今は「株式会社クラボ」という名称で。

ーちなみに、手作りのルアーいうのはどういうものなんですか?
ルアーとは魚を釣る疑似餌の事ですが、一般的に流通しているものの多くはプラスチックで出来ています。それが手作りとなると、基本的には木を削って、腐食しないようにコーティングして、塗装して仕上げるという。プラスチック製の工業製品に対して、手作り品は工芸品に近い感覚です。

ー確かに不思議な魅力を感じます。学校などでも学んだのですか?
高校卒業後、工業デザインの短大に行って、CAD(キャド)やCAM(キャム)、マシニングセンタなど、PC上で立体物を作り、それを実際に加工するという方法を学びました。当時は短大卒業して独立するつもりでしたが、学校で勉強してくうちにこれは一度社会に出て第一線で学ばないと分からないことが多すぎると思って。20歳の頃、運良く業界最大手の樹脂(プラスチック)成型用の金型を設計・製造する会社に採用してもらい、就職しました。

ー早いですね
そうですね。けど当時から焦っていた記憶はあります。退職後は死に物狂いで作りました。朝から晩までひたすら木を削り続けて、手は豆だらけで。当時はなりふり構っていられなかったので、釣り場で出会った人に釣りの勝負を挑んで自分が勝ったら買ってもらう、イベントに出向きブースを勝手に構えてゲリラ出展するなんて事もやりましたね。今思うと嫌な奴だったなと、反省していますが。ただ、最初の2年くらいは食べていけなかったのでアルバイトしながら生計を立てていました。

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「震災が起きて原発が爆発したとしても、身の回りの人も連れて逃げちゃうくらいの、圧倒的な力が欲しいと思った」

ー短大のときからルアーの仕事で独立すると決めていたんですね
そうですね。ルアーとか、釣りに関する仕事に携われたらいいなというのはあったと思います。高校生の時から釣りの大会に出ていて、そこで運悪くというか、毎回成績が良かったんですよ。それで勘違いしちゃったんですね。自分で大会に出て、自作のルアーで優勝すれば、一石二鳥だなと思って。賞金ももらえるし宣伝にもなるし(笑)。

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ーすごい、自分で自分のシグネチャーをつくるという(笑)
結果、その作戦でいっときは食えるようになりました。ただそれから少しして震災があり、1人でやる事、1つのジャンルに絞る事の危険性を感じました。リスク管理が何もできていなかったことに気づいて、色々考え直すきっかけになりました。

何が確かなものかって考えたときに、例えば活動している地域やジャンルが潤ってる状態じゃないと、自分が食えなくなった時に結局まわりも損するし、まわりが損したら自分も損する。震災が起きて、原発が爆発したとしても、身の回りの人も連れて逃げちゃうくらいの、圧倒的な力が欲しいと思って。お金もそうだし、あぁ離島持っとけばよかったみたいなことも思ったんですよ(笑)。

ーそんなクラボを法人化したのはいつ頃なんですか?
個人事業でやりはじめたのは、平成24年ですかね、5年前。法人事業にしたのは、平成28年6月。まだ1年経ってないですね。

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ー最初のメンバーはどうやって集まったんですか?
知り合いづてにひたすら探したって感じです。昔の同級生にあたったり、会社員時代の同期に声をかけたり。展示会に行って、話が合いそうなひとに声をかけたりとか。最近クラフト系のイベントがすごく多いので、そこで話して理解してもらえそうだなと思ったら誘ってみて。それを繰り返して、5人に落ち着いた感じです。

ーそのメンバーははどういう肩書で仕事をされていたんですか?
グラフィックデザイナーと、イラストレーター、装飾デザイナー、彫金作家、あと自分です。それから色々な人の出入りがあって、今は固定で7名。繁忙期に短期で雇うひと入れるとプラス5~6名くらいです。

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ミシン0台から始まったコレクションブランドの仕事

ー今は仕事量の割合としては、どの業態が一番多いんですか?
服飾のOEMが一番多いですね。

ーOEMのお仕事をはじめるきっかけはなんだったのですか?
大手メーカーの新規ブランドが、立ち上げのタイミングの際に工場を探していたんです。いろいろ急ぎの仕事が立て込んでいるとき、ちょうどうちに手を動かせる人が集まっていたので、お手伝いを何度かさせて頂き、そこから定期的にお仕事の依頼を頂けるようになりました。それを足がかりに、他の洋服ブランドの仕事も少しずつ受けれる様になって。でも、当時はミシンが一台もなかったんですよ。

ーミシンなかったんですか?!
そうなんです。当初はハンマーで金属をカシめる、1つ1つスタッズを取り付けるとか、そういうのが多かったですね。普通の縫製工場だと工程上どうしても手間になってしまう仕事ですが、うちは皆初めての経験になるものが多くて、楽しんで作業してました。

ーモノはないけど、手は動かせますみたいな
そうですね。元々、服飾学校を出ている人がシェアメイトにいたので、その彼つながりで仕事が来るようになったという形です。

ーおもしろいですね。昔の町工場みたいな感じで。
お客様からは今でも「これできる?」って形の問い合わせは多いです。分からないからとりあえず相談しちゃえ、みたいなノリは感じます(笑)難題が多いですが、それはそれで嬉しいですね。

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(後編に続きます)
※本記事はmadcity.jp および M.E.A.R.L の共通記事となります

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