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コミュニティを耕してアソシエーションを誘発する
コミュニティイベントの開催
MAD Cityでご案内している物件のうち、旧・原田米店やMADマンション、いろどりマンションなどには6〜12組といった大人数の住民が入居しています。賃貸なのに改装可能・原状回復不要という変わった物件に入居されるくらいですから、ダンサーやグラフィックデザイナー、美術作家、大工、DIYアドバイザーなどなど、クリエイティブな職業や生業をお持ちの方々が多いのが特徴です。
こういった入居者が集積している物件では、定期的にコミュニティイベントを企画・開催しています。例えばこの日、MADマンションで行われたのは「クリーンデイ」という入居者による入居者のためのコミュニティイベント。MADマンションの入居者同士の交流やDIYの作業場、余った木材や共有可能な機材の置き場などとして使われている共有ルームやゴミ置き場の散乱したゴミを皆で片付けよう、という趣旨です。
ほうきやちりとり、軍手など掃除に必要な物品は適宜、MAD Cityが準備します。必要に応じてコミュニティイベントのサポートを行っています。
コミュニティを耕す
コミュニティイベントは本来、入居者全員が参加する性格のものです。それは、生活する中で共通する課題(共有ルームやゴミ置き場の片付け、掃除など)の解決のためには、そこに暮らす入居者同士が協力し合う必要があるからです。これは当然のことといえば当然のことですね。その結果、入居者同士のつながりが生まれていきます。例えばMADマンションのゴミ置き場は多才な入居者が皆で協力して改修したものです。入居者同士で協力しながら作業をしたことで一層コミュニケーションが深まり、入居者主体で次のアクションへとつながっていきます。
住民同士で協力しながら作業をしていったことでより一層コミュニケーションが深まりました。作業後の打ち上げでは「そういえばあそこのサビが気になる…」や「空いている203号室をみんなの図書館にしたい」などなど企画が大盛り上がり。
それをきっかけに、第2回目の活動では共有スペースのサビとりや清掃をし、なんと塗装まで行ったそう!こうやって自分たちの手で改装していくと愛着もわきます。
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入居者同士がつながることで化学反応が生まれる
この日お邪魔したグラフィックデザイナーの佐藤大輔さんは3年前にMADマンションに引っ越してきました。もともと1DKだった部屋の壁と押入れを打ち抜いて巨大なワンルームにしたり、床貼りや壁塗り、キッチン・玄関エリアに人工芝を敷いたりと、かなり自由なDIYリノベを手掛けていらっしゃいます。
そんな佐藤さんがMADマンションに住む(実際は事務所として活用されています)メリットの一つにコミュニティイベントで刺激を受けられることを挙げられています。
ステキすぎるDIY事務所を手にいれた佐藤さんですが、しかしそれ以外にもMADマンションに住むメリットを感じているそうです。
「このMADマンションの住人になるまで、松戸在住のほかのクリエイターの方に会う機会はほとんどなかったんです。僕は松戸に長らく住んできたけれども、MAD Cityができて、こんなにたくさんのアーティストやクリエイターの人がいるなんて思いませんでした。自分の思い通りの事務所が手に入れられたのももちろんですが、ほかの住民の方々と一緒にイベントをやったり、ときどき食事会をしたりして情報交換したり、いろいろと刺激を受けられるのが魅力的ですね」
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入居者主催のイベントを開催、新しいインスピレーションが生まれる
佐藤さんはMADマンションのコミュニティイベントで刺激を受けたこともあるのか、「アナザー・ピース展 ~地元の小さなグラフィックの仕事。」や「デザインのタネあかし~デザインは人生を少し楽しくしてくれる~ 」 といったイベントをこれまでに開催なさってます。「デザインのタネあかし~デザインは人生を少し楽しくしてくれる~ 」では定員を超える申込があるなど多くの人を巻き込んだイベントになりました。
そして、イベント当日は来れなかったのですがインターネットで「デザインのタネあかし~デザインは人生を少し楽しくしてくれる~ 」を見て佐藤さんに是非会って話を聞いてみたいという方まで現れました。ちょうどこの日、その方が佐藤さんに会いにきていらっしゃっていました。佐藤さんと実際に会ってお話をすることで、デザインの仕事を本格的にやってみようという思いが高まっていたようでした。また次のアクションや新しいコトが起こりそうな期待が高まります。
また、MADマンションでは専有部分だけでなく、共有部分についても現状回復なしの条件が実現していて、ドアを各自がペイントしていたりします。そこで最近は、佐藤さんはMADマンションのドアをデザインする、という企画を実行に移そうとされています。佐藤さんの部屋のドアで使っているフォントを使って、他の部屋の住民と一緒にドアを塗り替えるとのこと。マンション内のドアがデザインされていると、住んでいても単純に楽しかったり美しいし、外の人にとっても行ってみたくなるマンションになりそうで楽しみです。
コミュニティを耕してアソシエーションを誘発する
このようにコミュニティを耕した結果、入居者主体のイベント開催や新しい出会いが生まれています。MADマンションの入居者間だけで閉じることなく、街に開いたイベント開催や新しい出会いが誘発されているのがMAD Cityならではと言えるでしょう。なぜならばMAD Cityでは「アソシエーションデザイン」という概念を理念としてまちづくりに取り組んでいるからです。
具体的に言うと、これからのまちづくりにおいて大切になるのは、アイデアを生み出し実践する、自発的で創造的な人々がそのエリアに集い、暮らしを共有してアクションを起こすことであると考えて研究しています。
つまり、人が共に暮らす領域や集団における必然的なつながりがコミュニティならば、こうした入居者主体のイベントや新しい出会いといったある共通目的を達成するために自発的に組織されたつながりがアソシエーションです。「自発性」や「創造性」といったものを人為的につくることはそもそも本末転倒ですが、クリエイティブなバックグラウンドを持つ入居者を集めコミュニティイベントなどでコミュニケーションの機会をつくり、結果としてアソシエーションが誘発されることが重要だと考えています。
結果として、の話。多様性という結果を求めて原因を作ると、気持ち悪いことが起きる。結果的に多様になるのが良い。だとすれば、多様なままでいれる環境を作る。最終的な結果は自発性に委ねる。アソシエーションデザインとはそういうものだと思った。 http://t.co/6MexCRQ5J3
— 寺井元一 (@teraiman) 2014, 11月 3
アソシエーションデザインに関する詳細はウェブマガジン「dotplace」での弊社役員による連載やgreenz.jpの記事、マチノコトの記事などをご覧ください。また、MAD Cityのアソシエーションデザインについては、取材や視察でご説明させていただいています。ご希望される方または団体はこちらまで是非ご連絡ください。
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著者プロフィール
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funahashi taku
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空き家を魅力的な「まちのコンテンツ」に生まれ変わらせたり、社会的課題解決のツールとして活用したい、そんな観点から書いているブログ「空き家グッド」を運営しています。2015年6月からはMAD Cityのウェブメディア「madcity.jp」に記事をちょくちょく寄稿しています。
http://akiya123.hatenablog.com/
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