ホーム > 連載・コラム > 民泊ってなに?東京都大田区の元空き家が民泊物件に|空き家の有効活用は進むか?

  • ローカルと起業
  • 不動産知恵袋
  • 空き家グッド

大田区蒲田の民泊1号物件

民泊ってなに?東京都大田区の元空き家が民泊物件に|空き家の有効活用は進むか?

民泊って?

一般住宅に有料で旅行客らを泊まらせる「民泊」サービスが最近話題です。従来はホームステイや、修学旅行生が作業を体験する農家民宿などが代表的でしたが、近年の民泊は、面識のない個人同士が行うC to Cの有償サービスが大半を占めています。こういった民泊の増加の背景にあるのが、民泊仲介サイト「Airbnb」といったインターネットの仲介サービスの広がりです。現在、Airbnbの利用者数は世界で6千万人以上、掲載物件は190カ国の3万4千都市の200万余に上ります

Airbnbのウェブサイト。Airbnbは、遊休居住スペースの所有者(ホスト)と宿泊希望者(ゲスト)とを仲介する、ウェブ上のプラットフォームサービスです。

Airbnbのウェブサイト。Airbnbは、遊休居住スペースの所有者(ホスト)と宿泊希望者(ゲスト)とを仲介する、ウェブ上のプラットフォームサービスです。(画像引用元)

民泊はグレー?

世界的にAirbnbのサービスが広がっていく中、日本ではまだまだ民泊は一般的ではありません。日本の現行の法律では、宿泊料を受け取る目的で常態的に部屋や設備を備えている場合は、旅館業法によって旅館経営と見なされます。民泊の場合はその判断が難しいため、合法か非合法か非常にあいまいな状態が続いています。

民泊を巡る規制緩和については現在、政府内部で活発な議論がなされています。

民泊を巡る規制緩和については現在、政府内部で活発な議論がなされています。(画像引用元)

東京都大田区が民泊スタート

そんな中、東京都大田区では国際戦略特区による旅館業法の適用除外を活用、今年1月に「民泊条例」が施行されました。そして2月には、宿泊旅行サイト運営会社「とまれる」から申請のあった元空き家などの2物件を認定、もうすでに宿泊予約の受付がスタートしています。大田区が民泊事業者にお墨付きを与えるような格好ですが、滞在期間を6泊7日以上に限定していること、建物や敷地から10m以内に住む住民への周知、防火設備の充実、分譲マンションでは管理組合の同意が必要など、要件のハードルの高さなどから申請は2物件のみと低調です。

JR蒲田駅から徒歩14分と少し距離がありますが、築65年の元空き家だった日本家屋がフルリノベーションされています。以前こちらの物件で行われたアートイベントに行ったことがありますが、まさか民泊第1号物件になるとは思いもしませんでした。

JR蒲田駅から徒歩14分と少し距離がありますが、築65年の元空き家だった日本家屋がフルリノベーションされています。以前こちらの物件で行われたアートイベントに行ったことがありますが、まさかその後、民泊第1号物件になるとは思いもしませんでした。(画像引用元)

民泊を巡る国の動き

国際戦略特区による民泊が「旅館業法の適用除外」なのに対して、厚生労働省と観光庁が共管する『「民泊」サービスのあり方に関する検討会』では、民泊を全国で解禁する準備として、「旅館業法の規制緩和」を進めています。つまり民泊を、旅館業法の「簡易宿所」のカテゴリーに位置付け一部規制を緩和する方針です。

同検討会では第5回会合で、民泊サービスに関する当面の対策として、旅館業法の「簡易宿所」の枠組みを活用することを決定。政令で定める簡易宿所の構造設備基準を緩和し、旅館業法の許可を取得しやすくすることを決めた。
民泊で旅館業法施行令など改正、簡易宿所の規制緩和でパブコメ

(参考文献:民泊ルールの策定に求められる視点:リサーチ・フォーカス No.2015-048(PDF))

民泊が注目される背景:宿泊施設の不足

そもそもなぜ、今、民泊がここまで注目されているのでしょうか?それはインバウンド(訪日観光客)数が急増する中で、国内の宿泊施設が不足していることが挙げられます。2015年のインバウンド数は、前年比47%増加の1974万人に上り、政府が当初目標としてきた”2020年までに年間2000万人”は、ほぼ達成できることから2020年の目標を3000万人に引き上げるほどです。一方で現状でもすでにホテル等の稼働率は非常に高い状態にあり、出張者の予約がとれない状況にあることが問題になっています。大和総研のこちらのレポートによると、2015年11月のホテル等の稼働率(第一次速報値)はシティホテルで82.2%、ビジネスホテルで77.4%に達しています。

旅館は稼働率40%程度で、まだ余裕がありますが今後一層、訪日外国人の増加が想定されることから、観光立国を目指す上で、宿泊施設の量的確保が急務となっています。

旅館は稼働率40%程度で、まだ余裕がありますが今後一層、訪日外国人の増加が想定されることから、観光立国を目指す上で、宿泊施設の量的確保が急務となっています。(画像引用元:PDF)

2020年の東京オリンピック・パラリンピック時に宿泊施設の需要が期待されますが、長期的に人口減少が進む中、ホテル等を新設するのは合理的とは言えません。しかし、都市部を中心に宿泊施設の十分な確保が課題であることには変わりはないわけで、そうなると、今ある住宅やスペースを有効活用するのが最適です。また、空き家の増加が社会問題になっています。空き家も有効活用することで、宿泊施設不足を解決できれば一挙両得であることから民泊が大いに期待されています。

空き家の有効活用は進むか?

