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地域再生の失敗学をテーマに松戸のまちづくりを考えるアイデアトークイベントを開催

松戸のまちづくりと場づくりを考えた!「地域再生の失敗学」を題材に、松戸を面白いまちにするアイデアトークイベントを開催(中編)

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松戸を面白いまちにするアイデアトーク

イベント後半は、参加者全員が対話を深めつつ、その内容を共有するために「フィッシュボウル」方式でアイデアトークを行いました。生まれも育ちも現在の住所も松戸の方から、都内在住在勤の方、他の街から松戸に引っ越してきた方など、様々な立場の人たちが、松戸を面白いまちにするにはどうしたら良いか、「地域再生の失敗学」に書かれてあるセンテンスを元に、まちづくりと場づくりという2つのテーマから考えました。

フュッシュボウルとは、二重の円陣を組むようにイスを置き、内側のグループは議論を、外側のグループは観察をし、内側と外側は適宜入れ替わるという対話形式です。

フュッシュボウルとは、二重の円陣を組むようにイスを置き、内側のグループは議論を、外側のグループは観察をし、内側と外側は適宜入れ替わるという対話方式です。

首都圏で存在感を出していくためのまちづくり

アイデアトークの一つ目のテーマは「首都圏で存在感を出していくためのまちづくり」です。2015年の東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)への転入超過は11万9357人(その内、東京は最多の8万1696人)となるなど、東京一極集中は進んでいます。しかし松戸は、都心へのアクセスの良さや、家賃や土地単価の安さ、松戸駅周辺の商業店舗の充実具合、子どもを育てる環境整備状況などなど、実は意外と住みやすいまちだったりするんです。

ただ、松戸のここはどこのまちにも負けない!といったキラーコンテンツはなかなか思いつかないのが現状です。そんなことを前提に、松戸の魅力や松戸のまちづくりの課題など、たくさんの意見が出ました。

松戸は意外と住みやすいまち

まずは松戸在住の方々からは、松戸の魅力を語っていただきました。松戸はこれといったキラーコンテンツは無いけれど、住む分には便利だし、ほどよく自然もあるし、地元の人は面白い、といった声が多かったです。

  • 松戸駅前には伊勢丹、アトレ、ダイエー、イトーヨーカドーなど商業施設、コンビニやドラッグストア、飲食店も豊富に揃っている
  • ほどよい田舎感と都会感が住み心地良い
  • ほどよく寂れているのがむしろ魅力
  • 地元に古くから住む人たちが面白い
  • 子供会や自治会の活動が盛んで、子どもを介してつながりがたくさん出来た
  • 知り合いが多いし、馴染みのある場所が多い

どうすると松戸が訪れたくなるまちになるのか?

次に松戸のまちづくりを考える上で、地域経済を回すという発想が重要という意見が出ました。例えば、仕事が終わって夜にふらっと寄れるバーのようなお店があって、そこでお金を落とす、職場と家との往復だけではなく、寄り道したくなる(そしてお金を落とす)まちにするために必要なことは何かといった意見が出ました。

  • 松戸に自分の給料を落とすことで地域経済を回すことができる
  • 松戸に夜、仕事帰りに寄れるバーなどが1、2軒しかない。これが増えれば松戸の魅力がアップするのでは
  • そもそも松戸の魅力を発信すべきターゲットは誰なのか(松戸に定住希望する人?ビジネスの拠点として希望する人?観光客?外国人?)
  • 松戸には48万人も人がいるが、これ以上、人を呼んだほうが良いのだろうか
  • 土日に松戸に来るとしたらどういう理由がありえるのか

松戸にキラーコンテンツは無いということを前提にして考えてみる

議論の最後には、「松戸にはキラーコンテンツは無い、そのことを前提にして議論したほうがいい」という意見が出ました。そうなってくると、まちのマイナスやネガティブな要素それ自体を武器にするという、発想の転換が必要なのではないか、という問題提起です。確かに、誰もが松戸に訪れたくなるコンテンツがあるならば、既に松戸のまちづくりは盛り上がっているはずです。一つの可能性として出されたのが、川崎の東の工業地帯が最近注目されているという事例。

川崎の東の工業地帯で生まれ育った若者9人によるヒップホップクルー「BAD HOP」。実際に体験した貧困や犯罪、暴力が頻発する街のリアルを、ラップで表現しています。

川崎の東の工業地帯で生まれ育った若者9人によるヒップホップクルー「BAD HOP」。実際に体験した貧困や犯罪、暴力が頻発する街のリアルを、ラップで表現しています。

川崎といえば、特に東の沿岸は京浜工業地帯に属し、大規模な石油コンビナートや製鉄所などの工場が多数あります。母子家庭の世帯も多く、中学を卒業してそのまま工場で働いている若者も多くいます。そんな地域で生まれ育った若者たちが、街での体験をラップで表現することで、川崎のまちを結果的に全国にアピールすることにつながっています。実際、神奈川県内でも治安が良くないと語る人の多い川崎市池上町出身の9人のヒップホップクルー「BAD HOP」は、2015年7月には1stアルバムをリリースして、これからのヒップホップシーンを担っていくことが期待されています。

治安が悪かったり、工場だらけで生活環境が快適ではなくても、BAD HOPが音楽の世界で成功することで、川崎に住む彼らが川崎の地域経済を回していく。全国のラッパーたちがBAD HOPを知って、結果、川崎も知られていく、ちょっと訪れてみようか、なんて思う人も出てくるかもしれません。思えばNYのブロンクスも、今では観光客が望んで行く場所になっているところがあります。けっこう突拍子もないアイデアですが、川崎のラッパーたちの存在から、そんな好循環が起こる可能性を感じます。

後編では「人と人が刺激を与え合い繋がるための場づくり」について、引き続き議論しました。

後編はこちら

(2016/07/07)

著者プロフィール

funahashi taku

funahashi taku

空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/

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