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「いつか誰かの役に立つ写真が撮りたくて!」森岡友樹さんが構想する”ドキュメンタリーをつくり続ける仕組み”とは?

間取り図ナイト・物件ファンの森岡友樹さんがMAD Cityの住人に

現在「間取り図ナイト最終回ツアー」で全国47都道府県を巡回中だったり、住む/住まない/買う/買わないなどに関わらず不動産物件を嗜むサイト「物件ファン」の運営を行っている森岡友樹さんが4月某日、MAD Cityに引っ越してきました。


森岡さんがMAD City滞在中に、どんな面白いことを仕掛けていくのかなど、いろいろ聴いてきました!(引っ越しのお手伝いもしましたよ)

MAD Cityの某物件に、間取り図ナイト主宰/物件ファン編集長の森岡さんが入居されました。引っ越しのこの日、早速インタビューでお邪魔してきました!

MAD Cityの某物件に、間取り図ナイト主宰/物件ファン編集長の森岡さんが入居されました。引っ越しのこの日、早速インタビューでお邪魔してきました!

ドキュメンタリーを作り続ける仕組みをつくりたい

前回書いたとおり、森岡さんがMAD Cityに引っ越してきたのは、まちの記憶を残すプロジェクト「Documentry M」に参画いただくためです。MAD Cityでの滞在期間は1年半だそうですが、その間にどのような観点や手法で、まち(MAD City)の記憶を残すのかを聴いてみました。

−MAD City滞在期間中は、どんな活動をされていくご予定なんですか?

森岡さん:MAD Cityで起きている面白いコトやヒトやモノをドキュメンタリーとして記録し続けようと思っています。MAD Cityのあちこちで行われている取り組みは多様性をもっていて、キャラクターの違いを見せています。そういった取り組みを楽しみながら記録していきたいです。

−どんな手法で記録するんですか?

森岡さん:写真がメインになると思います。

−写真だと直感的に伝わってくるし、”虚構を用いずに実際のままを記録する”というドキュメンタリーのエッセンスが詰まった媒体なんでしょうね。

森岡さん:現在はFacebookやinstagramなどのSNSで、誰もが毎日のように気軽に文章や写真を、個人のドキュメンタリーとして記録し続けています。しかし、これは個人のドキュメンタリーでしかないので、もっと拡張してMAD Cityで起こったこと全体を、ドキュメンタリーとして記録し続けることができないだろうかと考えています。

MAD Cityの記録を集積する

−それは面白いですね。でも、MAD Cityで起きていることをまるごとドキュメンタリーとして残していくなんてことが可能なんですか?

森岡さん:個人単位ではなく、MAD City版のFacebookやinstagramのようなアプリをつくれないだろうかと構想しています。たとえばMAD Cityで遊んだり、食べたり、何かのイベントに参加したり、もちろん日常生活の中での体験でも構わないのですが、そういったワンシーンを写真に撮って個人のSNSに投稿するだけではなく、MAD City版のアプリ(仮)のほうにも投稿(連携)するわけです。このMAD City版のアプリ(仮)はMAD Cityでの記録を集積する器のような役割を果たします。面白かったり綺麗な写真が撮れて、自然とシェアしたくなるような感覚と同じで、楽しいからといった直感的な理由で、自発的に、それこそ息を吐くように、MAD Cityでの出来事を誰もが記録し続けられるような仕組みをつくりたいです。

−個人がFacebookやinstagramに投稿するのと同じように、MAD City版のアプリ(仮)にも投稿することで、ドキュメンタリーがつくられていくということですね。

森岡さん:Facebookやinstagramなどの私的なドキュメンタリーには、どうしても主観が多く入るのですが、それらを重ねてすることで、総体として客観視できるドキュメンタリーになりえると思うんです。

ドキュメンタリーを作り続ける人を育てる

−MAD Cityに訪れた人や生活している人たち全員が、個人のアカウントとは別に、MAD Cityでの体験を自発的に記録し続ける仕組み、というのは面白い発想ですね。どのように実現させようと考えていらっしゃるんですか?

