ホーム > 連載・コラム > 【PARADISE STUDIO 滞在レポート】 vol.11 monsHirop 4羽目
- PARADISE STUDIO
- アート・カルチャー
【PARADISE STUDIO 滞在レポート】 vol.11 monsHirop 4羽目
松戸駅前のパチンコ屋さんの上にある、元ラブホテルの跡地を活用したクリエイティブスペース「PARADISE STUDIO」。
ここに現在、ダンスユニット、藝術大学の研究室が滞在しています。
そんな彼らの日常を彼らの言葉で紹介するPARADISE STUDIO滞在レポート。
vol.11は千葉県・松戸に突如出来たエンターテイメント・スペース、monsHirop(モンシロ)さんのレポート。今回は4月27日(日)まで行われた展示のクロージングイベントの様子です。
4月27日 monshirop レポート
4月19日~27日の1週間にわたり、monshiropでは柳井信乃による個展『うつし身 – Ghost selef』が開催されました。初日である19日に続き、1週間にわたる個展では様々な人たちにご来場いただいて、とても充実した個展になりました。またそのクロージングイベントとして27日には、関連トークが行われました。ゲストには、monsHiropの長でもある東京芸術大学准教授毛利嘉孝先生、美術批評家であり沖縄県立芸術大学准教授の土屋誠一先生をお招きし『隠喩としての狂女』のテーマのもと、柳井さん作品にまつわるプレゼンテーションや議論を繰り広げました。
トーク内では、はじめに柳井さんにより、今回の作品制作に関連した『美術にお ける「狂女」』についてのプレゼンテーションが行われ、美術史における様々な「狂女」像の変遷や種類についての紹介がありました。「狂女」というと、文字通り「なにかに狂った女」を意味し、とても怖そうなイメージをもちますが、その「狂い」にも様々な種類があり、これまでの美術のなかでも多様な表現として扱われている とのことです。今回作品のテーマとして扱われている阿部定も昭和史を代表する、恋愛に狂った「狂女」ですが、美術史を通じて様々な女性の「狂い」について考えさせられました。
そして土屋誠一さん、毛利嘉孝さんによるプレゼンテーション及びディスカッシ ョンへと続きます。土屋先生は作品のなかでの時代性、昭和11年という「日本国家」が強く意識させられるという点から「国家性と情動」をキーワードに、美人画から今日のヲタク(?)アニメに至るまでの多様な視覚表現をご紹介していただきました。「情動」とはいかなるものに見いだせるのか、そしてその「情動」に駆られる人間の実際の様子ついても体感することができ、またその温度差についても考えさせられる刺激的なお話でした。また毛利嘉孝さんからは、昭和史のなかで「サブカルチャー」として扱われる阿部定事件という観点から、社会のなかで事件的な存在とはなにか、現在における阿部定とは誰かという問題提起、柳井さんの作品における現代に通じた時代の反映性についてのお話をしていただきました。 各々のプレゼンテーションや問題提起から約2時間に渡りディスカッションが行われ、狭い会場は作品の雰囲気・トーク内容に伴い異様な盛り上がりをみせていまし た。トークに続いては作品を参加者で解説をもとに鑑賞する時間をもうけ、最後にはオープニングパーティで行ったパフォーマンスの再演を行いました。
以下の写真は個展の様子です。今回の企画はmonsHriopのイベントのなかでも、最も期間の長いものになりました。元ラブホテルで個展という異種企画でしたが、主催側のmonsHiropはとても楽しかったです。
今後もなにかと企画していく予定なので、是非是非訪れてみてください。