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江戸時代からつづく古民家と大規模マンション群とのコントラスト。

松戸市の特徴は多様な住宅形態が混在する(してしまった)ところ。|松戸のまちづくり

松戸ってどんな街

松戸と言えば水戸街道の宿場町東京駅まで30分のベッドタウンマツモトキヨシ発祥の地ラーメン屋が多い街、などが思いつくかもしれません。他にも、市内には6路線23もの鉄道駅があることや、昭和30年代を中心に建設されたY字型の団地住棟「スターハウス」が今も健在である常盤平団地などによって、松戸をご存知の方が居るかもしれません。千葉県北西部に位置し、江戸川をはさんで東京都と埼玉県に隣接。人口は約48万人強と県内3位、都心から約20kmの距離にあり、首都圏の住宅都市として一定の評価をうけています。

松戸市は、千葉県北西部に位置し、江戸川をはさんで東京都と埼玉県に隣接。人口は約48万人と県内3位、都心から約20kmの距離にあり、首都圏の住宅都市として発展を続けています。

松戸市の範囲。ちょっとモッコリした北海道みたいに見えなくもありません。(画像引用元)

宿場町としての歴史

松戸のルーツを探るためには江戸時代、つまり宿場町としての歴史にまで遡る必要があります。松戸駅西口の、現地名でいう松戸市本町と松戸市松戸の西側エリアは江戸時代、水戸街道の宿場町・松戸宿でした。かつてこのエリアは江戸川の舟運と水戸街道の陸運の要衝として賑わったそうです。

松戸宿は、江戸幕府と水戸徳川家とを結ぶ「水戸道中」の江戸日本橋から3つ目にあたる宿場でした。幕府が政治的に重要視した水戸道中は「脇往還」でしたが 五街道などと共に松戸宿までが道中奉行の支配下に置かれて整備運用されました。
松戸宿へようこそ

かつての松戸宿(図中桃色)はJR常磐線松戸駅西側の旧街道(図中茶色)沿いから江戸川に至る地域にあたり、現在の地名では松戸市本町と松戸市松戸の西側に該当します。(図中青字は旧町名)

かつての松戸宿(図中桃色)はJR常磐線松戸駅西側の旧街道(図中茶色)沿いから江戸川に至る地域にあたり、現在の地名では松戸市本町と松戸市松戸の西側に該当します。(図中青字は旧町名)(画像引用元)

戦後、東京のベッドタウンとして開発が進み、賃貸・売買物件が増加

松戸市では1960年代から大規模住宅団地が市内各地に造成され、郊外型の住宅開発が進められてきました。そして、常磐線・新京成線の鉄道駅周辺が商業施設などの集まる市街地として発展していきます。この頃から賃貸・売買物件が格段に増えてきました。

昭和35年4月、常盤平団地への入居が始まりました。団地内には学校や公園、商店もつくられ、新しい街の生活が始まりました。

昭和35年4月、常盤平団地への入居が始まりました。団地内には学校や公園、商店もつくられ、新しい街の生活が始まりました。(画像引用元)

商業拠点として賑わった松戸宿の歴史を受け継ぎ、松戸駅西口は松戸市の中心市街地として発展していきました。2015年3月にはJR東日本の上野東京ラインが開業し、東京駅や品川駅へ乗り換えなしで行けるようになりました。

都市計画の変遷

松戸市のウェブサイトに都市計画の変遷が詳しく書かれています。最初に用途地域および道路が決定したのが昭和17年、昭和31年に日本住宅公団施行(現・都市再生機構)による金ケ作土地区画整理事業(常盤平団地)の具体化、昭和45年には新都市計画方による市街化区域、市街化調整区域を決定など、様々な変遷を経て松戸という郊外都市が形作られてきました。

昭和30年の松戸市の都市計画図

昭和30年の松戸市の都市計画図。たくさん広がっている黄色のエリアは住居地域、赤色は商業地域です。(画像引用元)

松戸市の都市計画課が公開している都市計画図です。昭和30年から今年までの都市計画図がウェブサイトに掲載されています。昭和30年と平成27年の都市計画図を見比べると、松戸市の都市計画の対象エリアの拡がりがわかります。

平成27年3月3日現在の都市計画図

平成27年の松戸市の都市計画図。用途地域やその他の地域地区など区分けが細分化されるようになってきました。(画像引用元)

