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ペンシルビルは日本オリジナルな建築様式だ!築古物件探索記(5)
※このコラムはMAD Cityエリア内で見つけた個性的な建物をご紹介する連載です。
連載「築古物件探索記」
築古物件万歳
歩いていてワクワクするようなまちってどんなまちでしょうか?同じようなデザインの建売住宅やマンションが連なっているまちでワクワクするというのは少し無理があるように思います。むしろ新旧の建物が混在して、その土地の独自性や、歴史や文化を感じることができるまちに魅力を感じます。松戸はごく一般的な地方都市で、歴史的建造物で有名な街というわけではありませんが、それでも古い建物はひっそりと眠っています。そこで今回はMAD Cityエリアの個性豊かな築古物件たちをご紹介していきます。
ペンシルビルとは?
主に駅周辺の繁華街などに目立つ、間口の狭い背の高い、いわゆるペンシルビルってなんか気になりませんか?ペンシルビルとは、狭い土地の上に建てられた中層建築物(3階〜5階の建築物)の通称です。細長い敷地に立ち上がる背の高い小さなビルは、海外の諸都市ではあまり見ることのない建築物だそう。日本の私有財産制が明治時代から始まっておよそ150年、日本人には土地を小さく細分化して小さな土地でも所有しようという国民性があるのかもしれません。とにかく土地を可能な限りフル活用することを追求して生まれたペンシルビルは、ある意味日本の都市空間を特徴づけるオリジナルな建築様式と言えるでしょう。
(参考文献:「ペンシルビルの連結―建物と街の価値・安全性を高める」)
商業地域では建築の高層化が進む
松戸市の都市計画図を見てみると、松戸駅前周辺は主に商業地域に指定されていることがわかります。そのため、指定されている容積率(延べ床面積の敷地面積に対する割合)が高いためその分、高い建築物を建てることが出来、よってペンシルビルが生まれやすくなります。松戸駅前周辺は600/80というマークがありますが、これは容積率が600%であることを表しています(80は建ぺい率のことです)。どの駅前でも一般的に共通することですが、駅周辺の商業地域では建築の高層化が進んでいきます。今回は、日本独特とも言える土地意識と都市計画が生んだペンシル建築を3つご紹介しましょう。(なお登場する名称はMAD Cityスタッフが勝手に付けた愛称です)
マルタ屋E
旧水戸街道沿いにありますこちらのペンシルビル。察するに上階へ行くためには、1階を必ず通らないと行けない間取りです。これを不便と捉えるか魅力と捉えるかは人によります。それにしても、活用されていないのはなんとももったいない。松戸駅から徒歩10分圏内、街道沿いということで人通りはそこそこあります。カフェやバー、小洒落た美容室などに生まれ変わったら賑わいが増しそうです。しかしファサードがくっきりと「E」に見えるのですがオーナーさんの頭文字か何かでしょうか。(考えすぎかもしれません)
テトリスビル
外壁がまるで、テトリスのブロックに見えなくもないこちらのペンシルビル。しばらく前にクリーニング屋さんが入られたようです。が、2階以降はあまり活用されていないご様子。大きなお世話かもしれませんが、なんとももったいない。こちらの建物にいたっては松戸駅前徒歩5分圏内。典型的なペンシルビルであることは間違いありません。(なおテトリスにはあるまじきことですが、ビル自体がどう控えめに見てもかなり傾いています。未活用にはそういう事情も関係しているに違いありません)
戸建てペンシル
こんなに細長い戸建て住宅はなかなか見たことがありません。もともとはおせんべい屋さんとして営業されていたそう。こちらも立地的には松戸駅から徒歩10分圏内かつ街道沿いということで、集客には適しています。両隣の店舗もシャッターが降りているあたりが物悲しさを感じさせます。こちらの戸建てペンシルを、何か新しい店舗やサービスを生む場所としてリノベーションできたらいいなと思います。
ちょっと変わった物件を探している方は、MAD Cityまでお問い合わせください
MAD Cityではちょっと変わった物件を取り扱っています。今回ご紹介したような、元々は一見古くて見向きもされないような建物だった物件も数多くあります。ぜひ物件検索してみてください。また、MAD Cityでは入居者の移転後の暮らしをより豊かで魅力あるものにするために様々なサポートをご提供しています。あわせてチェックしてみてください。
また、今回ご紹介したような建物のような個性的なデザインや古さが逆に魅力となっている物件をご存知の方はぜひ情報提供いただけたらと思います。物件相談から探索まで、できる限り対応させていただきます。
※なお、今回ご紹介した建物はMAD Cityエリア内に実在の建物ですが、入居者を募集している不動産物件ではありません。
連載「築古物件探索記」
(2016/02/22)
著者プロフィール
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funahashi taku
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空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/
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