森岡さん:まず、一つのプログラムとして、ワークショップを行います。年に4回のペースでのワークショップ実施と成果発表、プラス、最終月にそれら全て総体としての発表を行うこととなっていて、そのそれぞれのワークショップでそれぞれ個別のドキュメンタリーを作成することになっています。これを「人が育つ」プログラムと位置づけます。私が居なくなって停まってしまうドキュメンタリーであれば、尻切れトンボになってしまいかねないと思うのです。なので、1年半後に私が去った後にもゆるやかに動き続けるドキュメンタリーの作り手をここに残すことにこそ価値があるのではないかと考えています。端的に言うと、「日常的に写真を楽しんで撮って発表する人をMAD City内に増やす。」ということです。

−これは興味深いワークショップになりそうですね。第1回目はいつですか?

森岡さん:6月を予定しています。ワークショップを通してドキュメンタリーとは何か、記録を残すということはどういうことなのかを、参加者と一緒に考えていければと思います。といっても第1回目のワークショップは、まずは写真を撮ることを好きになってもらうことをテーマに開催しようと考えています。

−記録を意識した写真をたくさん撮って、それが貯まっていけば、後々、見返して楽しんだりできますね。

森岡さん:そうです。単純な写真ではなく、時間や場所、人などに紐付いた写真は、後々に語れるネタになったり、プロモーションに使えたり、何かの役に立つわけです。いつか誰かの役に立つ写真を撮るって、なんだか素敵じゃないでしょうか。

ドキュメンタリーの器を作る

−ドキュメンタリーを作り続ける人も大事ですが、ドキュメンタリーを保存しておく場所も重要な気がします。

森岡さん:そうですね。先ほどからお話しているように、MAD City版のアプリの開発を考えています。これは裏でずっと動き続ける私の仕事で、「器を作る」作業に当たります。もちろん、この器はできれば良いのですが、予算やらスケジュールの都合で作れるかは今のところ分らないです。それはMAD Cityの皆さんにもご理解いただいていて、実は今回のタスクには組まれていません。それでもこれができ上がると、ドキュメンタリーとしての強度を最大化できるのではないかと考えていて、私はここにも個人的にゴールの一つを置いておきます。

インタビューに応えてくださる森岡さん。

インタビューに応えてくださる森岡さん。

MAD Cityの写真を撮り続ける

−森岡さんがMAD Cityでどんな写真を撮るのか今から楽しみです。

森岡さん:これはもう当たり前なのですが、私が個人としてMAD Cityの写真を取り続けたいと考えています。これはもう少しここに馴染んでからかなとは思うのですが、1年くらいは続けたいと思っています。これら3つが滞在期間中に目指している最大目標ですね。

想像の斜め上を見せていこう

−ところで森岡さんは、間取り図ナイトをこれまで40回以上も主宰されてきて、どんなことを考えて取り組んでいらっしゃるんですか?

森岡さん:やはりお金を払って見に来てもらっている以上、楽しんで帰ってもらえるように、お客さんの期待を裏切りたくないですね。入場料が2000円とかで、プラスそこそこ高い飲食代、往復の交通費、さらに貴重な時間も含めると、本当に楽しんでもらえなかったと思うと申し訳なくなります。だから、お客さんが求めている想像の斜め上を見せていこうと、いつも思っています。「想像を越えたところに辿り着く」というのが大事だと。

−何回もイベントを開催できるっていうのは、お客さんがあってのことなんですね。想像の斜め上を見せていこう、という考え方は素敵ですね。

森岡さん:アーティストをやっていたときにも、同じようなことを考えながらやっていました。大阪芸術大学時代に、村上隆さんが学園祭に呼ばれていて、パフォーマンスをされた流れで知り合い、制作を手伝ったりしていました。

森岡さんのアーティストデビューしたときの作品。左側は、他人に舌をつかまれることを拒絶することは、単なる刷り込みなんじゃないか、という考えを表しています。右側は、役柄を与えられたときの人。踏みつける、という攻撃性が全面に出ていますね。

森岡さんのアーティストデビューしたときの作品。左側は、他人に舌をつかまれることを拒絶することは、単なる刷り込みなんじゃないか、という考えを表しています。右側は、役柄を与えられたときの人。踏みつける、という攻撃性が全面に出ていますね。(画像引用元)