『「民泊」サービスのあり方に関する検討会』がまとめた「民泊サービスの推進に関する意見」(平成27年12月21日)(PDF)によると、民泊サービスについて「ホスト在室時と不在時がある」と「ホストは常に不在」に分類されています。その上で前者は「戸建住宅」「集合住宅」「自宅」「別荘」の組み合わせによる4類型、後者は「戸建住宅の空き家」「集合住宅の空き室」による2類型を参考として記載しています。ホストとゲストとの交流を前提とすると、後者は除外されますが、空き家や空き室を活用した民泊も大いに可能性があるでしょう。空き家の場合、居住者不在のため、治安維持や防災面で配慮が必要となるなど、まだまだ政府内部で議論が進んでいます。今後、どう整理されていくか注目しましょう。

『「民泊」サービスのあり方に関する検討会』

MAD Cityにできること−サブリース、空き家管理、情報提供(講演)−

MAD Cityでは空き家などお困りのオーナー様にむけ、空室の家賃保証を実現するサブリース(借り上げ・転貸)を提供しています。MAD Cityが入居者の改装を支援することで、築40年以上の物件でもオーナー様がリスクを負わずにお部屋の価値があがります。対象エリアは松戸駅から徒歩20分程度までと限られますが、ご興味ある方はぜひご相談ください。また、松戸駅前で低額の空き家管理サービスも開始いたしました。さらに、空き家活用に関して講演依頼もお応えしていますので、エリア外の行政およびまちづくり関係者の方はそちらをご検討ください。

空き家に関するご相談はこちら(対象:松戸駅から1.6km圏内)
空き家管理に関するご相談はこちら(対象エリア:松戸駅から1.6km圏内)
講演依頼などのご相談はこちら

(2016/03/04)

著者プロフィール

funahashi taku

funahashi taku

空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/

関連記事

いろいろな街で寂れたシャッター通りは見かけられます。

商店街の空き店舗が埋まらないのは何故?起業の拠点になりそうでならない、商店街のまちづくりを考える

シャッター商店街は何が問題? 多種多様な業種業態が出店している活気のある商店街って、歩いていて楽しいですし、それだけで魅力だと思います。しかしそういった商店街は数少ない。駅前の好立地に位置している商店街でも、シャッターが...more

ハウスハルテンの空き家再生プログラムの一つ「家守の家(Wächterhaus)」

イケてる空き家活用事例って?(ドイツ・ライプツィヒの空き家再生の場合)

旧東ドイツの都市・ライプツィヒが直面した空き家問題 「小さな組織の未来学」というメディアに、ドイツのザクセン州にある約52万人の都市・ライプツィヒで空き家活用・再生に取り組むハウスハルテンという市民団体の事例が詳しく取り...more

空き家が放置のまま、デトロイト

空き家が問題になる理由やリスクはなに?

社会的課題になった空き家問題 今年は「空き家対策元年」と言われているだけあって最近、空き家問題について扱ったニュースをよく目にするようになりました。グーグルで「空き家問題」と検索すると約685,000件出てきます(201...more

青空に映える薄緑色の外壁トタン。しかも土手沿いという好立地。

まだあります、天然の現代アート・トタン建築!築古物件探索記(2)

※このコラムはMAD Cityエリア内で見つけた個性的な建物をご紹介する連載です。 連載「築古物件探索記」 築古物件万歳 歩いていてワクワクするようなまちってどんなまちでしょうか?同じようなデザインの建売住宅やマンション...more

吉原住宅の代表取締役・吉原勝己さんのコラムは、福岡の住宅事情や老朽賃貸ビルが直面する問題、そしてリノベーションの取り組みなどが詳しく紹介されています。

【随時更新】物件価値だけでなくエリア価値も上げていく!エリアをつくる新しい不動産屋まとめ5選

敷地に価値なし、エリアに価値あり 「敷地に価値なし、エリアに価値あり」。これはCET(セントラル・イースト・トーキョー)やアーツ千代田3331、北九州家守構想、オガールプロジェクトなどの様々なまちづくりプロジェクトに携わ...more

昭和フォントに看板建築という昭和レトロ感あふれる「弁当屋さち」

松戸に眠る昭和レトロな建物たち!築古物件探索記(4)

※このコラムはMAD Cityエリア内で見つけた個性的な建物をご紹介する連載です。 連載「築古物件探索記」 築古物件万歳 歩いていてワクワクするようなまちってどんなまちでしょうか?同じようなデザインの建売住宅やマンション...more

民泊ってなに?東京都大田区の元空き家が民泊物件に|空き家の有効活用は進むか?

千葉県・松戸駅前のまちづくり「MAD City(マッドシティ)プロジェクト」の公式サイト。改装可能な賃貸物件の提供から、暮らしに役立つアイデア、DIYな生活情報、イベント情報などを発信しています。

Copyright Machizu Creative Co., Ltd. All rights reserved.
まちづクリエイティブ

AddThis Sharing