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mcg21xoxo |mcg21xoxo sundae

概要

NYから移住したアーティストtaka konoが提唱するアートスペースとして、都心のホワイトキューブの真逆にあたるオフサイトのギャラリーを実現した「mcg21xoxo」。松戸駅5分に立地するスケルトン状態の1F2Fからなる2部屋をそのまま活用したアートギャラリーとして運営されました。さらにその後、松戸駅前にありながら40年近く使われず廃墟同様になっていたビル地下フロアを活用した現代アート映像作品専門のプライベートシアターギャラリーが「mcg21xoxo sandue」です。

  • プロジェクト名
    • mcg21xoxo |mcg21xoxo sundae
  • 実施期間
    • 2020年12月~2022年4月

ストーリー

地方都市の慢性的な空き家・空きテナントは社会問題化しており、最近はリノベーションの話題もごく一般的となりました。一方でリノベーション自体がビジネススキームであったり、事業目的化している側面もあり、空き物件をできるだけ創意工夫やアイデア、DIY精神で再生しようという試行錯誤が変わらず求められています。mcg21xoxoの基本的なコンセプトは、未来の世界で廃墟化したギャラリー。そもそも廃墟に近い状態であること自体が価値として認められており、空きテナントの価値転換を諮るものでもありました。

第1弾となったmcg21xoxoではスケルトン状態のまま1Fでの展示と2Fでのラウンジを設置しました。連続して企画展を行う一方で、コンセプトのとおり路面にも宣伝やサインが全くない運営であったり、室内でも人間のアート作品が目線の高さ以外に配置され、場合によっては見つかりづらい箇所に隠されて展示されるなど、特徴的なキュレーションが行われました。また続いて実施されたmcg21xoxo sundaeでも同様にスケルトンそのままを活用しながら、同ビル2Fで長く営業するレトロな喫茶店と交流し、シアターへの入店時には喫茶店が受付となり店内EVが動線になる、共同開発したケミカルな見た目の緑色サンデーが付くなど、地元店舗と協力した連携を行いました。

成果

mcg21xoxoでは7回に渡り国内外のアーティストによる展示会が開催され、普段は都内で活動するクリエイターも多く松戸に来訪する機会となりました。またmcg21xoxo sundaeでは有料の予約制での営業を行い、40組以上アーティストの映像作品を上映しました。単純な集客や売上以上に、評価しづらいながら人材誘致や情報発信に繋がる取組だったと言えます。実際にまちづクリエイティブではこの活動を契機に移住したクリエイターが複数人いました。そして主宰のtaka konoはこれらの活動を経て、国内の大型展示への参加、海外を行き来する作家活動を行うようになっています。

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all photo by taka kono

手法

ビジネス意識のあるアーティストとの連携

アーティストランスペース、という用語にも現れているように、芸術家の一部は昨今では自らの場所を自ら立ち上げ、運営するようになりました。その一方で場所を運営するだけで社会との接点がまだまだ薄い場合もあります。本PJではtaka konoが海外生活の経験からも市場経済ともDIY精神をもって向き合う個性を持っており、このことを共通項にしてまちづクリエイティブとtaka konoが対話を重ねたことから企画が進んでいきました。

共創型サブリース

MAD City運営のまちづクリエイティブは不動産サービスをサブリース(転貸)によって進めており、それぞれの物件を家賃負担して借り上げることを基本としています。それゆえにリスクを自社負担することで各物件を自由に価格設定したり条件設定することができます。このため、家賃を固定でなくプロジェクト収支と連動させることや、室内を水で浸したいといった、一般に難しい企画でも対応できることがプロジェクト推進の要因になりました。

海外との接続

本PJはコロナ感染症が蔓延したタイミングでの開催となりましたが、オフィスでテレワークが浸透したように現代アートの世界でもオンラインでの展示が浸透したことに関わる企画を行ったことが、本PJの価値を高めることとなりました。集客上は当然ネガティブではありましたが、活動をオンライン経由で知った海外のギャラリーやアーティストとの接点が予想以上に生まれることとなりました。

まちづくり×現代アートの再検討

現代アートとまちづくりとは異なる目的や特徴を持つがゆえに、実際には長い期間で連携することは難しい事情を抱えています。双方をリスペクトし続けるためには、双方の専門性をお互いが認め合う必要がありますが、異なる目的を持つ両者がそもそも相手の専門性を理解すること自体が難しいものです。その際、場所においても事業モデルにおいてもお互いが常に変化し続け新たな企画を行い続ける必要があり、本PJはその貴重な好例だと考えます。

メンバー

taka kono
株式会社有田商店
ピーチーズ
株式会社まちづクリエイティブ

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