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madcity.jpの中の人インタビュー ―まちと「プロボノ」の関わり方をちょっと覗いてみた―(後編)

前編はこちら

自分の活動とのつながりは?

――みなさん自分の活動や仕事がある上で、舟橋さんは主に記事のライティングをしてくれていて、東久保さんは松戸NOTEから有益な情報を掲載してくれている。内藤さんは体を張った企画を提案してくれたり、また東久保さんのスカウトというリクルートの仕事(笑)をしてくれている。
そういったプロボノの活動でMAD Cityに関わるようになって、「自分の活動につながっているなあ」と感じることはありますか?

内藤:自分の企画やマーケティング感覚を、「まち」とか社会に向けて発信して、フィードバックを経験できることは大きいですね。まちづくり会社のオウンドメディアを通して語ることって珍しい体験で、やってみると想定外の意見も返ってくる。PDCAの実践も含めて、貴重なノウハウ収集の場になっていると感じますね。

舟橋:自治体職員目線から見ると、「まちづくり」という事業でお金を稼げる民間企業は稀だと思っていて、その活動に関われることに意義を感じています。MAD Cityに関わる前は、ネットで空き家活用の情報収集やイベントに行くくらいでしたので、改装可能な賃貸物件を扱って不動産事業に取り組んでいる現場に携わることで、空き家活用とは何か、リアリティが増した気がします。
後は、MAD City外部ライターの肩書きで動かせてもらっているおかげで、MAD Cityの入居者さんや松戸の住民の方々とのつながりが広がっていったり、内藤さんがおっしゃるように、PDCAサイクルを回しながらチームで記事を作っていくというプロセスなど、得難い経験だと感じています。

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東久保:本業との関わりでいうと、寺井さんやプロボノメンバーで定期的にミーティングするなかで分析のお手伝いをすることもあり、それは自分の専門が直結してますね。そういったミーティングのなかで新しい気づきを得たり、頭の整理ができることも自分の活動につながっていると感じます。
もう一つは、松戸NOTEを個人でやっているだけでは関われない人と、オフラインで知り合う機会が増えましたね。「松戸NOTE」名義で取材するよりも「madcity.jp」名義で取材する方が対応してくれるとか、自分の力だけではできないことをできるようになったのが大きいです。

――確かに会いたい人に会える、ということ自体が貴重なことなのかもしれません。

内藤:ホントそれですね。会いたい人と会おうとするとき、本業の立ち位置だと、どう話して良いか難しかったりします。ビジネスメリットと関係ない場合は、会う理由がないわけで……。そのあたりは、MAD Cityの立場をうまく使わせてもらっていますね。

――「まちづくり」という性格が関連しているのかもしれませんね。どんな相手でも「まちづくり」に関連がないところは少ないと思うので、接点が見つかるというか…

内藤:今、まちづくりやコミュニティ形成は大きなトレンドになっています。GoogleのSidewalk Labs(参考:ついにはじまる、グーグル「Sidewalk Labs」の都市革命|WIRED.jp)のようにIT業界においてもまちづくりはホットなテーマです。メディア業界でも地元に特化した媒体が増えてきていますね。
そのなかで、MAD Cityの強みと感じているのはデータドリブンなところです。まちづくりに携わる団体の中には、趣味の延長のような「ゆるふわ」なところや、極端に情念的だったりというところもあると感じていて、そういう活動にはあまりなじめないと思っていました。
自分としてはデータや数字という目に見えるものの方が、本当にまちに寄与すると思っています。代表の寺井さんが計量政治学という学問を専攻されていたことが大きいのではないでしょうか。データを重要視するところや、あと大さじ2杯分くらい狂ったところ(笑)を加えたバランスが、自分にマッチしているのだと思います。

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今後、どんな活動をしていくのか?

――みなさんの今後の活動の展望を教えてもらえますか?