大規模団地

松戸市内にはいくつかの大規模団地がありますが、代表的なものは前述した、UR賃貸住宅である常盤平団地です。1959年から賃貸の入居募集を開始し、1962年の10次募集をもって入居が完了します。一帯は緑に恵まれていて、常盤平団地を南北に抜ける常盤平けやき通りは「新・日本街路樹百景」に、東西に抜ける常盤平さくら通りは「日本の道100選」に選ばれています。

「日本の道百選」に「常盤平さくら通り」が1987年に選ばれました

「日本の道百選」に「常盤平さくら通り」が1987年に選ばれました。(画像引用元)

もはや絶滅危惧種となったスターハウスが現役の状態で8棟も残されています。現在、賃貸物件として募集されています(2015年8月15日時点)。物件の検索は団地R不動産が詳しいです。

新京成線の常盤平駅と五香駅の間の、広大な敷地に建つ常盤平団地のスターハウスはまだ現役です。

新京成線の常盤平駅と五香駅の間の、広大な敷地に建つ常盤平団地のスターハウスはまだ現役です。(画像引用元)

戸建て賃貸物件も充実

東京のベッドタウン・松戸では団地やマンション、アパート以外にも戸建ての賃貸物件も充実しています。例えば、omusubi不動産さんでは松戸市内の戸建て賃貸物件をたくさん扱っていらっしゃいます。

omusubi不動産では古民家や平屋、レトロなマンションや、懐かしい団地など、DIY・改装可能などとして扱っていらっしゃいます。

omusubi不動産では古民家や平屋、レトロなマンションや、懐かしい団地など、DIY・改装可能など多数の賃貸・売買物件を扱っていらっしゃいます。(画像引用元)

格安の賃貸物件も

松戸には賃料3万円以下の格安賃貸物件も多数存在します。都心へのアクセスの良さを考えてこの値段はお得です。HOME’Sの賃料3万円以下の物件特集が参考になります。

千葉県松戸市の賃貸物件 賃料3万円以下の物件

HOME’Sの格安賃貸物件特集のページから。松戸には賃料3万円前後の賃貸物件が豊富にあります。(画像引用元)

MAD Cityのまちづくりと、そこから生まれる個性的な物件たち

松戸のルーツとまちづくりの変遷、バリエーション豊かな賃貸物件事情を見てきました。そしてもう一つ、毎度手前味噌ながらMAD Cityの取組があります。松戸駅前の半径500mの円を主な範囲として、賃貸物件をオーナー様から直接借り上げて、転貸することで入居者を誘致するサブリースの手法が特徴と言えます。他にもアソシエーションデザインクリエイティブシティ地域べディベロッパー、「つづく世界」といった議論が特徴のあるところですが、これらの議論はウェブマガジン「dotplace」での連載でご覧いただけます。

アソシエーションデザイン つづく世界のつくり方(DOTPLACE)

アソシエーションデザイン つづく世界のつくり方(DOTPLACE)(画像引用元)

MAD Cityでは個々にコンセプトが異なる運営施設(拠点)を核にまちづくりを進めています。それぞれに少しずつ異なる客層が設定されており、それらの住民の交流によって新たな価値を生もうとしています。賃貸なのに改装可能・現状回復不要といったお部屋において、壁紙や床の張替えなどの改装の相談や知識・技術を学べるワークショップの開催など、既存住民とともにDIYリノベーションの各種サポートを行っていることなどです。他にも、拠点の住民が企画してエリア内で行われるイベントが、新しい個々の賃貸物件の住民の楽しみになるような関係性もあります。

MAD Cityでは、松戸宿時代の面影を今に残す古民家スタジオや松戸駅間の商業ビルの最上階、元カップルホテル、高度成長期に建てられた賃貸マンションなどを拠点に、「人」を中心にしたまちづくりを行っています。

MAD Cityでは、松戸宿時代の面影を今に残す古民家スタジオや高度成長期に建てられた賃貸マンション、松戸駅前の商業ビルの最上階、元カップルホテルなどを拠点に、「人」を中心にしたまちづくりを行っています。(画像引用元)

入居者同士の交流や入居者主体のイベントやプロジェクトが生まれるようにサポートを行うなど、MAD Cityエリアでの生活のトータルパートナーとしてサービスをご提供しているMAD City。詳細は9つの暮らしのサポートをご覧ください。原則的にサブリースのみで物件を取り扱っているため賃貸物件の件数はどうしても限られますが、既存住民との交流による付加価値や、MAD Cityが独自に設定した条件などにより、賃貸物件はいずれも個性派が取り揃えられています。物件検索はこちらからどうぞ。

著者プロフィール

funahashi taku

funahashi taku

空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/

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