−アーティスト時代に培った経験が、間取り図ナイトにもつながっているんですね。

森岡さん:大学卒業後は村上さんの事務所でもあるカイカイキキという会社で、「GEISAI」というアートイベントの立ち上げなどを任されていました。が、26歳位の頃に体を壊してしまって…。それで仕事を辞めて、フリーランスで仕事を貰ったり食えないときはフリーターをしたり、30歳頃からは不動産会社のネット広告部署や、ネット系の広告代理店、ITベンチャーなど、ネット関連の新規事業立上げに関わることが多かったです。

宿経営と地域活性の仕事

−いろいろな仕事を経験されてきたんですね。

森岡さん:ちょうどこの頃、立て続けに面白法人カヤックの皆さんや、日本仕事百貨のナカムラケンタさんや、ナリワイの伊藤さん、まちづくり会社ドラマチックの今村ひろゆきさんなどと出会ったんですね。自分が思っていた感覚とは違う面白いことを着実にやっている同世代や、周りの世代に出会って、自分自身の成長曲線に危機感を感じました。このまま東京にいてもジリ貧で成長できないと思って、方向転換のためにもと2009年頃、実家のある香川に拠点を移しました。そこから宿の経営を始めたり、地域活性にも携わったり、旅暮らし的な暮らしも始まったり、いろいろな経験を積んで今に至ると言う感じです。

お節介なくらいでちょうどいい

−森岡さんのご実家は瀬戸内海のどちらなんですか?

森岡さん:生まれも育ちも香川県です。うどんが大好きです。ついでに改めて自己紹介も兼ねると、座右の銘は「お節介なくらいでちょうどいい」です。

−「お節介なくらいでちょうどいい」ですか。これはどういう意味ですか?

森岡さん:例えば、困ってる人に対して、もっとこうしたらいいじゃないかっ!て思うことってありますよね。そういうときに、黙っているのが大人、みたいな風潮があります。とくに距離が近くない人に対しては。選択肢を増やす程度のことは、お節介かな?と思うことでも言うことでその人の為になると良いなと思っています。もちろん、本当にお節介だったら嫌われますけど、ちょっとおせっかいかな?位で話してた方が、足らないよりは良いかなと。なんだかんだ言いながら、三分の二くらいの人は話を汲んでくれたりしますし。誰かが失敗することと、お節介で嫌がられることなら、嫌がられることの方が良いですしね。自分の立場を弁えながら、おせっかいしていけたらと思います。

昨年8月に渋谷ヒカリエで開催された、「ニュー不動産展」で登壇する森岡さん。

昨年8月に渋谷ヒカリエで開催された、「ニュー不動産展」で登壇する森岡さん。(画像引用元)

そしてMAD Cityへ

−アーティスト、不動産広告、ゲストハウス、そして地域活性と、様々なお仕事や経験をされてきて、今年4月からはMAD Cityの「Documentaly M」に参画しようと思われた意図や狙いをお聴きしたいです。

森岡さん:昨年11月に大阪で「ニュー不動産展inOSAKA」を開催したんですが、そのときにMAD Cityの「Documentaly M」の募集案内を目にしたんですね。ちょうど間取り図ナイト最終回ツアーで西日本の方を中心に開催していたので、今後は東日本の方へ、活動拠点を移していきたいと考えていた時期だったこともあり、応募してみました。あと、成田空港も近いので、まだ行ったことのない南九州や北海道へ行きやすいのも大きいですね。

−今後は交流会やワークショップ、そして松戸でも間取り図ナイトなど、参加者を巻き込んだイベントが続々開催されるとか?

森岡さん:そうですね。まずは地元の方々などへ挨拶代わりに5/1(日)に「間取り図ナイト最終回ツアー@松戸」を開催します!それと前後して、私の手打うどんを食べて貰いながらお酒呑みながら、とにかく話を聞かなければと思っています。私、まだこのへんのことが全然分っていなくって焦っています(笑)。たくさんお話を聞かせてください!

今年5月1日(日)の松戸は予約開始3日目で満席になってしまい、追加公演を検討中とのことです!

今年5月1日(日)の松戸は予約開始3日目で満席になってしまい、追加公演を検討中とのことです!(画像引用元)

(2016/04/22)

著者プロフィール

funahashi taku

funahashi taku

空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/

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