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ワンデーMAD City トークを終えて(西本千尋×ナカムラケンタ×寺井元一)
多くのまちづくり事例に関わってきた西本さん、「リトルトーキョー」というまちづくり(?)を始めたケンタくん、MAD Cityの寺井、のトーク。3者3様、違うまちづくりに関わっている3人で話したら、「まちづくり」の本質が見えてくるのではないか、という狙いでした。まちづくり、という良さげだけど胡散臭いキーワードに、ケリを付けちゃいたいなということだったんですね。
そういう意味では、実は開始早々に結論が出てました。ケンタくんの「『まち』って、人と人の関係性のことだと思う」という発言。実はこれ、まちづくりにおける大転換の示唆なんです。あ、言っちゃった、みたいな。
まちづくり、って膨大です。一般論としては、委員会や協議会をつくって、合意形成をして都市計画をいじって、イベントをやって、道路や区画の整理をして、高い容積率をGETして、より真っ直ぐで広い道路を作って、より大きな建物を建てて大型商業を誘致する、そういう一連の再開発のことを言うのだと思います。膨大すぎて、合意形成のために関係者が集まること(ワークショップとか)、イベントを企画して行なうこと、そんなごく一部をまちづくりだと思っている人も多いでしょう……。
ところが今回の3人のトーク、初っ端から「まちは人と人の関係性、まちは人でできてる」って3人とも共通の結論が出ちゃって。あとは、東京都心の写真スライドに「政治・カネ・権力」なるテロップがついたり、数人で自治区を名乗る海外の事例が紹介されたり、ケンタくんの行きつけのバーが「まち」なんだという話など、全て「まちが人でできている」ことを確認しあっていた気がします。
そして最終的に話が向かったのが、まちから人が追い出されていく「ジェントリフィケーション」問題。まちが成長すればするほど、より経済性や厳しい規範が求められて、まちそのもののはずの人々が暮らせなくなっていく、出ていかざるをえない問題にどう立ち向かうか。これは世界的に、まちづくりが抱える本質的な問題です。ただ、まだ日本のまちづくり界隈ではさして意識されてないような気がします。
なんだかそんなわけで、壇上の3人が放言していたトーク4。ジェントリフィケーションを超える、持続可能なまちづくりに向けて、新たな議論が始まったあたりでタイムアウト。全編アドリブでしたが、まちづくりの新しい概念の提示を含めて、中身は意外とまともなトークだったかも。
個人的には「まち=人」という前提のもと、まちづくりの議論はよりコミュニティ論になり、またそのコミュニティを支えるためのハードやシステム・都市計画の議論が改めて必要になるのだなと思いました。一方で、これは実践が伴っていることが大前提だなと思ったり。今回西本さんと寺井でつくったZINEや、いまMAD Cityで行っている活動が、まちづくりの本質をど真ん中から捉えているようだ、という確認ができたのは嬉しかったです。
あとはお客さんに、もろもろの示唆が伝わっているといいな、それは当日の1時間だけじゃ大変だったかな、とは思いました。トークの記録などもいずれ出せたら、改めて読んでいただきたい、またイベントがあればご注目いただけたらと思います。ぜひお楽しみに!
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