舟橋:「空き家の活用で社会的課題を解決するブログ」は空き家関連で非常に雑多に書いてきました。その中で空き家の活用や空き家問題の解決のためには、空き家所有者さんへのアプローチが重要だという結論にいたりました。そこで、空き家所有者さんにとって有益な情報を発信するサイトを立ち上げ中です。例えば民間・行政を問わず空き家の相談や管理、解体、そして活用といったサービスの紹介や、ヒントとなる事例の紹介などを行います。
また、madcity.jpでは「空き家グッド」というまとめページ的なものを作ってもらいました。こちらで引き続き、空き家を使った面白い試みについて、上記のサイトの知見と、MAD Cityの具体例を交わらせながら掘り下げた記事を連載していけたらと思っています。現場にも深く関わっているという立場を活かして、より空き家問題の専門家になりたいなと思っています。
  
東久保:松戸NOTEで実現したい個人的な目標は、松戸というエリアの価値向上なんです。今後しばらく、地域の活性化というのは大きな社会課題に違いなくて、MAD Cityは活性化のモデルケースになり得ると思うので、自分としても松戸NOTEを核として協力しながら、松戸に人を呼ぶことに力を入れていきたいです。「松戸に住みたい」「松戸のイベントに参加したい」といった人を増やすことで、松戸の価値を上げられると思うので。

内藤:「アート」と「コミュニティ」、あとは「ボーダーレス」。この3つの要素がこれからより一層大きなマーケットをつくっていくと思っています。MAD Cityがその中でポジションを持って欲しいし、自分もその一端に関わりたいですね。ぼくはまちが変わっていくこと自体に価値があると思っていて、待ち受けるのがユートピアでもディストピアでもいい(笑)ので、一番近くで見ていたいと思ってます。あとは今後のキャリアに活かせたらなと。

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こんな人に来て欲しい!

――さて、そろそろインタビューを締めようと思うのですが…「こんな人にプロボノがオススメ」というのはありますか?

東久保:いい意味でMAD Cityを利用して、自己実現したい人ですね。自分でいろいろな発信をするにしても、自分だけの力で伝えていくのは難しいと思うので、その補助役にMAD Cityはなると思います。また、自分で発信できるものを持ってないけど、まちづくりに関心があるという人にもオススメです。MAD City周辺の人たちと話していく中で、「自分も何かできる」と思えるようになるかもしれません。総じて、「松戸がもっとよくなったらいいな」という人にオススメです。

内藤:手を動かしてアウトプットを出す意識のある人ですね。あとは、トチ狂った状況を楽しめる人。

舟橋:公務員のなかでも、現場の具体的な課題解決に取り組んでいるNPOや民間団体ソーシャルビジネスに携わりたい、という人はわりと多いと感じますね。しかし、なかなか日常を飛び越えて関わるというのはハードルが高い。がっつりコミットするのは辛かったりします。いまはMAD Cityに2週に1回とかイベント時とか、そのぐらいの頻度で来てるんですが、マイペースに関われる点は良いと思います。
あとは若い世代の方、大学生の方とかにも来て欲しいですね。今のプロボノ3人はみな30代の同年代で全員男性なので、多様性があった方がいいとは感じています。だからもうちょっと、自分たちじゃない人にも興味を持ってもらえたら良さそうです。

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インタビューを終えて…

ここまでお読みいただきありがとうございました。いかがでしたでしょうか?
自分は、MAD Cityのイベントスペース「FANCLUB」を借りてイベントをしていた縁で、今回の記事に関わったのですが、気づけば自分もプロボノに少し興味を持ってしまいました(笑)
それぞれの方が、自分の仕事の知識や、趣味を掘り下げていった経験を活かして、まちづくりに関わっていくというモデルがどんどん広がっていけば、松戸はもっと面白いまちになるのではないかと感じています。

MAD Cityでは随時、プロボノなど関わってくれる人を絶賛募集中だそうですよ。この記事を読んで「MAD Cityに関わりたい!」という人が現れてくれたら、筆者としては嬉しい限りです!

ご興味ある方、こちらの「参加する」をご覧ください

著者プロフィール

渡部裕|Yu Watanabe

渡部裕|Yu Watanabe

元公務員。地元ネタを拾うライターとして活動。 自称「FANCLUBをイチバン使ってる人」。これまでに「一日居酒屋」「買ってきた食材でパーティ」などを開催、コワーキングバー会員を経て、現在は「FANCLUBゲーム会」を主催。 ポケモンGOのリリースを契機に、松戸近辺を歩きたい熱が再燃中。

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