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【PARADISE STUDIO 滞在レポート】 vol.2  monsHirop 1羽目

松戸駅前のパチンコ屋さんの上で、元ラブホテルの跡地を活用した
クリエイティブスペース「PARADISE STUDIO」
ここに現在、ダンスユニット、演劇ユニット、藝術大学の研究室という3組が滞在しています。

そんな彼らの日常を彼らの言葉で紹介するPARADISE STUDIO滞在レポート。

vol.2は千葉県・松戸に突如出来た2014年1月~4月限定のエンターテイメント・スペース、monsHirop(モンシロ)さんのレポートです。

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「白川昌生レクチャー2DAYS:前橋からデュッセルドルフへ」実施報告

 イベントスペース monsHiropでは、2月5日(水)と2月10日(月)の2日間に渡り、アーティストの白川昌生氏を招聘してトークイベントを行った。白川氏はデュッセルドルフ芸術アカデミーで美術を学び、現在は群馬県前橋市にて地域と密着した創作活動を展開している。彼は自らを「マイナーな作家」と呼んでメインストリームのアートシーンとは批判的な距離を取った創作活動をする一方、日本の戦後美術史に対する批評活動も一貫して続けてきた。本イベントでは、3月から「アーツ前橋」にて始まる個展を前に、あらためて白川氏のこれまでの活動を振り返った。また、デュッセルドルフ時代に白川氏が企画した「日本のダダ 1920-1970」展を取り上げ、彼の批評活動についても議論を行った。実施日程は以下の通りである。

1st DAY:「場所・群馬」から「木馬まつり」まで
2014年2月5日(水)19:00-
講 師:白川昌生
ゲスト:藤井光(アーティスト) 司会:毛利嘉孝

2nd DAY:『日本のダダ』とデュッセルドルフの白川昌生
2014年2月10日(月)19:00-
講 師:白川昌生
ゲスト:清水知子(比較文化、文化理論)司会:毛利嘉孝

 ここからは、それぞれの日程についての状況を具体的に報告する。

1st DAY:「場所・群馬」から「木馬まつり」まで

当日は、前半1時間ほどを白川昌生氏による自らの活動の発表、後半の1時間ほどでアーティストの藤井光氏、社会学者の毛利嘉孝氏による質疑とコメントが行われた。参加者は、スタッフを含めて15名程度であった。
まず、白川氏がどのような経緯で前橋での活動を始めるに至り、現在そこでどのような創作活動を行っているのかが、写真資料の提示による説明がなされた。群馬県内の無人駅をゲリラ的に使用し、群馬県内で作られているというペヤング焼きそばを食べるパフォーマンス《無人駅での行為(群馬の食)》などの提示は会場での大きな笑いを誘い、白川氏の人柄もあって終始なごやかな雰囲気でトークは進められた。さらに、前橋市内で空想上の祭りを考案し実施した《駅家の木馬》などの映像も交え、白川氏が地域に密着して「場所」を生成しながら活動を行ってきた意図についての説明がなされた。

後半では、藤井光氏と毛利嘉孝氏によるコメントを交えて議論が進められた。白川氏によるこれまでの活動の説明をふまえ、さらにデュッセルドルフ時代の記憶を聞き出しながら、彼をダダイストとして捉える観点をめぐって議論は白熱した。会場からもコメントや質問が頻出し、非常に充実した議論の場となった。

2nd DAY:『日本のダダ』とデュッセルドルフの白川昌生

2日目は、前半の1時間ほどを白川氏による活動の紹介、後半の1時間ほどで文化理論研究者の清水知子氏、毛利嘉孝氏による質疑とコメントが行われた。スタッフを含めて20名を超える人数が参加しており、用意したイスが不足したため会場の床にシートを貼って対応した。

白川氏による活動紹介では、1日目での内容に加えて、デュッセルドルフ時代に実施した「日本のダダ 1920-1970」展についての説明が行われた。なぜ彼が日本の戦後美術史を海外に紹介するきっかけが生まれたのか、それに対する日本と海外との反応の違いなどが語られ、さらに政治と美術との関係性にまで議論は深まった。

後半のトークでは、白川氏の活動で一貫して見られる、地域の史述に基づきながら物語を「でっちあげる」芸術の面白さという点がとくに取り上げられ、その批評性と可能性について議論が行われた。白川氏の活動は「記録する」というパースペクティブによってアート・ドキュメンテーションの性格を持つようになっているという清水氏による指摘は、今日の生政治的な芸術の先駆けとして彼の活動を捉え直す視点の提示であった。ほかにも、白川氏とパンクス的な振る舞いとの関係や、ダダイズムへの考え方など、会場も交えてさまざまな方向へと議論は白熱した。

イベントスペースmonsHiropとしては初のイベント開催であった。両日とも多数の来場者を迎え、充実した議論を行うことができた。

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