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MAD Cityでも試行錯誤する「着地型観光」
2014年の訪日外国人旅行者数は前年比29.4%増の1,341万人
6/9に観光庁から2015年版観光白書が公開されました。2014年の訪日外国人旅行者数は前年比29.4%増の1,341万人で、この2年間で500万人も増えています。
インバウンド消費が近年急速に拡大している理由としては、白書では、GDPの増加が大きいアジア人を中心にした経済成長による個人所得の上昇、日本製品の品質に対する根強い信頼感、円安や免税対象品目拡大などによる高級品を中心とした割安感の拡大、ショッピングをテーマにした訪日プロモーションの実施、を挙げている。
観光庁、2015年版の観光白書を公開
これからの観光の発信スタイルは「発地型」から「着地型」へ
インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加も重要ですが、観光の発信スタイルそのものの変化に対応していくことが各地域にとって今後とても重要になると思います。背景にあるのはインターネットやソーシャルメディアの発達、旅行者ニーズの多様化などです。つまりこれほどまでに情報化が発展する前は出発地となる都市部の旅行会社が企画したパッケージツアーや、少人数で行く旅行の場合でも旅行ガイドブックなどを見て観光するのが主流でした(発地型観光)。それが今ではインターネットやソーシャルメディアによって、全国各地で今まで埋もれていた土地の魅力や文化、歴史といったものが文章や映像、音声などで可視化・記録されることでこれらの豊富な情報を格段に入手しやすくなりました。その結果、旅行者ニーズの多様化もあいまって旅行者を受け入れる地域(着地)側が自分たちの地域資源を活かした旅行商品や体験プログラム、イベントを企画・運営する観光の形である「着地型観光」がこれからの観光のスタイルとして注目されています。
旅行者を受け入れる側の地域(着地)側が、その地域でおすすめの観光資源を基にした旅行商品や体験プログラムを企画・運営する形態を「着地型観光」と言います。独自性が高く、ニューツーリズムを始めとして、その地域ならではのさまざまな体験ができることから、各地域の魅力を味わう上でおススメです。
いま、旅は「地元発信」が楽しい!~着地型観光のススメ~
地域の宝の「魅力」を発掘、編集、発信する
このように着地型観光においては、「今、ここでしか味わえない体験」といった地域の特殊性をアピールすることが重要です。地域の自然や文化、歴史、産業、人などあらゆる資源を掘り起こしたり、新しい切り口からこれらの資源の魅力を編集して発信していくことがポイントです。
着地型の集客交流サービスをうみだしていくためには、地域に埋もれている資源を発掘して観光資源化し、顧客ニーズにあわせて、それらを編集加工して商品(サービス)をつくりあげていくことが求められます。そのためには、宿泊・旅客運送・飲食物販といった観光関連事業者のほかに地域内のあらゆる人や組織と協働することが必要となってきます。
こうした異業種間の連携を通して、地域の魅力を活かした新たな商品(サービス)をうみだし、それを採算のとれるかたちで事業化していくことが、これから地域が取り組むべき課題といえるでしょう。
着地型観光と「観光地域づくりプラットフォーム」の考え方
着地型観光の窓口となるインターネットプラットフォーム3選
いざ地域の宝の魅力を発掘し、編集して商品として創り上げ、ウェブサイトやソーシャルメディアなどで発信するわけですが、発信部分の手助けとなるウェブサービスを3つご紹介します。着地型観光の窓口となるインターネットプラットフォームサービスが続々出てきています。
ASOVIEW
日本最大のアクティビティ予約サイトと名打つ「ASOVIEW」は日本全国8,000件以上の体験を紹介しています。このサイトを立ち上げたカタリズムの山野智久代表は着地型観光の課題として、インターネットの活用が進んでいないことを挙げています。そこでインターネットプラットフォームをつくることを考えたそうです。
山野代表は、旅行の行程を5つの要素に分解して考えている。「移動」、「宿泊」、「レジャー」、「食事」、「土産」だ。すでに移動や宿泊は、インターネットで予約することが簡単で、たくさんの人に利用されている。しかしレジャーの部分、たとえば体験教室やオプショナルツアーは、現地の小規模な事業者が運営していることも多く、インターネットでの予約や事前の決済には対応していないことが多い。
「あそびゅー!」は、このレジャーの部分に焦点を当て、利便性を提供するサービスなのだ。
地域を変える「魅力の伝え方」 着地型観光の課題を解決
TRIP
次はウェブ制作会社LIGの100%子会社がリリースした「TRIP」です。LIGでは「観光商品を売る」ということのハードルを低くすることが重要と考えているそうです。
TRIPは簡単に言うと、日本各地にある魅力的な観光商品、体験などを誰でも気軽に売買する事が出来るサービスです。
売買出来る、というのがポイントで、買うだけでなく売る事も出来ます。例えば、自分の趣味をベースに、土日だけガイドをしてみるとか、何かワークショップを開催する際にTRIPを使って販売するとか、そういう使い方が出来ます。もちろん、既存の観光事業者の方々には自身の商品の販促としてご利用いただく事も可能です。
地域の観光商品、体験を売買できるウェブサービス「TRIP」をリリースしました。
TABICA
最後はガイアックスが公開した地域ならではの観光体験を掲載/予約できるマーケットプレイス「TABICA」です。従来の旅行会社が企画する「発地型観光」と異なり、観光客の受け入れ先の地域が独自のプログラムを作成し、現地集合・現地解散する「着地型観光」の日本での市場規模は331億円です。着地型観光はこれから市場拡大が予想されます。
TABICAに掲載されるのは、地域のアクティビティやオプショナルツアーなど。たとえば、「創業150年の老舗の味噌職人に教わる、無農薬大豆を使った甲州味噌作り体験」「全国200カ所以上の絵地図を描く絵地図師が案内する、浅草の裏側散策」といったもの。3月末までに、東京都、山梨県、長野県を中心に50程度の企画が掲載される予定という。
地域の観光体験を掲載/予約できる「TABICA」–“着地型観光”普及を見込む
著者プロフィール
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funahashi taku
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空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/
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